米アップルのスマホ iPhoneで、台湾国旗を非表示にするアップデートが行われたようだ。グレートファイアウォールを始めとする中国当局の度重なる要求に、同社の苦しい対応が読み取れる。
前回のアップデートで、同社は中国からの要請を受けて、Apple IDが中国リージョンにセットされている場合に、絵文字候補から台湾国旗(正確には中華民国の国旗である青天白日満地紅旗)を削除していた。
メッセージの送信側と受信側が同じリージョンであれば問題ない。
ところが、リージョンを超えてやり取りすると、送信側にあるのに受信側にない絵文字を表示しようとして、iOSがクラッシュする問題が発生していたのだ。
In a bizarre case of what appears to be Chinese censorship gone wrong, Apple introduced a bug in iOS that could cause an app to crash if a user received the Taiwan flag emoji and had their region set to China.
Chinese Censorship Bug Caused iPhone Crashes when Receiving Taiwan Flag Emoji
具体的には、送信側で”taiwan”とタイプして表示される絵文字候補を、そのまま中国リージョンの受信側で表示しようすると、該当データが表示できないため無限ループ(終わりのない継続的な処理)が発生し、iOSがクラッシュするというもの。
When Wardle debugged the crash on his friend's iPhone 7 he discovered that a particular function related to emoji processing was returning NULL, which would cause the querying app to crash.
iOS(iPhoneやiPad)は、世界共通で使われているプラットフォームであり、アップル1社で管理している。今回の問題はこのプラットフォームを中国市場に合わせるために、ローカルルールを追加した結果、見過ごされた問題である。
実際にどのようにクラッシュするのか?は、以下のサイトでgif画像紹介されている。
Androidのようにローカルサーバ運営を基本認めていない。
そんな同社も、中国政府が今春に実施した個人データ等の海外持ち出し禁止に対応するため、2月末に中国現地企業への運営委託をせざるを得なかった。
アップルの好きな”自前主義”を、中国政府が足元からグラグラやっているというわけだ。この記事を書いている矢先にも、元社員の中国人に産業スパイされて大騒ぎである。
米先端技術の海外移転に対しトランプ政権が神経を尖らせる中、米アップルの元社員が自動運転に関する同社の機密情報を持ち出した疑いで逮捕・訴追された。元社員は中国へ出国しようと空港にいたところを逮捕された。
なお、消された側の台湾でも、絵文字から削除された上に非表示となったので、ネットで大きく取り上げられている。
もちろん、悪い意味で。
有民眾在中國使用iPhone,發現中華民國國旗的表情符號無法顯示,還會造成App當機;國外安全性研究員推測,蘋果可能為了示好中國政府,在iOS系統用程式碼「屏蔽」我國國旗。
中国におけるマーケットシェアは年々低下している。しかし、同国のマーケット以外に成長の糧を見いだせない同社は捨てられないようだ。今後もいろいろと当局から要求があるのは予想に難くない。中国マーケットの維持は、今後さらに大変になっていくだろう。
加えてアップルは、アメリカブランドの代表格である。エスカレートする米中貿易戦争の格好のターゲットになるのは間違いない。
まさに『進むも地獄退くも地獄』。クワバラクワバラ。
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