銀行カードは1人1枚まで
2016年12月1日から銀行口座のルールが変更される。この新ルールは、今年の9月に中国銀聯から発布。詳細は公式ページにあるが、概要をご紹介。
银发〔2016〕261号中国人民银行关于加强支付结算管理防范电信网络新型违法犯罪有关事项的通知-中国银联 China UnionPay
要約は以下の通り。意訳なので間違いがあったら指摘お願いしたく。
1.各銀行に開設できる口座は1口のみ
今までは同じ銀行に複数口座の開設ができたが、12月1日より口座(Ⅰ类户)は1口に制限される。既存で口座を持っている人は、Ⅱ类户またはⅢ类户のみ開設できる。
※Ⅰ类户って何?という人は以下の表を見てほしい。
大雑把に例えると、Ⅰ类户は普通の銀行口座、Ⅱ类户はクレジットカードや理財投資の口座、Ⅲ类户はAlipay(支付宝)やWeChat(微信)などの支払口座になる。
2.既存の複数口座は整理統合
2016年11月30日以前に開設した銀行口座も野放しにはならない。
口座を管理する各銀行は、新ルール施行以降、複数口座を持つ口座開設者に対して複数口座のヒアリングを実施。合理性がない場合は、口座の閉鎖・合併またはⅡ类户やⅢ类户への変更ができる。ノンバンクの支払い機関が開設できる口座は各個人ごとにⅢ类户のみ。
3.嫌疑ある口座は停止
2017年1月1日からは、市レベル以上の公安機関が登録したネット上での犯罪案件(开展电信网络新型违法犯罪)の事案名簿に記載ある口座は、銀行および支払機関は一切の業務を停止する。
この事案名簿にある口座の所持人は、身分を再度照合する必要となる。3日以内に行われない場合、銀行口座はカウンター業務以外、支払い口座はすべての業務を停止する。
4.懲罰機関の新設
同じく2017年1月1日から懲罰機関を設置する。対象となるのは以下のとおり。
- 銀行口座または支払口座をレンタル・貸出(名前貸し)・販売・購入した個人・組織
- 銀行口座または支払口座を身分を偽って開設をした個人・組織
懲罰内容は、5年以内の銀行カウンター業務以外のすべてと支払口座のすべての業務停止。3年以内に新規口座の開設はできない。また、これら情報を公示する。
5.申請審査機関の新設
銀行および支払機関は新設される申請審査機関に加入し、全国企業信用情報システムにより悪質な企業(严重违法失信企业名单)を照会、存在しない住所または企業の営業所に対して口座開設禁止する。この調査は少なくとも3ヶ月に1度実施、事実確認の上3ヶ月以内に口座への業務停止・整理を行う。
従業員への給与支払いを名目に多数の口座を開設していたペーパーカンパニーは、これで息の根が止まるかもしれない。
6.電話番号審査の厳格化
銀行および支払機関は、口座の電話番号と身分証を1:1になるように審査を厳格化。
多数の身分証に紐付けされた電話番号の口座の調査を実施。未成年者や高齢者を管理する立場にあるような合理的な理由がない場合、銀行カウンター業務以外のすべてと支払口座のすべての業務停止。
7.POS機器の管理厳格化
いかなる個人および組織もネット上でPOSおよびMPOS、クレジットカードのカードリーダの販売・購入を禁止。
各銀行および支払機関は許可したこれら機器の設置場所を確認。確認ができない端末については、停止する。ちなみに、MPOSはモバイルPOSの略。
実名制の厳格化が目的
ほかにもいろいろと規定はある。ただ、その目的は実名制の運用を厳格化するものだ。これにより、国内外のヒトとカネの流れを明確化する算段である。
ただし、中国は『上有政策、下有対策』である。新しいイタチごっこを記事化するのは、そう遠くないであろう。
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