中国ネット実名制強化-VPN経由も対象

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国民を口封じ

中国当局のインターネットでの実名制がさらに強化される。今までのSNSを中心とする大手への規制から、中国国内隅々まで対象となる規制である。国民の口封じがさらに強まりそうだ。

中国ネットと実名制

中国でインターネットを使うとき、事前に実名制の登録が義務付けられている。固定のネットワーク(ADSLや光など)は、利用申請をするときに身元確認が行われインターネットの利用規定へ同意を求められる。

スマホでも、電話番号を取得する時に身元確認が行われるので、電話番号=身元になる。昨今の中国アプリは、すべて電話番号の登録を必須としているため、電話番号を元に身元の割り出しが可能となっている。。たとえば、以前は電話番号が不要であったQQも、現在のバージョン(2017)では、当該登録画面をスキップできない。

去年の秋頃からモーメント(個人日記)など個人がネット上に公開できるSNSについて、大手を中心に運営元による実名担保を義務化しており、ほぼ実名制は完成していた。

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今回の新規定は、従前のものとどこが違うのか?

新実名規定のポイント

8月25日に国家互联网信息办公室から公布された規定では、目的として以下のように掲げている。

国家互联网信息办公室8月25日公布《互联网跟帖评论服务管理规定》(以下简称《规定》),自2017年10月1日起施行。国家互联网信息办公室有关负责人表示,出台《规定》旨在深入贯彻《网络安全法》精神,提高互联网跟帖评论服务管理的规范化、科学化水平,促进互联网跟帖评论服务健康有序发展。

その上でだが、従前の規制で外れていたオンラインサイトすべてに適用範囲を広げているのがポイントである。SNSについては従前通りだが、いわゆるフォーラム方式(掲示板やBBSなど)についても実名制の担保が求められている。

本规定所称跟帖评论服务,是指互联网站、应用程序、互动传播平台以及其他具有新闻舆论属性和社会动员功能的传播平台,以发帖、回复、留言、“弹幕”等方式,为用户提供发表文字、符号、表情、图片、音视频等信息的服务。

中国版ニコ生も対象

今回の新規定では、従来の返信やコメントに加えて”弾幕”方式についても対象となっている。この弾幕とは、ニコニコ動画などで一躍脚光を浴びた動画などと一緒に流すコメント方式を指す。ちなみに、弾幕の語源を調べてみると、どうやら日本語のようである。

動画などを念頭に置いた規制強化が、日本のネットニュースでも話題になる中国版ニコ生を念頭に置いているのは、想像に難くない。

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重い運営者への義務・負担

SNSと同様に運営元は以下の処置を講じるように義務化された(カッコ内は原文)

  • 個人情報の収集と適切な管理すること(建立健全用户信息保护制度,收集、使用用户个人信息应当遵循合法、正当、必要的原则,公开收集、使用规则,明示收集、使用信息的目的、方式和范围,并经被收集者同意。)
  • すべての公開情報をくまなく・リアルタイムに監視すること(建立健全跟帖评论审核管理、实时巡查、应急处置等信息安全管理制度,及时发现和处置违法信息,并向有关主管部门报告。)
  • 違法なコンテンツを削除すること(同上)

ユーザ登録を求めるサイトでも、実名制を求めないサイトは複数あった。風俗系など中国では本来ないはずのサイトは、この傾向が強かったが今回で規制対象となる。もっとも、サイトやコンテンツ自体が違法なのでアウトであるが。

また、かなり負担が重いのが次の2項目である。

  • 弾幕方式のサービスの場合、サイト(ここでは画面)と静的な情報(弾幕データ)を対象とする(提供“弹幕”方式跟帖评论服务的,应当在同一平台和页面同时提供与之对应的静态版信息内容。)
  • フォーラムの開発・運営に携わる場合、これらの方式にすべて対応できるように研究開発をすること(开发跟帖评论信息安全保护和管理技术,创新跟帖评论管理方式,研发使用反垃圾信息管理系统,提升垃圾信息处置能力;及时发现跟帖评论服务存在的安全缺陷、漏洞等风险,采取补救措施,并向有关主管部门报告。)

ブラックリストの共通化?

今回の新規定では、義務化の範囲および方法を拡大しているだけではない。目を引いたのが、同規定9条の内容である。

第九条 跟帖评论服务提供者应当建立用户分级管理制度,对用户的跟帖评论行为开展信用评估,根据信用等级确定服务范围及功能,对严重失信的用户应列入黑名单,停止对列入黑名单的用户提供服务,并禁止其通过重新注册等方式使用跟帖评论服务。

(意訳)フォーラムのプロバイダは、ユーザのクラス階級制度を導入し、各ユーザの発言内容について評価を実施し、その規定に基いて信用失墜行為を行うユーザをブラックリストに追加し、当該ユーザのサービス停止および新たな登録を禁止すること

一度フォーラムにて、風紀を乱す発言や政策に反する発言をするユーザについては、現行アカウントの停止に加えて、再度登録をさせないという退場方式を取っている。

さらに続けて…

国家和省、自治区、直辖市互联网信息办公室应当建立跟帖评论服务提供者的信用档案和失信黑名单管理制度,并定期对跟帖评论服务提供者进行信用评估。

(意訳)国家・各省・自治区・直轄市の当局は、フォーラム運営者の信用記録およびブラックリストの管理制度を提供し、定期的にフォーラム運営者の信用評価を実施すること

当局がこれらのフォーラム運営者の信用記録について管理制度を創設することとしている。これが単純にフォーラム運営者の管理なのかブラックリストを含む全国管理なのかがやや曖昧である。もしもブラックリストを全国で管理するのであれば、一度どこかでレッドカードを出されたユーザは、中国国内で一切発言ができないということになる。

今まではVPNなどで一度国外に出てしまえば、爆弾発言する荒業もできたが、今後は発言の投稿自体に規制が掛かるため、荒業も禁じ手となる。もっとも、VPNについては個人向け利用を一律禁止する流れがあるので、時間の問題かもしれない。

中国政府がついに強硬手段に打って出た。国内の大手キャリア3社に対して個人利用のVPNアプリが行う通信を、すべて遮断するように要請(命令)してきたのだ。だが、技術的に可能なのだろうか?

ブラックリストが共通化されない場合でも、各運営元は生殺与奪権を当局に握られているので生きた心地がしないのは間違いない。

今回の規定は10月1日より施行されるので、中国ネット上での発言(SNS含む)にはくれぐれもご注意を。

QQや微信グループの発言も対象

2017年9月8日の各メディア報道は、QQ群や微信(WeChat)グループの発言も対象となり、管理者はグループメンバーの発言についても相応の責任を負う旨の記事を掲載している。

国家互联网信息办公室7日印发《互联网群组信息服务管理规定》提出,互联网群组建立者、管理者应履行群组管理责任,即“谁建群谁负责”“谁管理谁负责”,依据法律法规、用户协议和平台公约,规范群组网络行为和信息发布。

网信办:微信群QQ群等“谁建群谁负责”

この記事の元ネタとなっているのが、当局が出した”互联网群组信息服务管理规定”になる。この規定のうち第9条にはグループ設立者の責任について書かれている。

第九条 互联网群组建立者、管理者应当履行群组管理责任,依据法律法规、用户协议和平台公约,规范群组网络行为和信息发布,构建文明有序的网络群体空间。互联网群组成员在参与群组信息交流时,应当遵守法律法规,文明互动、理性表达。互联网群组信息服务提供者应为群组建立者、管理者进行群组管理提供必要功能权限。

法律を守って、理性的に交流をしなくてはならない…と、ごくごく当たり前の内容である。ただ、グループの創設者がどの程度管理して、違反した場合どうなるのかがよくわからない。実名制を再度前面に出しているので、実名登録されていない古いアカウントユーザが作ったグループは消える運命にあるのかもしれない。当サイトが管理しているQQ日本人会の先行きも不安である。

当サイトでは、”QQ日本人会”グループを結成しており、いつでも新しい参加者を募集中です。

QQは国際版を展開しているので、海外ユーザも多数いる。その場合、実名制をどう担保しようとしているのだろうか?

いずれにしても、中国のネットはさらに窮屈になりそうである。