記者を逮捕・自白強要
中国当局が有名経済雑誌の記者を拘束し、国営テレビで株乱高下の原因を作った旨の自白を放映した。中国は市場に任せる社会主義的自由主義からすべて中央が監視する統制計画経済と前時代的な警察国家へと転換するようだ。
デマの容疑で200名近く逮捕
天津爆発事故前から強化されていたメディアやネットに対する規制。天津爆発事故直後からは、事件の風化の加速化も狙ってか、当局の言論規制の過剰なまでの反応と強権的な逮捕を続けている。デマについて言うと、再生回数が5,000回超えると監視対象となるようだ。
BBCは、中国はネット上の情報を厳しく統制しており、これまでにも、うわさを広めたかどでネットユーザーを訴追している、と伝える。中国当局は2013年、ネットでうわさを広めることに対して、最長3年間の拘禁刑を課す法を施行したと伝える。これは、投稿したうわさが500回以上再投稿されたか、5000回以上閲覧されると、処罰の対象になるというものだ。
この再生回数5,000回と言うのはかなり少ない。日本でもちょっとした動画ならば、すぐに超えてしまう。人口が10倍ある上に、モバイルが普及している中国ならば、なおさらである。それだけ当局がピリピリしているのだろう。
経済記者も逮捕
そんな中で経済系雑誌で有名な「財経(Caijing)」の記者が逮捕された。容疑は、彼が掲載した記事が株の乱高下を引き起こす原因となった不適切なものだったらしい。この告白動画は、中国中央電視台を通じて全中国に向け配信された。もっとも、自供となっているが、公平・公正な裁判が全く期待できない独裁国家を恐れての発言であり、自白強要というのが正しい。
新華社によると、王記者は中国の有価証券と先物市場に関する情報を捏造(ねつぞう)し流布した容疑で、当局に身柄を拘束された。報道によると事情聴取で王記者は、自身の「虚偽の情報」が「株式市場にパニックと混乱を引き起こし、市場の信頼を著しく傷つけ、国と投資家に多大な損害を負わせた」と「自供」したという。
中国に言論の自由も報道の自由もないのはわかっているものの、この報道は衝撃的で、台湾や香港系のメディアでも大きく取り上げている。自白はYoutubeなどでも見ることができるので、興味がある方は見て欲しい。
この程度の内容で、中国の株式が乱高下するのであれば、それはそれで驚きである。噂のレベルで乱高下するほど、中国の株式市場がマーケットとして機能していないということに加えて、それだけマスメディアの影響力が絶大だと言っているのに等しいからだ。
中国で不当逮捕されないために…
そんな中国の様子を的確に描画したコラムを見つけたのでご紹介。
めまぐるしく変化する中国社会は、国民全員が参加するババ抜きゲームのようなものと言える。
時間が経つにつれ、人々は自分とは関係のないことだと事故のことを忘れ、事故は徐々に風化していく。冷たいというよりも、今回ババを抜いたのはあそこに住んでいる人々だったと納得し、忘れ去っていくのだ。
這い上がりたい中国人、現状に満足の日本人 「次に犠牲になるのは自分の番」と常に危機感 | JBpress(日本ビジネスプレス)
文中にある「中国社会は国民全員が参加するババ抜きゲーム」という表現は的確ではないだろうか。たまたま、今回は王曉璐氏がババを引いてしまった訳で、次に誰がババを引くのかは分からない。
ひょっとすると、反日機運を高めるために、WeChatやQQで話した内容を元に逮捕される「あなた」かもしれないのだ。そこで、中国ネットを利用する場合の注意点をいくつか挙げたい。
- 個人情報を一切載せない。特にQQやWeChatには、個人に結びつくような情報を記載しないこと
- ネット接続時はVPNを常時利用(接続情報も当局は持っている)
- プライバシー設定は適切に行う。中国製アプリはあなたの個人情報を盗むので要注意
特に3番目は、スマホアプリの権限設定を適切に行いたい(参考記事:中華アプリから身を守る@Android)。逮捕されるのは不幸な人!などと思わず、在中邦人の各位はぜひ気をつけていただきたい。
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