ウィキペディア(Wikipedia)と中国のネット検閲

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貿易障壁論勃発か?

ネット規制で米中攻防

中国政府が決めた外国コンテンツの締め出しが、米中間でネット規制をめぐる攻防に油を注いでいる。中国共産党や政商を守る防波堤が崩れることはあるのだろうか?

パナマ文書と習近平

2015年末からニュースに上るようになったパナマ文書。世界各地の首脳や財界人を巻き込んで収まる様子がない。ちなみに、パナマ文書(またはパナマペーパー)は、パナマの法律事務所が作成したタックスヘブン(租税回避)にかかる一連の機密文書である。

海外に手持ち資産を逃がして、機会があれば自身も海外に逃亡したい中国人もかなりの数リストアップされている。その中でも注目されるのが、習近平の身内である。日本語版のWikipediaにはあまり記載がないが、中国語版を見ると中央総書記に始まって政治局常委、国務総院などがずらずらと並ぶ。

Wikipediaでパナマ文書を開いて、言語の切り替えをすると中国語版が開けるので試してみて欲しい。ただし、当該項目は中国大陸では開けない。これは、中国のインターネットが香港・澳門(マカオ)を除いて、金盾と呼ばれる検閲システム経由で海外とつながっているためだ。

ウィキペディア(Wikipedia)と金盾

習近平自身ではないが、その近辺に租税回避行為をしているのは当局としては都合が悪い。ニュースによく取り上げられるようになった3月頃から、関連ニュースの規制と削除をしている。中国ではGoogleの検索エンジンが使えないため、中国の検索エンジン(百度)の首根っこを抑えてあるので、基本中国国民が知る術はほとんどない。

加えて今週に入ってからは、言及をした弁護士を拘束するなど躍起になっている。

中国で、タックスヘイブン(租税回避地)での金融取引の実態を暴いた「パナマ文書」で判明した習近平国家主席らの親族の疑惑について、インターネットに習氏をやゆする書き込みをしたと疑われた中国人の男性弁護士が、一時拘束され取り調べを受けていたことが15日分かった。複数の関係者が明らかにした。

【パナマ文書の衝撃】中国、男性弁護士を一時拘束 ネットに習近平国家主席を揶揄する書き込みで 情報統制に躍起 – 産経ニュース

揶揄して疑惑があるだけで身体拘束されるのだから、中国には近代法という概念がないようである。当局は本件について、用語文章を拡散させているようだが、逆効果ではないか。

中国の習近平国家主席(共産党総書記)の親族らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用していたと暴露した「パナマ文書」の問題で、中国国内のニュースサイトに「習近平は親族らをきちんとしつけていたのではないか」と擁護する文章が掲載された。

習氏擁護文章、ネットで拡散=「パナマ文書」遮断の中国 – BIGLOBEニュース

諸刃の剣「金盾」

報道の自由を自在に制限し、発信元も特定できるという時の権利者にとっては夢の様なシステムだが、貿易障壁だとやり玉に上がっている。アメリカは90年頃からITに産業の主軸を移しており、特にサービス周りは、同国の重要な収入源だ。GoogleやFacebook、Twitterに加えて先日決定した外国コンテンツの規制(参考記事:インターネット鎖国)が引き金になっているのは、想像に難くない。

米通商代表部(USTR)が中国のネット検閲システムについて、貿易障壁となっていると指摘したことを受け、中国当局は、検閲システムは国家の安全を守るためのシステムであり、外国企業を差別はしていないと反論した。

中国、ネット検閲が貿易障壁との米報告に反論 | ロイター

貿易障壁には2種類あり、関税(高感税を掛けて阻止するもの)と非関税障壁があって、前者については以前から指摘があったが、今回は後者も指摘を受けたことになる。

ネット規制で米中攻防

2014年でも、対中貿易が2006年と比べて1.5倍に伸び、対日赤字の3倍強と非常に大きい。大統領選の予備選でトランプ氏が、アメリカの雇用が中国に奪われていると表現しているのも、アメリカ経済のイライラを表している。

ただし、中国側にも言い分がある。そもそもウィキペディア(Wikipedia)を含む米国流インターネットが本当に中立なのだろうか?という点である。意図的に情報が改ざんされて、ほかのメディアと含めて情報合戦になったとき、ネット上の風評や虚偽の情報をもとにアクションを起こしかねないという憂慮があるためだ。

進む厳罰化と不明確な規定中国当局のネットに対する言論規制が止まらない。日本アニメに対する規制が発表につづいて、軍に対するデマを流布させたとい...

もちろん、独裁政治を維持していくという点でも金盾が、政策の重要な柱であることを考えれば、今後も中国政府が放棄するとは思えない。当面の間は、中国当局は外交と内政の間に挟まれて、難しい舵取りを迫られるだろう。