飴でもない鞭でもない?
中国インターネットは話題が尽きない。当サイトで度々取り上げている「検閲の強化」や「イントラネット化」はもちろん、それ以外にも中国政府が苦心して世論操作しているのがうかがえるものもあるのでご紹介。
その名も五毛党
中国には検閲システムとしての「金盾」、それをネット上で取り締まるサイバーポリス、実世界で取り締まる武装警察(武警)・警察から成り立つ。
ネット上で世論操作または形成を支援する人々が他にいて、五毛党と呼ばれている。名前の由来は、1回の書き込み報酬が5毛であると噂されているからとのこと。
五毛党(ごもうとう、ウーマオタン、拼音: wǔmáo dǎng)とは、中国共産党配下のインターネット工作集団である。インターネット上のコメント欄や電子掲示板などに、1件当たり5毛の報酬で、中国共産党政権に有利な書き込みを喧伝し、世論誘導をする役割を担っている。2010年時点で、約30万人程度いると見られている。
Wikipediaで見ると小難しい説明だ。かんたんに言うと、TVショッピングなどを見ると、よくその実演を見ているおばさんが「おーっ」とか「わーっ」と言っているのを耳にするはずだ。
これは心理学で同調効果とか同調現象と呼ばれるもの。この勢いに呑まれると、なし崩し的に自分の意見が変わってしまうわけである。
そしてSNS「Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)」などのソーシャル・ネットワーキング・サービスの発達によって、より同調現象が強化されているという指摘もある。
この五毛党は、情報の真偽を確かめない民族性を逆手に取った共産党の政策の一部といえる。
直球反論は3割未満
世の中は広い。こんな五毛党を真面目に研究し、論文にし発表する学者がいるのだ。しかも、その名も有名なハーバード大学だからびっくりである。
米ハーバード大学の計量政治学者ゲイリー・キング教授率いる研究チームは“五毛党”に関する研究成果を発表した。
論文を眺めると、当初30万人と言われていた工作員は、ネットの拡大に伴い人員が増えて200万人近くいるらしい。
彼らはそのポストされている内容を分類し、分析した結果を発表している。サンプルとして抽出したもののうち、9割は6パターンに分類できるそうだ。強権的な共産党だから、反論が多いのだろうかと思うかもしれない。しかし、議題を批判するものは3割にも満たない。
実は、投稿されたもののうち過半数以上が、議題をぼやかしたり、別の内容に誘導するものが多いようだ。
論文自体は上記から直接見ることができるので、興味ある方はご覧になってほしい。
アンタッチャブルではない?百度にも…
この五毛党。政府機関職員がメインとなって政府擁護しているのだから、中国国内で極秘なのだろうと思うかもしれない。しかし、百度してみると百度百科にも載っていた。
五毛军亦称五毛党,是一种特定的称呼,原指发表有利于中国政府或相关部门评论的人员。广义上多指论坛里为了钱而去发某个帖,阐述某个观点的人。之所以被称之为五毛,是因为最早的发帖者除底薪外,每帖按五毛钱来加薪。也就是说发一贴能挣五毛钱名。
ちゃんとプロパガンダをやる人員と直接表記されている。これは驚きである。おまけに、この五毛党を茶化したスナップも投稿されているのだから、すごい。
政府批判と言うのは命がけ(そして、それはほぼ正しいのだが)と思う我々にとって、中国人のたくましさをうかがい知るニュースではなかろうか。
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