もっとも安定したVPNはどれか?
普段自宅で使っている回線は、ほとんどの人がチャイナテレコム(中国電信)だろう。たまたま、チャイナユニコム(中国聯通)の光回線を利用する機会があったので、VPNの速度比較をしたのでご紹介。
企業アカウントと個人アカウント
QoS(Quality of Service)という単語を聞いたことがあるだろうか?
中国では非公式であるが、回線の利用単位に応じてトラフィック制御を受ける。中国国内の空港が全て人民解放軍のために設置されており、離発着の優先権がもっとも高いのと同じようにネットにも優先順位がある、と言われている。この優先順位の仕組みがQoSである。
この存在は噂の範囲を超えていないのだが、中国でイベント(対内であれ対外であれ)があるたびに制限を受けることを考えると、さもありなんである。優先順位は以下のとおりらしい。
人民軍(もしくは政府)アカウント > 国営企業アカウント > 帯域保証あり企業アカウント > 一般企業アカウント > 個人アカウント
つまり、自宅で使っているネットが安定しない理由の1つは、他のアカウント利用に圧迫されているというわけだ。
今回のテスト環境
そこで今回は以下のような環境でテストした。
- アカウントは帯域保証あり企業アカウント
- 10Mbps光回線(下り、上り同一速度)
- 所在地は上海市中心
テストの方法は公平性を保つために、毎回VPNなし→VPN接続で速度の比較をし、回線利用効率を調べた。速度のブレを確認するため、2回ずつ測定した。参考までにVPNなしでSPEEDTESTの東京サーバに接続したら約11Mbps程度だった。
VPN速度テスト
1.Hide My Ass! Pro VPN
台湾サーバに接続。
結果は13Mbps弱。上り速度も11Mbpsと極めて良好である。
2.VyprVPN
東京サーバに接続。接続方法は一般のものとChameleon(カメレオン)の両方を試した。
PPTPで試してみると若干速度がでなかった。暗号化が128ビットなので比較的軽いはずなのに、なぜ?
そこで中国に特化したというChameleon方式に変更。256ビット暗号化なので重たくなるはずなのに、速度がむしろ改善された。また、上り速度も5倍以上速くなった。不思議である。
3.PureVPN
最近、同サービスはサーバと回線の改善作業を行っており、期待である。他のサービス同様に東京サーバに接続。また、接続方式はお任せにした。
結果は回線をほぼほぼフルに使える速度が出た。また、上り速度も良好である。
4.12vpn
このサービスは香港がメインなので、香港が一番速いのだが条件を同じくするため東京サーバに接続した。
結果は…かなり散々たるものであった。3~4回やってみたが同じような値だったので、これを最終値とすることにした。
5.番外 さくらインターネット
さくらインターネットのVPS上に作ったVPNサーバでも試してみた。VPNサーバ(と言うよりVPS)の出口が細いせいか、速度はパッとしなかった。もっとも、上下で6~7Mbps出ているので上々とか。(参考:VPS+VPN鯖で構築&速度テスト@上海)
個人的感想
速度はまちまちであったが、概ね安定していた。特に、接続完了までの時間が自宅回線と比べると体感でわかるほど早い。ネットワークのレスポンス(応答)が非常に早いからであろう。PINGの値も自宅(概ね100前後)と比べると約半分である。
時間帯が異なるので、直接比べるわけにはいかないが、中国ではアカウントレベルに応じてトラフィック制御を受けるという噂をある程度裏付けてくれそうな結果であった。
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