日立製作所、中国SI子会社を清算

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事業の将来性なしと判断

日立製作所の直轄で、中国日立との合弁会社である日立(中国)信息系統(略称HISS)を精算を決めたと報道が出ている(ソース元:BCN Weekly China Report 2015.2.4)。この会社は、日立中国の配下にあってシステム系のSIerをやっていた会社だが、業績不振から解体されることになった模様。中国ビジネスの難しさを象徴するできごとになりそうだ。

赤字垂れ流しが原因の根本

記事は次のようにHISSを紹介。

2002年2月設立のHISSは、上海、北京、広州、深圳など8地域に拠点を構え、これまでハードウェア、ソフトウェア、システム構築、ITサービスといったITトータルソリューションを提供してきた。2013年度(13年12月期)の売上高は約4億元。主力商材の一つである統合システム運用管理ソフトウェア「Job Management Partner 1(JP1)」は、2012年と13年の中国ワークロードスケジューリング&オートメーションソフトウェア市場で売り上げシェア3位(米IDC調べ)を獲得するなど、中国国内で着々と存在感を高めていた。

その上で、精算の理由は業績不振としている。売上高が4億RMB(80億円)ではあるものの、地場への切り込みができず、赤字体質からの脱却ができなかったのが要因と分析。記事では要因を3つあげている。

  1. 700社の顧客はほとんどが日系で、狭い市場でのビジネスだったこと
  2. オフショア開発など外部からの委託が円安により冷え込んだこと
  3. 対中投資が40%近く落ち込み追加投資などの支援ができないこと

その上で、これからも対中投資の回復見込みが難しい中で、日系のみではなくローカル企業への切り込みができないと難しいだろうで締めくくっている。

記事の中ではさらに従業員250名の解雇と20名の駐在員の全員本社帰国が添えてあった。実際、知り合いに聞いたところ、2月10日で雇用が打ち切られること、行き先が不明であることを言っていた。

中国進出企業に迫られる転換

今回の日立に限らず、中国に進出した多くの外資企業が似たような状況に遭遇しているはずだ。外資企業を取り巻く環境は大きく変化した。

  • 社会インフラは30年前の改革開放とくらべて整ったものの、人件費・賃料・光熱費などは10倍以上に跳ね上がった
  • 進出当時、中国政府が採用した外資優遇策は数年前から急速に小さくなりつつある
  • 中国の人口ピラミッドが変化し、若年層を以前のように大量に採用することが難しくなった。有効求人倍率は常に1を超えて、採用難が続いている
  • 若年層の意識も変化しており、高学歴化が顕著。上海市戸籍に限ると8割以上が大学進学しており、外資企業の欲しいワーカーレベルとのギャップ差が顕著になっている
  • ネットショップなどeコマース化が急速に広まっており、今年は全流通量の1割がネット関係。外資と数多くの地場企業と価格競争が始まっている
  • 去年2014年のダンピング疑惑で外資企業が軒並み唐突な罰金をとられており(数百億円)、それに対するヒアリングや抗告手段がほとんどないなど外資排除が顕著化
  • 一部製品や業界に対して、ソースコードや技術情報の開示を義務付けるなど国産化政策を政府が推進している

海外からの委託生産は、上記のことに加えて中国政府が取り組む環境保全政策が加わりコスト高が避けられず、規模が拡大するのは難しいだろう。

しかし、中国のローカル市場に挑んだ場合、中国の大多数の人は可処分所得が先進国の1/5程度(年平均100万円)なので価格競争が避けられない。先に進むもあとに引くのも難しい状況が続くだろうと思われる。外資はまさに今後どう事業を続けるのか、それとも中国からの撤退をするのか、迫られていると言える。