中国シェアサイクルで1社脱落へ

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中国のシェアサイクルは競争が激化しており、採算がとれないと言われ続けていた。今月に入って1社が正式にギブアップ宣言をした。次はどこが脱落するのだろうか?

シェアサイクルをギブアップ

今回、正式に脱落を宣言したのは、悟空单车の運営母体である重庆战国科技有限公司である。悟空单车と言えば真っ黄色のシェアサイクルを提供しているサービスだ。2017年1月7日にサービス開始しているので、半年待たずして脱落である。同社の公式サイトにも重大発表として公開をしている。

2017年1月7日,悟空单车正式对外运营。截止2017年5月底,由于公司战略发生调整,我们只能很遗憾地宣布,自2017年6月起,将正式终止对悟空单车提供支持服务,退出共享单车市场。
6月初,我司成立善后工作小组,在与投资人进行充分沟通后,全额退还一切投资款(并未产生一起经济纠纷);对市场上留存的单车,我司派出工作人员进行回收,现已基本回收完毕。

悟空共享单车

中国語があまり得意ではない方のために、以下意訳をつけておく。

6月はじめに弊社と投資家との間で意見を交わした結果、すべての投資を返済し、市場に残っている現存する自転車を回収する。(中略)アプリないの残金(デポジット含む)の返金処理を引き続き実施するので、早めにカスタマーセンターにご連絡ください。

今回の発表(6月13日付)から30日以内であれば、上述の通りデポジット(99元)と残金の返金に応じるとのことだ。連絡先は客服电话400-8657133とのこと。使っている方はお早めに。

シェアサイクルのビジネスモデル

さて、その悟空单车が当初描いていた収益モデルはどういうものだったのか。同社のサイトにもビジネスモデルを説明した資料があったので、かんたんに説明すると以下のとおりだ。

  • 自転車は、ほかの民生品(念頭においているのは電動バイクだと思われる)と比べるとほぼメンテナンスフリーで耐用性が高い。このため、1度投資をすれば3年は運用(稼働)が可能である。
  • 上記理由から、ランニングコストもほぼ皆無である。
  • 使用収益に加えて、ユーザがモバイルアプリを使うときに広告を表示する。この広告から収益が見込めるのでオンライン・オフライン双方で収入が確保できる。

なるほど!と少しうなづいた。

ただ、資料の末にある投資と収益計画がかなりアバウトである。初回100台を市場に投入するとして11万元。3年間、先の条件の通りに稼働したとして、投下資本の4倍の42万元の売上が可能だと言うのだ。なかなかバブルな世界ではないだろうか。中国で数十社がこのシェアサイクル事業にこぞって参加するのも納得だ。

ちなみに、日本でも5月に自転車活用推進法が整備されたのを受けて、中国シェアサイクル大手が市場参戦を宣言している。

自転車促進法というのは、私も調べる過程で知った。どういう法律なのかは、以下を参考にしてほしい。法律の目的を読むだけでめまいがしてしまったが…。

この法律は、極めて身近な交通手段である自転車の活用による環境への負荷の低減、災害時における交通の機能の維持、国民の健康の増進等を図ることが重要な課題であることに鑑み、自転車の活用の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び自転車の活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、自転車活用推進本部を設置することにより、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

自転車活用推進法

リサイクルされなかった自転車たち

さて、イケイケドンドン的な状況だったのに、なぜ同社はサービス停止に踏み切ったのか。

同社の資料によると2016年9月に10万元の資金を集めたあと、約1,200両の車両を調達した。これを重慶市内に設置したステーション(主に大学と市の中心部)に逐次提供をした。このビジネスのキーは、『自転車が使い回しされることで、追加投資をすることなく利潤を得る』というところである。

ところが、同社の資料を読むと、このキーが読み間違えていたようだ。前述の調達車両のうち90%が所在不明になっており、行方がわからないという。このため損失が100万元に上り、サービスの続行ができなくなったのだ。行方がわからない自転車は、私物化されたり、悪意のある投棄などである。サービスの維持に必要な車両が確保されないことは、売上が上がらないことであり、それに伴う追加資金繰りができなかったということらしい。

他社も程度の差はあれ、似たような状況にあるのは想像に難くない。次に脱落するのはいったいどこなのか?

 

今回のサービス停止で私が一番驚いたのは、引き際(後処理)の素晴らしさである。てっきり投資金の返済に行き詰まり、一般利用者はもちろん、投資家の前からもドロンと夜逃げするのかと思っていたからだ。

先日の投資家への説明責任の義務化も含めて再度言おう。中国はどんどん普通の国になっている…と。

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