2020年頃から気になっていた子どもの発達障害。2021年に発達検査をしたあと、2022年も検査を実施。凸凹具合が顕著であったため、障害者手帳を申請したところ、過日申請が通り手帳を取得できたので、まとめておく。
シンガポールで受ける療育と学校
以前に子どもの発語について、遅れが見えることを記事化している。当時の検査ではまだ幼いこともあり、今後に期待をよせて様子見をしていた。この間、何もしていなかったわけではなく、シンガポールで利用できる療育を実施していた。
シンガポールも日本と同様、発達障害に対して利用できる機関が複数あり、日本で言うところの支援学級(普通学校に併設されている支援が必要な子ども向けのクラス)や特別支援学校(昔で言うところの養護学校)もある。SPED(Special education)と呼ばれる学校である。MOE(教育省/日本で文部科学省相当)にもその記載がある。
ただ、注意したいのは以下2点。
- 普通学校含めて、どの学校にも入学枠には限りがある。優先順位が決められており、シンガポール市民→PR(永住者 Permanent Residence)→外国人になる。外国人が入れるかどうかは学校ごとに異なる。
- 外国人はシンガポールの福祉には含まれない(そのため、福祉税は払っていない)。そのため、シンガポール市民やPRであればかなりの少額で済む学費が、高額になる。
配偶者が外国人であっても、どちらか片方がシンガポール市民またはPRであればまだいいのだが、両親ともに外国人の場合、ハードルが上がる。
療育を阻害する言葉の壁
知的障害や身体障害の場合は、物理的なサポートがとても重要になる。それは、日々の生活や移動でサポートが必要になるからだ。一方で、発達障害のように内的な問題の場合、難しいのが言葉の問題である。たとえば、同じものを移動させる動詞である『渡す』『投げる』『動かす』でもニュアンスが異なる。
シンガポールの公用語は4つあり、中華系では中国語が通じるケースが多い。ただ、療育のような細かいニュアンスをちゃんとコントロールして使えている人は多くないと感じる。嫁様(大陸人/北方出身)曰く、どうも言葉足らずが多いということ。
残念ながら、私も嫁様も英語がネイティブではない。ビジネスで使っているレベルではあるが、それが日常生活含めた細かいニュアンスが読み取れるレベルには達していない。この状況下で、英語による療育はとてもリスキーである。
SBCCにも華僑系セラピストがいて、中国語話者はいたのだが…あまり上手ではない。これは困った!である。
外国人で療育をするならば母国へ
いろいろ模索したものの、当時困っていたのは以下のようなこと
- 日本語で療育:私がサポート可。ただし、シンガポール現地では使う場面がない。
- 中国語で療育:嫁様がサポート可。ただし、母語が中国語のセラピストが見つからない。KKHですら、(失礼だが)怪しげな中国語話者…。
- 英語で療育:最もかんたん。ただし、家の中にサポートできる人がいない。
ここに療育にかかる費用などを考えた結果、私の出した結論は…『外国人で療育をするならば母国へ』である。今でも仕事はASEAN周りだが、生活拠点を日本に戻すこととした。ここまでが去年のお話。
障害者手帳を取得しよう
日本に戻ってからすすめてきたのが、障害者手帳の取得である。発達障害はいろいろなバリエーションがあって、ASD(自閉症)にもいくつか種類がある。それを都度、関係各位に説明するのは正直骨が折れる。できることを説明するのはかんたんなのだが、できないことを説明するのは難しい。
この点、障害者手帳を取得しておけば、ここらへんの説明をもう少し簡易化できる。あと、何度も自分の子どもができないことを説明するのは、精神衛生上あまり良くないので、この回数を減らすという目的もある。
分野や程度に応じて障害者手帳はいくつか分かれるが、発達障害で取得しうる手帳は以下の2種類。似ているようで、中身が大きく異る。
- 療育手帳 → 知的障害
- 精神障害者保健福祉手帳 → 知的障害を持たない発達障害
申請の流れは、かんたん。
- 各自治体の福祉課窓口(呼称は各自治体で異なる)にて用紙を取得。申請書自体と申請の補助書類となる診断書が得られるはず。
- 診断書を持って医療機関にて書類作成
- 申請書と診断書を1の窓口にて申請(本申請自体は、自治体窓口から上位の地方自治体に行われる)
- 後日、申請許可が降りたら窓口にて手帳発行
実際に発行された手帳がこちら。障害者手帳の↓には、発行元自治体の名前が入る。
中を開けると、氏名、住所、発行元自治体の発行印、交付日、有効期限、障害等級とその根拠法が記載されている。
メリットはあるのか?
障害者手帳を持たなくて済むのであれば、それがベスト。ただ、自分が倒れたときに、外国人の嫁様にそれらを負わせるのは難しい。また、万が一、子どもの症状が悪化した場合に慌てて取ろうとしてもすぐには取れないので、余裕がある今取っておいたという次第である。
子どもの障害者手帳を持っていても、恩恵はさほど多くない。特に発達障害のグレーゾーンの場合は、なおさらである。
あるとすれば…
- 公共の駐車場や機関で割引が受けられること
- 所得税控除が受けられること
くらいであろうか?上述のように、わが家の場合、精神衛生上のメリットの方が多いと思う。
なお、所得税控除は、国税庁のHPに記載があるので、そちらが詳しい。
子どもは扶養控除適用がないが、この障害者控除は『扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用』される。
控除受けた場合でも、療育にかかる費用と手間暇考えると、割に合わないが…。
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