上海市で敬老カードを大盤振る舞い

中国
この記事は約3分で読めます。

上海市政府が民間企業と連携して敬老カードを大盤振る舞い。銀行カードと一体化したもので、各種割引サービスが受けられるとのこと。政府が市民の懐柔にピリピリしているようだ。

福利厚生一体カード

この敬老カード、『上海市老年人权益保障条例』にもとづいて市共産党委員会と市政府の要請で作られたもの。65歳以上の高齢者であれば本カードを発行してもらえる。

各種動物園や自然公園、博物館、銀行、映画館、文化センターおよび公共機関など2,700箇所で各種割引サービスが受けられるというもの。中国らしく敬老カードのデザインは、以下の写真のように真っ赤っ赤。

表面が普通の銀行カードで、裏面が敬老カードになっている。

上海市(に限らず中国全土)の交通カードもそうなのだが、もう少しおしゃれなデザインか、わかりやすいデザインにしてもらえないのだろうか。

この敬老カードのために、市政府は民間企業でショッピングサイトの1号店を巻き込んだり、専用のポータルサイトやコールセンターを開設しており、なかなかの力の入れ具合である。

综合为老服务平台

この敬老カード、いわゆるバラマキ政策の一貫である。

進んだネット・マスメディア統制

全人代では10年ほど前から沿岸地区と内陸部との格差解消に努めているが、沿岸地区でも開発の恩恵を受けた人と受けられなかった人でも格差が生じている。たまたま開発地区に家があった人は、立ち退き料に加えて、戸籍に記載のある住民すべてが新しいマンションをそれぞれ受けられるような成金話をあちこちで聞く。その一方で、開発からこぼれた人は、うなぎのぼりの物価に苦しむという構図である。

これに加えて、朝令暮改な規制が立て続けに起きており、つい先日には上海市の中心地でデモが起きて逮捕者が出ている。

中国・上海市中心部の繁華街で10日、市の不動産政策に反発した数百人による抗議デモがあり、一部が警官に拘束されるなどした。12日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストなどが伝えた。

上海の繁華街で抗議デモ 数百人が不動産政策に反発 中国メディア一切報じず

一昨年の2015年秋ごろから中国政府は相次いで貧困対策を強化してきた。たとえば、生活保護制度の支援強化や貧困層向けの住宅の拡充などだ。今回は、高齢者向けに大盤振る舞いである。

脱贫攻坚的中国智慧-中国访谈-中国网

ただ、質や量が追いついておらず各地で暴動が絶えない。今までは内陸部や出稼ぎ地域で多かった暴動が、上海という大都市で起きたことは衝撃的である。

同時に、中国政府が進めてきた言論の封じ込めが一定の『功を奏じている』のも確かだ。報道を見る限り、現場を撮影している人がいるにもかかわらず、WeChatには出回っていない。また、政府報道やそれに準じたもの以外をニュースソースとして禁じたマスメディア統制のため、国内のメディアは報じていない。

今後、経済発展の速度が落ちると類似の事案は増えるのが予想される。それはネットを含む政府の規制強化の引き金になるのは疑いようがない。敬老カードは一見微笑ましいが、政府が市民の意向にピリピリしているのを伺える出来事ではないだろうか。

コメント

  1. 鳳梨de中國 より:

    toripapaさん

    コメントありがとうございます。
    中国経済崩壊論は10年以上前からあるものの,未だに実現しません。
    そもそも中国は資本主義でもないし,金融の自由化がされているわけでもないので,いかにようにでもできます。
    それに中国共産党の独裁を暗黙上認めている理由は経済的な成功なので,これを共産党がぽかするとも思えません。
    長期的に見て,今のようなやり方はどこかで行き詰まると思いますが,バブル崩壊も有り得そうにないなと見ています。
    中国が独裁やっていて一番恩恵受けているのは日本企業だと思いますし,以前の記事にも書きましたが,反日だからこそ渡日する人が抑えられているという意味では,日中は一蓮托生です。
    それぞれうまいところ取りすれば,あと20年くらいは持ちつ持たれつできるんじゃないか…と考えています。
    こちらも長文でした。

  2. toripapa より:

    現習政権は権力の集権化を進めているが旧ソ連にもあった特権階級の利益を侵せば自らの進退も脅かす危険を招くことになります。旧ソ解体は、赤い貴族(ノ-メナクラトゥ-ラ)と呼ばれた特権階級と政権との主導権争いの間隙を縫って民衆に押し切られたいくつもの偶然が引き起こした産物で、その後の検証で明らかになっています。東欧の一部は、この偶然を拙速に進めたため一部の国では内乱や内戦で多くの血を流しています。

    昨今、日本の多くのメディアは中国崩壊論を論じてきたが未だにそのX-Dayを迎えてはいません。私は感情論や一部の経済的事情で中国崩壊論を唱えるのは無理があると考えています。それらを唱えるのは、自ら日本人としてのアイデンティティを保持するマスタ-ベ-ションと見ています。中国経済や政体の崩壊の影響は旧ソ・東欧崩壊より影響が大きく、ゆっくりと崩壊していくことが望ましいのです。但し、中国が中国人がその崩壊を指を加えて待っているととも思えせんが…。

    少し視点を変えて中国政府の崩壊のもたらす影響を経済面以外で考えるとイスラムの東アジア流入があります。政治的な是非を別に論ずると新疆はイスラム流入の防壁となっている事実があります。実際、新疆に入るとそこは、既に中国に非ずで言語、風習、風土の異なる世界です。私は人間同士の相互理解や互恵なんぞと言う美辞麗句を信ずる程、楽天家てはありません。逆に共産政権が崩壊すれば、その混沌状態に乗じイスラムが流入して更なる混乱を巻き起こすように思えてなりません。それは、古代、吐魯番の遺跡が示すイスラム教徒による破壊が繰り返す気がしてなりません…

    長文になって申し訳ありません。私個人は現習政権を肯定する気はさらさらないのですが急速な弱体化も望んではいない複雑な心境があります。それは義父母や義弟が住まう国であることや日本人に取って益することが今は多くないからです。余計な話でしたm(_ _)m

タイトルとURLをコピーしました