規制されない世界最大の広告機構
サイトや無料アプリについてくるもの。それは広告。サイト運営にはランニングコストがかかるので、広告から入ってくる収入はわずかでもありがたいものだ。このネット広告分野で一番強力なブランドはGoogleだ。このGoogle広告と中国の奇妙な関係について調べてみると、謎が…更に深まった。
Google AdSenseについて
そもそもGoogle AdSenseを知らない人が多いと思うので、かんたんに紹介する。簡潔に言うと、GoogleやYahoo!で検索をした時に出てくる広告である。たとえば、「木魚 購入」などで検索をすると、「木魚の○×」と出てくるものだ。ぱっと見検索結果のようだが、実際には広告出稿側から1クリックあたり10円などのように広告使用料を徴収するものである。
中国ではGoogleの検索サイト自体が規制されているので、実際にこの画面を見ることはできない。しかし、実は中国にいてもこの手の広告は表示されているのである。
その広告本当に動くの?
では、その広告を見ることができるのはどこか?たとえばだが、まとめサイトなどをネットサーフするとサイドバーや記事の上下にある広告がそれである。たとえば、本サイトでもテストのために入れてみた広告が下記のように表示されている。
この手のシステムは、出稿元からデータを読み出し、実際にクリックされたかをカウント、その上で出稿元のサイトに転送される仕組みになっている。広告のリンクは見た目「www.yahoo.co.jp」のように見えるが、かなり複雑なアドレスになっている。ただ、いずれにしてもGoogle所有のサーバにアクセスする必要がある。そこで不思議に思ったのは、この広告は実際に稼働するのか?である。
自サイトでクリックするとポリシー違反になるので、別のサイトで試してみた。
この例ではHIS上海が広告を出しているようである。クリックをしてみると…
実際にHISのサイトへと転送された。正常に動作しているようである。
中国で開けない管理画面
不思議なのはこの広告管理をする画面自体は中国でしっかり規制されていることだ。実際に時間がある人はVPNなしで「グーグルアドセンス」をクリックしてみるとわかるが、以下のように開けない旨が出てくるはずだ。
中国語OSやAndroidまたはiPhoneなどで言語を中国語にしていると、ここに中国語の広告が出るはずだ。したがって、中国企業もこの広告システムを利用しているはずなのに、そのサイトが利用できないという奇妙な事実がわかるのだ。
Googleの広告システムはもともとダブルクリックという企業が作った仕組みを企業ごと買収しており、この企業に直接アクセスしているのかと思ったのだが、このサイト自体も規制されている。
そうするとますます謎なのが、次の2点である。
- 中国のネット広告をどうしてGoogleに開放したままなのか(=なぜGoogle AdSenseは規制されないのか)
- 利用している中国企業はどうやって広告を出稿しているのか
もしかすると、Googleとの間にピンハネをする仲介業者がいるのかもしれない。自由主義の象徴のように言われているGoogleだが、案外ウラでは中国当局とべったりくっついているのかもしれない。謎は深まるばかりだ。
コメント
learnerさん
コメントありがとうございます。
私で回答できる範囲であればどうぞ。
大変に興味深い記事です。質問させてもらってもよろしいでしょうか。