ITmediaというIT業界向け”らしい”ニュースサイトがある。”らしい”と書いた理由は、配信コンツが面白すぎるためだ。たまたま目に止まった記事が斜め上だったのでご紹介。
月500万円で航路不明の船出
SEOのために月500万を超える予算で記事を作り続けてわかった一つのこと – ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話
この方は冒頭で本プロジェクトの目的(らしいもの)を3つあげている(要約)。
- コンテンツが増えれば流入は増える
- ビジネスゴールを達成できるかどうか
- プロジェクトを経て再確信したあるべき姿
それぞれどうなったのか追っていく。
1.コンテンツが増えれば流入は増える
これSEOではおなじみである。この方も『月間数百の単位で分野特化の記事を増やす』としている。月間数百はすごい量である。効果があったのかな?と思うと、『ジャンル特化のメディアを複数立上げ、メディアの記事でECの一覧ページを構造化』と施策。
え、それって…外部のランディングページだよね?
自サイトのページ追加じゃないの!?状態。さらに追い打ちをかけるように、メディア利用(宣伝)をピックアップ。コンテンツが増えれば流入が増えるんじゃないのかよ!
2.ビジネスゴールを達成できるかどうか
この項目はさらにひどい。目的として取り上げておきながら、どうだったのか触れられていない。何がビジネスゴールで、結果どうなったのか。
おーい、どこへ行ったビジネスゴール?
記事の下方に以下のような記述があるので、これがビジネスゴールなのか?
- メディア経由のコンバージョンはあったか?
- ECの一覧ページのSEO順位はあがったのか?
コンバージョン(売上)については完全スルー。あったともないとも書いていない。これが重要だと書いておきながら、直後に『結論からいうと前者はそもそも想定しておらず、後者については順位は上がったものの期待をしていた劇的な伸びではありませんでした。』と。
一体何がビジネスゴールだったのかと思いながら読むと『被リンク獲得を優先にしました』としながら、この語句の主語はメディア。メディア利用は施策の1部なのでビジネスゴールではないですよね…?
3.プロジェクトを経て再確信したあるべき姿
極めつけはこちら。ちなみに、『あるべき姿』を日本語表現辞典で調べてみるとこうある。
本来そうなっていて当然の状況、理想的な状態、などを意味する表現。
試行錯誤の結果、こうやるべきだ!という結論なり図なり来るのかと思ったのですが、あるべき構造に描いてある内容は施策一覧です。私の方針は間違っていない!的な自己肯定で書いているならわかるのだが、直前の項目で以下の結論。
『メディア経由のナチュラルリンクだけでは劇的な改善は実現できないのでは』
え?うん?
『~できない。したがって~のようにするべきである』とはいかないのですね。斬新すぎる…。
どこへ行った効果測定?
プロジェクトと言うのは、以下のように理解している。
- 現状分析:出発点
- 目標設定:着地点
- 具現化と測定
今回の記事では現状分析を1の冒頭、目標設定が不明確でそのまま結果として『メディアの流入が数百万PV達成、数千のナチュラルリンク獲得』と記載しておきながら、それが当初目標と方向があっていたのか、達成できていたのかについて言及していない。
ちなみに、これらのステップについてはリコージャパンのサイトがよくまとまっている。
第五回 変革プロジェクトの結果分析・効果測定と全体のまとめ|RICOH Communication Club 経営に役立つ情報発信サイト
成功でも失敗でも、その判断基準(KPI)があるはずなのだが、こちらも読者を置いてけぼりである。
結局…
この記事を書いた方はSEOのコンサルタントと肩書を記載されている。え、これでコンサルタント?
Σ(゚д゚)ハッ!!
ひょっとして、この記事は”大喜利会場”ではないのか?この記事がネタになり、メールで食いついてきたカモネギ顧客リストを作れなら500万円の価値はある。
でも、その500万円、本当に投資されたのか?よもや中国の購買担当者みたいに250万円くらい自分の懐とかないですよね…(笑)
お後がよろしいようで。
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