シンガポール政府は今日から酸素濃度計の無料配布を開始。コロナウイルス対策としてシンガポール政府が考えた1つのアイディアである。
シンガポール政府は年末に向けて活動再開をいろいろと計画している。以前は人口の2倍強近い旅行(ビジネス客含む)を受け入れていたシンガポールにとって、国境再開は最重要課題である。チャンギ国際空港やシンガポール航空は国内需要だけでは運営がまかないきれない。そのため、政府は個人旅行含めた人の行き来が早ければ今年の年末までには目処を立てたいようだ。
ワクチン接種をしても症状が軽くなるだけで感染予防はできない。しかし、鎖国を続けるわけにもいかない。そこでシンガポール政府は医療機関がキャパオーバー起こして人命事故を予防しつつ、経済活動の再開へ舵を切ろうとしている。
1つはワクチン接種の加速。今までは2回目までを順繰りに行ってきたが、5月に発生した病院や学校でのクラスター発生を受けて、たとえ1回だけでもまずは全住民に受けてもらう方向へ転換している。さらに、感染したかも?の場合を考えた自己検査キットや今回の酸素濃度計の配布を開始した。
酸素濃度計の配布は少し前から大々的に宣伝されており、専用のサイトも準備されている。
この配布プログラムのすばらしいところは、既存流通網をフル活用して、至るところで配布していること。生活用品を買わない人はいないので、物流網に乗せることで買い物ついでに取りに行ってねという働きかけである。
また、IDカードの効用でもあるが、バーコード付きの冊子を持っていくだけで交換できる手軽さも一躍買っている。日本であれば申請書書けとか来そうなところである。
実際に入手した酸素濃度計がこちら。箱に必要なものが一式そろっており、受け取ったその時から使えるようになっている。電池も付いているのは電池ないから放置されるのを防止するためなのだろう。
使い方はかんたんで(というか、ボタンが1つしかない)、電源を入れて指を突っ込むだけ。これで現在の酸素吸入率が見られる仕組みになっている。
ここで出てくる値が90%を切るようであればかかりつけ病院へ行きなさいとなる。逆に言えば、体調が悪くてもこの値が正常なのであれば風邪などの線を疑って、病院に行ったりPCR検査など過剰な負担をさせるなと言うことであろう。
この機材を世帯数分だけ配布しても、病院への余計な過剰投資や経済規制よりも見合うというそろばんが弾けているところもシンガポール政府のスマートさでもある。日本は国土と人口が1桁違うので一概に比べられないが、参考になるはず。
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