国内向けは規制、国外向けはサイバー攻撃
中国政府のサイバー戦略が加速している。対外ではサイバー攻撃を、対内では規制を増強している。軍事力拡張と合わせて実効支配を強めようとしているのだろうか?
攻撃の対象と目的
中国のサイバー攻撃はここ数年活発だ。目的は多岐にわたっているが、大きく分けて2つ。1つめは最新技術情報の取得。2つめは中国が国内で行っている各種規制・検閲を邪魔する存在への攻撃だ。
技術専門サイバースパイ
技術のスパイ合戦は古今東西でやられてきた。映画で大人気の007もやっていることは、諜報と産業スパイなので中国軍と同じ穴のムジナ。日が浅い中国のサイバースパイだが、実績は小さくない。最近話題になったのが、F35の機密情報の取得だ。
サイバー攻撃で中国がF-35の機密情報を取得、NSAの内部資料で明らかに
中国は米国政府およびその関連企業にMalwareを使ったサイバー攻撃を仕掛けることで、50TB分にも及ぶ、膨大な情報を盗み出すことに成功すると同時に、米国政府に対して重大な損害を与えたことが判ったとまとめていた。
このステルス技術を使って作ったのが殲20戦闘機。プロトタイプが2014年の末に飛行試験をしている。試作機なのでエンジンを間に合わせのもので飛ばしており、評判はかんばしくない。ただ、今後エンジン技術や素材技術などに触手を伸ばすのは考えられる。在中日系企業はよく注意して欲しい。
デモ飛行中の姿を見ても、やっと飛んでいるといった印象が拭えない。推力を上げると黒煙が噴き出し、30年前のジェット戦闘機同様に黒い筋を空に描く有様 で、速度も出ていなかった。上空で旋回して背面飛行を行ない、わずか3~4分で着陸して終わったデモ飛行。外観は米国のステルスを模倣しているからもっと もらしく見えるが、エンジン一つとっても、まだまだ実戦配備できる段階にはないことがわかる。
検閲規制回避や人権団体への攻撃
中国のスパイがジェームズ・ボンドと異なるのは、その銃口が自国民や海外の市民にも向けられていることだ。検閲規制の強化とともに、それを回避させるような技術、支援団体などに執拗な攻撃が続いている。
VPN Gate に対する外国からの妨害活動と対抗策としてのオープンソース化について – 登 大遊@筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻の SoftEther VPN 日記
VPN Gateや大紀元はともに目的は異なるものの、VPNツールを提供しておりそれに対する攻撃だ。中国は政治や社会などあらゆるところにダブルスタンダードを持っているので、いくら説得しても彼らは止めない。怖いのは、既に中国で完了しているAndroidなど携帯端末の監視を国外にサーバがあるiPhoneなど、海外にまで手を伸ばしていることだ。
海外サーバのサービスはいずれすべて規制される
中国共産党に限らず、共産主義を掲げる人は「自分が真であり、人民を導かねばならない」という思考回路を持っていて、ある種の宗教なのだ。そういう人にとって、自分と異なる主張は悪であり、自分が支配する人民を惑わす悪魔になる。故に規制するのは「当然」となるのだろう。誘惑を続ける悪魔を倒して革命を討ち取ろうというアクションにつながる。
人民を指導し、誤らないよう監視をし、逐次矯正しなくてはならないというアクションプランに基いるので、監視ができない海外のサーバやサービスはそう遠くないうちにすべて規制される。もしも、海外アプリと似たようなものが中国でリリースされたら、それは予兆だと思っていい。
Googleは2014年12月26日からほぼ完全規制されてしまった…
例をあげると、
- Facebookが出てくると、人人網ができた。Facebookは2005年に規制。
- Googleが台頭してくると、百度ができた。Googleは2014年末に完全規制。
- Twitterが出てくると、微博ができた。Twitterは2010年に規制。
- Wikipediaに不都合な記事が目立つと、百度百科ができた。Wikipediaへの接続は不安定に。
- Youtubeが出てくると、優酷などができた。Youtubeは規制。時期不明。
- LINEが出てくると、微信ができた。LINEは2014年に規制。
- Instagramがでてきて香港デモで使われると、即遮断。QQで同一機能が実装された(2014年末)
今、使えている海外アプリもいつ使えなくなるかはわからない。でも、中国製アプリの後ろには当局がじっとあなたを見ている。みんながビジネスに使っていて、不利益が発生しようと、当局はお構いなしだ。なぜなら、中国の夢に敵対するから。どんな被害を被っても、行政の裏には中国共産党。司法の裏には中国共産党。国会?もちろん、訴えられるわけがない。
結局、自己防衛の手段を講じるしかないのが、中国生活、中国ビジネスの基本なのではないだろうか。
コメント