中国共産党の野望-ネット規制風雲録

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習近平政権が執念を燃やす中国夢(チャイナドリーム)。ソリューションの輸出と同時に、国内の引き締めにも精力的だ。ただ、上有政策下有对策の国らしく、オフラインとオンラインでの政府と民衆の殴り合いゲームも終わりがなさそうだ。

よりどころの死守に、えんやこ~ら

ここ数年、中国ネットを定期的に騒がせているイベントをご存知だろうか?中国共産党の唯一とも言える存在根拠-抗日戦争勝利をないがしろにする言動の数々である。

たとえば、今年の2月にも旧日本軍の軍服を着た男性が、抗日烈士の英霊前で写真撮影。それを微博にアップロードしてニュース沙汰になっている。

近日,两男子穿侵华日军军装在南京紫金山摆拍合影,一人手持军刀,另一人拿绑有日本“武运长久”旗带的刺刀步枪。

ちなみに、どんな写真なのか?と言うとこんな感じだ。ご覧あれ。

モザイクでご尊顔は見えないが、同写真からは二人が心底楽しんでいて、バッチリ決まったポーズからご満悦の顔が見て取れる。

いや、かわいいじゃん(笑)

愛国教育の歪んた歴史観を経ても、こんなことができるのは経済発展で生まれた余裕の表れではないだろうか。が、中国共産党は心の余裕がないのか、取り締まりに躍起になっている。

去年の秋に制定されたネット版五人組(連帯制度)もその一つである。

中国当局のインターネットでの実名制がさらに強化される。今までのSNSを中心とする大手への規制から、中国国内隅々まで対象となる規制である。国民の口封じがさらに強まりそうだ。

それでも、民衆はそんな政府の締め付けをかいくぐる。昔から上に政策あれば下に対策ありの国だ。そんなネット民にしびれを切らしたのか、今年に入って政府は新法を制定した。その名も「英雄烈士保護法」である。

ネットでも『トラもハエも叩く』

「英雄烈士保護法」は、今年の4月に成立した法律。前述のような行為を祖国を守った英雄への侮辱とみなして、処罰するというものだ。

こんなローカル法律を取り上げている日本語ニュースは新華社通信くらいで、同法の中身も紹介されている。

中国第13期全国人民代表大会(全人代)常務委員会第2回会議は27日午後、英雄烈士保護法を全会一致で可決した。英雄烈士の氏名や肖像、名誉、栄誉を法によって保護し、英雄烈士の事跡と精神の歪曲や醜悪化、中傷、否定を禁止し、侵略戦争と侵略行為の宣伝美化に対して法に従って処罰し、犯罪を構成するものは刑事責任を追及する。

英雄烈士保護法、全会一致で可決

中国は西側メディアからいろいろ言われているものの、法治主義という点でアジアでもトップクラスである。そのため、随意で処罰するわけにもいかず、今まではこういった行為を処罰するため検察当局が根拠法を探してあれこれ苦労していた。

今回の法制定のおかげで行政・司法は取り締まりが楽になったようで、さっそく処罰されている。

中国版ツイッターの微博ウェイボーに、朝鮮戦争などで戦死した中国の軍人らを侮辱する書き込みをしたとして、同国寧夏回族自治区銀川市の19歳の男性が10日間の行政拘留処分となった。

愛国主義精神の発揚のため今月施行された「英雄烈士保護法」に基づく措置。

軍人ら侮辱の書き込み、19歳を拘留…中国

ご丁寧にも新華社通信は、同法に触れる可能性がある言動をまとめて配布しているので、以下転載しておく(画像がでかいのでご注意)。

中国は改革開放が始まってからオープンになったなぁと思っていたが、抗日戦争を糧に生き延びようとする様は北朝鮮と同レベルのようだ。

ネット規制は諸刃の剣

もっとも、人口の多い中国では、仰天トラブルも多い。たとえば、9年にわたって6,000回も誹謗中傷するレジェンドもいる。

高校1年生の16歳の時から9年間、中国版ツィッター「ティエバ」で6278回にわたって、「彼女は売春婦」「一晩500元(約8500円)」などと誹謗中傷され続けてきた25歳の女性が、全くの虚偽の内容の書き込みをしてきた高校時代の同級生の女を名誉棄損で訴えた。裁判では3か月間の禁固刑の判決が下されたことが分かった。

同級生に9年間で6000回以上の誹謗投稿した女、禁固刑に

この労力と時間を使えば、中国版ニコ生でトップを取るのも夢ではないだろう。でも、なぜか負のオーラを全開させてしまう人たちを取り締まり続けなくてはいけない中国当局も大変だ。

当局の努力(?)で保護されるユーザがいる一方で、その力がユーザに向かうと悲惨である。

たとえば、中国政府が警戒する少数民族や反政府勢力とされる人々である。最近では世界でも指折りの顔認証システムと組み合わせて、所在場所を徹底追跡しているようだ。

監視対象の個人が自宅や職場から300メートル以上離れると、顔認識ソフトが自動的に当局に通報すると言われている。

コラム:中国ウイグル族を苦しめる現代版「悪夢の監視社会」

中国ネットに接続する端末は、当局の登録が(建前上)必須になっている。そのため、当人の同意がなくてもこういった追跡ができる。クワバラクワバラ。

なお、顔認証の欠点は光の当たり方や状態(たとえば日焼けや加齢によるシワなど)に弱いのは有名な話である。人間の目で見たら同一人物でも、コンピュータではわからないからである。

と、思ったらそれを克服しそうな技術が開発されそうな気配だ。

1枚の画像から顔の反射率およびジオメトリデータを推定するCNNを用いたアプローチを提案します。得られたデータは、3Dモデルと共に使用し、異なる照明条件や任意の視点でレンダリングすることができます。

早稲田大学ら、1枚の画像から顔の形状と反射率をCNNを用いて推定しモデル化する手法を発表。異なる照明条件や任意の視点でレンダリング可能

中国当局が喜んでお買い上げしてくれそうな技術だ。買わなかったとしても、同技術の克服に政府は努力を続け、規制は強化されていくだろう。

困難を笑いに変えるネット民

ただ、中国のネット民も不屈である。

去年の秋に習近平政権が、国家主席の任期撤回する改正を行ったのを覚えているだろうか?この決定直後に、彼らはバックする動画(時代退行の意味)や袁世凱のイメージ(帝政を復活させようとした袁世凱を習近平と引っ掛けたモノ)をアップロードして対抗していた。

日本で育っているとわからないが、諸外国の国民にとって政府というのは怖い感覚である。そんな政府に真っ向ではないにしろ、ユーモアを混ぜて表現する彼らを見るとすごいなぁと感じるのだ。

今後の中国ネット民の”次の手”が楽しみである。