習近平の訪米と中国式外交
9月22日から始まった習近平の訪米。アメリカの財界は大歓迎しているようだが、その訪米より少し前には中国軍機が米軍機に妨害飛行をしている。
中国式国際交流は、他国のそれとは少し異なる。事前の嫌がらせテストで、相手国のドM具合を確認するのだ。思い起こすと、2014年7月に朴槿恵が中国に朝貢した時も、直前にLineを封鎖している。なかなかのドSだ。
中国にしっぽを振る米国IT業界
今回の訪米では、オバマ大統領とサイバーテロの問題が話し合いされるとメディアは報じている。そんな習近平は、直接ワシントンには向かわずシアトルへ向かった。会談前に、サイバーテロの被害者であるIT界重鎮と仲良く懇談するのだから、ドSの本領発揮だ。
米西海岸のシアトルを訪れている中国の習近平国家主席は23日、マイクロソフト本社で行われた米中インターネットフォーラムで同社創業者のビル・ゲイツ氏やフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)、アップルのティム・クックCEOらIT企業家と会談した。
このマーク・ザッカーバーグ氏は、Facebook立ち上げ前に以下のようなことを述べている。
ザッカーバーグは、自由で公然とした情報の利用を可能にすべきと考えていたことを主張しましたが、理事会側からの訴訟は公的には行われず、その後ザッカーバーグはSNSサイト「Facebook(フェイスブック)」を立ち上げると共に大学を休学、その1年後には中退しました。
自由と公然を愛する同氏はここ数年、頻繁に中国を訪問。ビジネスチャンスを模索しているが、擦り寄ろうとしている中国では、言論弾圧が絶賛加速中である。
中国金融サイトの閉鎖と逮捕
当局は、今年夏の株式の急落をバブルなど市場原理ではなく、恣意的操作として犯人探しを続けている。以前にも有名な経済記者が逮捕された上に、メディアで自白強要など現代版文化大革命運動である。
中国に住んだことのあるジャーナリストが不審に思って調べたところ、なんと昨年、当該サイトの編集長を始め8人が上海公安に逮捕され、広告料で莫大な利益を得ようとしていた旨で刑事起訴されていたというのである。そして今年になってこのサイトは、社会を混乱させるものであるとして閉鎖されたのである。
家内(中国人)は学校で、中国では人権が尊重され、自由が守られると教わったとのこと。勉強があまり好きではない家内ですら覚えているので、相当しつこく言っているのであろう。
人権外交とビジネス
2005年までのアメリカならば、人権外交を掲げてチベット・ウイグル問題同様に物申していたかもしれない。しかし、同国は2008年に「最も深刻な人権侵害をしている国家」のリストから中国を削除。この問題の黙殺を決め込んでいる。
アメリカもビジネスがしたいので、一市民がどうなるのかはどうでもいいわけだ。もっとも、インディアンを大殺戮したり、原子爆弾投下したり、枯れ葉剤をばらまいた国が人権を提起すること自体、ちゃんちゃらおかしいのだが。
そういう意味で、この2国はよく似ている。「弱気をくじき強きを助ける」893そのもの。アメリカの対中貿易赤字額は、日米貿易摩擦の比ではないのにスーパー301条を振り回す素振りもない。
他人に頼る危うさ
チベット・ウイグルや中国から逃げてきた人からは、アメリカに失望しているのかもしれない。ただ、他人に頼ること自体間違いである。安保問題でも、右翼左翼ともにロクでもない相手に寄りかかっているのだが、当本人は自覚がない。
中国に来ると、企業の創業者や幹部の人は、仕事もできるのだが、同時にムキムキマッチョマンみたいな人が多い。程度の差はあるものの、勉学ともに惜しまず、相手がどこに国であれ上手にコミュニケーションが取れる。そんな人達がよく言うことは「自分の身は自分で守る」である。特に文化大革命運動で苦労した人やその子息ほど、サバイバル力に長けていると思う。
中国に長期間いながら、中国語はしゃべれなくても問題ないと豪語する方をたまにお見かけする。しかし、他人にコミュニケーション手段を頼ることは好ましいとは思えない。自分の意図とその人の通訳が同じだとは限らないからである。
同じように中国に来て、なんの防衛手段も講じないでネットにつないでしまう人も同類項である。日本以上にウイルスやらマルウエアやらがわんさかあって、通信がのぞき見されているにもかかわらずだ。
そんなことをふと思った国慶節12連休初日でした。さて、連休は何をしよう…(汗)
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