検閲をさらに強化か?
中国政府はネット規制の強化策として、ネット企業の株式一部を国有化を検討し始めた。法的な規制に加えて、運営そのものに介入するということだ。ネットの自由がさらに損なわれそうである。
取締役会にも介入
報道では、中国のネットとメディアを管轄する当局が、特別管理株を購入。企業の取締役会にも役員を送り込み、介入をするとのこと。現状はまだ提案段階ではあるものの、対象としてQQやWeChat(中国語名:微信)の騰訊(テンセント)、中国標準検索サイトである百度(バイドゥ)や163メールで有名な網易が入っている。
中国政府によるインターネット統制がさらに厳しくなるかもしれない。事情に詳しい関係者によると、当局は同国大手ネット企業の株式1%を政府が取得することを提案しているという。
インターネットの利用用途を調べた調査では、ネットの用途として、電子メールと情報収集で9割以上とのこと。中国標準である百度や163.comに加えて、メッセンジャがすべて国家の監視下に入るため、今以上の自由がなくなりそうである。
諸外国からは非難轟々
先月末に先進7カ国(いわゆるG7)の情報通信相レベルの会合が行われており、名指しこそされていないものの情報を統制・囲い込みをするやり方への批判がG7の方針として採択されている。この会合の念頭に置かれているのが中国主導でやっている世界インターネット大会があるのは間違いないであろう。
高松市で開かれた先進7カ国(G7)情報通信相会合は30日、成果文書を採択して閉幕した。成果文書には、国家当局によるインターネットやソフトウエアへの干渉に反対して「情報の自由な流通」を後押しすることや、サイバー攻撃への対策で連携することなど、中国やロシアを牽制する内容が盛り込まれた。
今月の26日・27日には伊勢志摩サミットが開かれるが、ここでもこの流れを受けた採択が行われる可能性が高い。
G7的に言えば、IoT(家電やスマホを含む端末のネットワーク化)を考えた時に、情報の囲い込みをしようとしている中国・ロシアが邪魔なのが本音だ。ただ、利用者から言わせれば規制だらけの中国ネットの改善に動くのであれば、メリットだと言える。
デマだらけの中国ネット社会
中国政府がこれだけネットの規制に動くのが、中国共産党の体制維持にあるのは言うまでもない。ただ、一方で公共メディアの信頼度がほぼゼロなために、口コミが猛威をふるう中国社会の独自性の緩和に努めようとしているのも確かだ。
数日前にも、にわかには信じがたいニュースが飛び込んできている。ネット上のデマを信じて、自分の指を切断するというものだ。
ネットには虚偽の情報が多く見られ、時に大きな問題に発展することもあるが、ある中国人男性は流布していた風説を信じ込んだ結果、自ら指を切断してしまったという。
これらのネットの風説やデマは、最終的に政府に批判が向かうので、その火の粉を振り払うのに中国当局が必死なのが目に見える。また、以前にも取り上げたP2P金融がかなり場末的な状況になっており、これらも規制強化に動いている一因かもしれない。
中国のニュースサイト「財新ネット」などは2日までに、中国全土で昨年起きたインターネットを使った金融犯罪が前年比71%増の約6千件、被害総額は2500億元(約4兆1100億円)に上ったと報じた。当局は「過去最悪」として警戒を強化、取り締まりを徹底する方針を打ち出した。
中国人の9割が利用するとも言われているWeChat。このソフトのモーメント(日記やつぶやきに近いもの)は、まさに玉石混交状態で嘘も多い。よくあるのが、下記のような本当情報と嘘情報の比較モーメント。
ところが、こういう”本当”を標榜する内容が、デタラメだったりする。もはやコントとしか言いようがない。
ただ、いずれにしても中国当局がネット介入を強化するのは間違いなさそうである。
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