中国から逃げていくIT企業
検索エンジン大手のYahoo!が中国にある研究施設を完全閉鎖し、撤退を決めたとウォールストリートジャーナルが報じている。
米ヤフーは中国本土で唯一の物理的拠点である北京の研究開発施設を閉鎖し、同国から完全に撤退する。これに伴い、世界の同社従業員の2%程度に当たる200〜300人を解雇する。事情に詳しい関係者が明らかにした。
同社によると、従業員には18日に解雇を通知した。
最大手のGoogleは2010年に中国本土での検索サービスを停止し、R&Dを残しているが中国当局の動向監視がメインで企業活動はGoogle Adsenseくらいだろう。
ビジネスにとって技術・ノウハウの独占化は重要
ビジネスが成立するには、定期的に利潤を生むサイクルが必須になる。安定的な利益の源泉は、大小関わらずリージョンで独占が前提となる。この独占を実現するには、政府などの規制を除けば、技術またはビジネスモデルの確立と保護が合わせて必要だろう。それが航空機のボーイングのような技術だったり、地域で分けられたプロパンガスや魚市場などだ。ただ、独占は同時に市場弊害にもなるので保護を与える(特許や意匠)代わりに、ある程度時間が過ぎると取り締まり(独占禁止法)も行う。
形が見えないIT企業では、ナレッジや技術が他の業種以上に大切。自動車業界のエンジンやクラッチ、宇宙業界のロケットエンジン、インテルのCPUなどは目に見えるものの、部品などのわずかな幅や重さ、材料の調合などが決め手になる職人技のオンパレードだから、ガワを模倣したところで同じものは作れない。IT業界で特にソフトウェアの場合、ソースコードをどこからか盗んできてそのままコピペ改変すれば作れてしまう。それだけに、この独占への保護というのが重要視されるのだが、中国にはこれが成立しない。
中国でITはお金にならない
中国では知的権利に対する保護は周知の事実でほぼ皆無。また、ソースコードや情報を盗んだ元従業員への処罰などは極めて難しい上、国家そのものが強盗か盗賊の類なので無理ゲーと言っても過言ではない。国家があまりにも露骨で強引にハッキングや産業スパイをしているのは、この中国とロシアくらいじゃないだろうか?
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ビジネスが小さい間は中国政府も無視をする。初期のFacebookやTwitter、今のSalesforceなど。そして、無視できなくなる規模になると突然規制や意味不明な規制を受けて排除されてしまう。業界標準製品でソースコードがクローズされており、かつ中国が模倣開発できなさそうなもの(OSのWindowsやDBのOracle、SQL Serverなど)除いて同じ運命をたどるだろう。ITビジネスは目に見えないので、導入までの時間が長い。事業規模が小さいと売り込みに手間暇かかって赤字か、良くてトントン。ようやっと回収の時期になると政府が破壊しに来るのだから、お金になるわけがない。中国に物理拠点を持ってやりくりしている企業は遅かれ早かれ同じ運命をたどり、最後は全滅するだろう。
唯一の救いは、ソフトやネットサービスは運送が不要で、ネット上で完結できることだろう。IT業界で中国進出を考えているならば、物理拠点を持たずネット上でやりとりするのに留めておき売れたらラッキー程度に思っておくのが一番幸せであり、間違っても自社の社員を駐在員として送り込もうなどと考えてはいけない。
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