占拠は強行するよ!
南シナ海の領有権問題で、国際機関がフィリピンの申し立てを認め、中国の領有権を認めない裁定を下した。中国ネットでは熱い愛国論が持ち上がっているのでご紹介。
不退転の決意
裁定の詳細については、各報道機関で詳細に書かれているとおりだが、かんたんに言えば以下のとおり。
- 中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められない
- 中国がスカボロー礁等で漁民の権利を侵害や環境破壊をしており主権の侵害をしている
- 裁定は最終的な判断で上訴は不可能
これを受けて百度新聞などでは、中国共産党の公式的な発表をまとめた記事を続々と投稿。去年から報道の情報源が画一化されているので、どの報道機関も中国共産党のプロパガンダのコピペ嵐になっている。
タイトルが『中国の南シナ海における領土主権および海洋権益維持の決心はは不退転』という仰々しさ。まるで毛沢東時代のプロパガンダポスターのタイトルのようで、目頭が熱くなる。
こんなスローガンを21世紀に大々的に発表できるのは、中国共産党と北朝鮮くらいである。これからもこういう熱い思いをぜひぶつけていただきたく、応援したい。
ちなみに、十五年計画を掲げていた頃のプロパガンダポスターで、毛沢東が持っている中国地図に南シナ海が含まれていないのはご愛嬌である。
どっちに転んでもメリット
中国共産党としては、裁定がどちらに転んでもメリットしかなかったのではないだろうか。
裁定で領有権が否定されたことで、愛国教育を受けた若者を中心にまとめやすくなったはずである。改革開放の恩恵を受けられない上に、大学などを出ても大した仕事につけない彼らを愛国心という名の下に操作できるのだから、ほくそ笑んでるのではないだろうか?
万が一、裁定で認められたら中国夢として大々的に発表していたのだろうから、どちらにしてもOK啦!なのだろう。
紅衛兵と愛国教育
政治的なお話はさておいて、ウオッチしたいのは中国ネットである。
まず、WeChatや先日紹介したHelloTalk上には『中國一點都不能少』(中国は少し足りとも小さくなってはいけない)などという画像が大量に出回っている。また、百度の貼吧(画像掲示板)には無数のスレッドが乱立している。
上記の画像の中にある”红方”は中国共産党(つまり中国)で、”蓝方”は海外のこと。論調についてはお察しくださいなのだが、自発的にこんな熱い議論をする若者を大量生産可能とする愛国教育をメソッド化して売りだしたら、引き合いは多いはずだ。
やっていること自体は、文化大革命時の紅衛兵とレベルが同じなのだが、誰も指摘しないのは興味深い(もっとも、言っても削除されるか、無慈悲な連行が待っているのだが…)
いずれにしても、南シナ海の領有権問題はこれで一段落してしまったので、中国共産党は次のターゲットが必要となったはずだ。何を狙ってくるのか、引き続き注目していきたい。
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