次世代検索エンジンはBaidu?

中国インターネット
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Googleの劣化がここ数年で急速に進んでいる。検索しても欲しい情報がヒットしない、不要なゴミを表示、インタフェイスの改悪等々。一方で、本サイトが散々叩いてきた百度が最近目覚ましい進歩を遂げている。次世代検索エンジンは、意外にも百度かもしれない。

Googleの検索結果がゴミだらけ

中国ではGoogleもYahooもブロックされているが、仕事にプライベートに検索はGoogle!という人も多いだろう。ディレクトリ検索のYahooが最盛期だった頃に、キーワードで解を表示してくれた同社エンジンは私も感銘を受けたものだ。

そんなGoogleだが、ここ数年あれっ?と思ったことないだろうか。検索の結果が、自分の意図としたものと異なるのだ。同じように思っている人がいて、Twitterでつぶやいたら反応があった。

なんというか、ゴミだらけなのだ。タイトルにキーワードを含めて引っかかるようにしたSEOを駆使したサイトだらけで、欲しい情報がまったく手に入らない。

誘導サイトが虎視眈々とあなたを狙う

たとえば、サラリーマンやっていると、自分の収入が人並みかどうか知りたいという衝動に月1くらいでかられると思う。

そこで”収入 平均”で検索すると、こんな感じである。

トップに来ているこのサイト、情報源がdoda(デューダ)なのに、同社のサイトよりも上に表示されている。で、このサイトの目的はなにかというと、どの業界もITスキル必要だよね!からの職能訓練サイトへの誘導である。なんだこりゃ。

興味本位ならともかく仕事で使うなら、中立な立場にいる組織なり機関なりの結果から普通は引用したいだろう。このケースでは、”収入 調査”で検索したら行政機関(国税庁)の調査結果が出てきた。

国税庁がサブタイトルに”平均給与”とつけている。

そこで『次回から”平均給与”で調べればいいんだな!』と思うかもしれない。しかし、それは大間違いである。”平均給与”で検索すると結果はこうなる。

doda(デューダ)が悪いと言っているわけではない。

ただ、同社は税務調査でやる質問検査権を持っていない。また、全国津々浦々で活動しているわけでもない。どうしても業界や地域の偏りが出てくる。

行政機関の調査が完璧などと言うつもりはないが、数字を知りたいときに転職させたい民間企業よりはマシである。転職エージェントも転職させてなんぼのサービス業。ひょっとすると、意図的に数字を除外して、高め出している可能性もある。

検索エンジンを逆手に取る業者

検索結果について、Googleは公式見解を出している。

そこで Google では、最も関連性の高い回答を、より速く、ユーザーが探している情報のタイプに最適な形式で提供するために、さまざまな改善を重ねてきました。

機能 – Google 検索の仕組み
毎回の検索において、一致する可能性のあるウェブページおよびその他コンテンツは、何千件、場合によっては何百万件も存在します。Google では、堅牢なシステムを使用して、検索クエリに対する最も有益な情報を提供しています。

つまり、検索結果はユーザが探している情報に一致していると。それは、検索結果が悪いのはユーザの探し方が悪いということなのか?

ちなみに、やり玉に挙げた2社はまだマシな部類である。少なくとも引用元を書いている。

とあるキーワードで検索して出てきたサイトは調査と言いつつ、調査母数も割合もなにもない書いていない。最終的に、結婚斡旋業者への誘導をするサイトだった。

調査に必ず数字が必要だとは言わない。ただ、複数の立場から見てそれなりに納得感を出すには数字を使うだろう。

と言った具合に、Googleの検索結果は、同社の検索アルゴリズムを逆手に取ったサイトが跋扈(ばっこ)している。数年前に大手が運営するサイトがデタラメ医療記事を書いて大炎上した。

WELQ問題「医師監修」だから安全とは限らない
DeNAの傘下にある健康・医療系キュレーション(まとめ)サイト「WELQ」。不特定多数のライターによって書かれた記事内容の信憑性に問題があったこと、ほかのサイトをコピーして加筆するなど、著作権上も問題があっ…

なんてことはない、Googleが掲げた医療や健康以外は、相変わらずゴミだらけである。

劣化するGoogleと改善する百度

さらに、同社が最近やったことといえば、ユーザエクスペリエンスを低下させるインタフェイスの改悪である。Gmailは去年のインタフェイス刷新後、体感で遅い。

Blocked

Google Mapsに追加された”Explore nearby”機能や”For you”リコメンド機能も邪魔。ただでさえスマホの画面は制限があるのに、ポップアップして出てくるのだから不愉快極まりない。

私だけか?と思ったら、同じようなことを海外でもつぶやかれている。

Blocked

投稿されていたコメントが、代弁していてびっくりだ。

Usually, when I open Google Maps I'm in something of a hurry. I'm often driving, or rushing out the door, and it annoys me endlessly to have to swipe away the stupid “explore nearby” tab that automatically pops up at the bottom of the screen every (every!!) time you open Google Maps.

意訳:普通、Google Mapsを使うとき、なにか急いでいるときなんだ。運転してたり、急いででかけたりだよ。そんなとき、この間抜けな”Explore nearby”が毎回(そう、毎回!)画面の下からひょっこり出てきて、スワイプアウトをしなくてはならずイラッとさせるんだ。

この点、百度地図は機能強化をしつつ、ユーザが見たい情報を極力邪魔をしないように改善している。付近の人はこんな単語を検索しているよ!と教えつつも勝手に消えてくれる。

検索エンジンを逆手に取ったサイトが増えて、検索を邪魔している今、ふと思うのだ。5年前に李克強氏が言ったネットの世界に秩序が必要と言うのは一理ある、と。

ネットの「秩序維持」には中国の役割拡大が必要、李首相
【11月21日 AFP】中国の李克強(Li Keqiang)首相は20日、世界のインターネットを形作る上で中国がより大きな役割を果たす必要があると述べ、ネット上には「秩序」が必要だと訴えた。

百度の検索結果には、公式サイトを認定したマーク(官网)が付けられている。小さいことながら、安心感を出すのに十分な配慮だ。

AIを駆使してプライベート無視はあるものの、罠を仕掛けているサイトを紹介するGoogleよりはマシだ。Googleが自滅している今、次のインタフェイスに百度も悪くないと思うのだ。

もっとも、百度は中国語にアルゴリズムが最適化されているので外語はダメダメである。今後の同社の改善に期待したい。

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