個人アカウントのVPNは規制か?-工信部トップがVPN政策で発言

中国インターネット
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VPN政策について政府幹部が明言

去年から続く中国のVPN騒動。海外VPNベンダの違法化、VPNアプリの削除は既に実施された。残るは違法VPNの一掃である。春節を控えたこのタイミングで、中国政府幹部がVPN政策について言及をしたので取り上げる。

メディアは中国当局の管理下

中国では、中华人民共和国网络安全法(いわゆるネットワーク安全法またはサイバーセキュリティ法)の施行以来、国内で使えるニュースソースを厳しく管理している。

サイバーセキュリティ法案を公表
データに安全な場所はなし中国全人代が政府による情報管理をまとめたサイバーセキュリティ法案を公表した。まだ、法案のレベルだが、通信の秘密をないがしろにし、個人情報への自由なアクセスを明文化するなどツッコミどころ満載である。同法の行き先から目が...

2017年6月以降は、国家互联网信息办公室がニュースソースとなる媒体・メディアを互联网新闻信息服务管理规定として運用を開始、順次許可証の発行をしている。

もともと根拠のないデマや嘘ニュースがネットにあふれていたのが問題になっており、また、そういったデマを信じて死亡者が出るなど社会問題化していた。当局の思惑が一致した規定と言える。

報道によると、亡くなったのは大学生だった魏則西さん(21)。がんを患い、「百度」で武装警察管轄下にある病院が優れているとの情報に接し、約20万元(約307万円)を払って治療を受けたが、効果はなかった。

「百度」でうたわれていた同病院と米国の有名大学との協力関係がうそで、治療法も海外では既に効果がないと証明されていたことが判明。魏さんはネットで経緯などを記した文書を公表し4月に死亡。中国メディアが大きく取り上げた。

中国、ネット検索に新規定 デマ情報で学生死亡受け

この国家互联网信息办公室はインターネット規制を立案・施行している総本山で、本サイトが言う”当局”はここを指している。去年の秋頃に規制の旗振り役が逮捕された記事で紹介しているので覚えている人も多いだろう。

中国インターネット規制の旗振り役逮捕
墓穴を掘ったネットの皇帝 既報だが習近平政権2期目で、初となる大捕物がでた。今回拘束されたのは、中国の情報規制を行う部署出身で、政権1期目からのネット規制強化を旗振りしてきた人物だ。自らの規制強化で自身を救えない同氏は、いまどのような心情で...

ニュースソースの一覧を公開

ただ、この規定に基いていったいどこのメディアが許可されているのか?がわかりづらかった。今年1月30日に国家互联网信息办公室が、許可を発行したメディアを一覧にして公表している。

《规定》实施以来,国家互联网信息办公室组织开展互联网新闻信息服务许可证换发工作。现将中央互联网新闻信息服务单位相关许可信息予以公开,包括:互联网站94个,应用程序50个,论坛14个,博客6个,微博客2个,公众账号292个,即时通信工具1个,网络直播3个,共计462个服务项。

既に許可が出ているのは、サイト94つ、アプリ50個、BBSやブログなど合計462。許可証の更新中なので今後も増えていくはずだ。ここには、紙媒体の新聞など既存メディアは元々管理されているので含まれない。

詳細は违法和不良信息举报中心のパブリックで公開されている。

中央互联网新闻信息服务单位许可信息
(截至2018年1月30日)

運用が規定通りであれば、ニュース内容はある程度信用ができて、当局のお墨付きということになる。

VPN政策は企業活動に影響は及ばない

ここから本題だ。

同じ1月30日付の澎湃新闻に中国工信部トップが、去年からメディアを騒がしているVPN問題について談話を掲載している。

1月30日,国新办新闻发布会上,工信部总工程师张峰再次回应了关于去年出台的VPN相关政策是否会影响用户跨境访问互联网的问题。

工信部:中国VPN政策不影响用户信息安全,通信自由受保护

この紙面で工信部トップが本政策の影響範囲について言及している。当サイトで注目するのが以下の部分。

他强调,相关政策旨在维护公平有序的市场,规范对象是未经批准的无资质企业和个人不会对国内外企业和广大用户正常跨境访问互联网合法依规开展各类经营活动造成影响

意訳『この(VPN政策の)対象は、(昨春施行された許可制のVPNで)批准されていない企業と個人が対象であって、合法の各種経営活動には影響しない』としている。今回のVPNで一掃となるのは、ライセンスを持ったVPNであるとしている。また、次の発言もある。

该《通知》主要的规范对象是未经电信主管部门批准,也没有国际通信业务经营资质,同时又租用了国际专线或者VPN违规开展跨境业务经营活动的企业和个人。

意訳『(この政策の)対象は、(中略)規定違反し越境して運営される企業と個人のVPN』としている。

どちらも1.許可制で批准されたVPNに影響はない。それ以外は対象となる 2.影響を及ぼさないのは企業活動であるということだ。

今回の発言内容は、新しいものではない。去年の秋に同新聞が取り上げている内容を、表現を変えて言っている。

すべてのVPN規制を中国当局が否定…は本当?
すべてのVPN遮断するとの報道を受けて、中国当局(工業情報省)が本方針を否定したとする新聞報道が出回っている。果たして本当だろうか?

前回は工信部からの回答となっていたのが、同トップの名前を出した上で引用しているのがポイントだ。記事内容の重みが違うのだ。

ただ、年末から年始にかけて騒がれていた2月1日から、すべてのVPNが遮断・規制される噂は、今のところ実施されていないようだ。

By now you’ve likely heard about China’s all too scary VPN ban, slated to take effect on February 1, 2018 – or this Thursday. While we won’t know for sure what’s in store until the date hits, based upon news reports and previous experiences here’s what we might expect.

As China’s VPN Ban Looms, Here’s What to Expect

コストを無視すれば、個人アカウントを狙い撃ちしたVPN規制は可能である。もうしばらく神経質にこの情報を追っていく必要がありそうだ。

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