抑圧と規制の国内、攻撃と扇動の国外
中国当局のインターネット政策が複数マスメディアで取り上げられている。もともと中国には言論の自由がないが(法律上ある)、ネットでの言論抑圧に拍車がかかっている状況だ。現状の確認と対策を考える。
中国国内はVPNサービスの取り締まり、規制の強化へ
習近平が国家主席に着任して2年が経とうとしている。反腐敗運動を推め体制の引き締めを推める一方、政府や中国共産党に対する不満分子のあぶり出しを強化している。中国は昔から市民の暴動をきっかけに時の政府が崩れる歴史を持っているので、抑えこみに必死になっている。市民に対するアメとムチだと言える。
2014年9月の情報技術に関する方針は一見すると経済政策にも見えるが(半分はその通り)、実際には検閲システム組み込みまたは検閲を可能にするための可視化を目的にしているのだろう。今まで政府よりでやってきた中国版SkypeであるQQ, WeChat(中国語名:微信)の運営元であるテンセントや中国版Twitterである微博の運営元である新浪に対してもかなり厳しい態度で臨んでいる。
政府機関「国家インターネット情報弁公室」は10日、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の運営などを手がけるネットサービス大手「新浪」に対し、違法な情報の削除や利用者管理の徹底などを行わなければ、一部の業務を停止させると警告した。
2015年1月に行われた金盾の強化で一部VPNサービスの締め出しができたので、国内の整理段階に入ったのだろう。15年2月の管理強化への順守を強制した後、中国最大のB2Bサイト淘寶(タオバオ)では、VPNが規制キーワードである旨の表示がされるようになった。
海外に対しては攻撃と扇動を繰り返す
国外に対しては活発なハッキング活動や破壊活動を繰り返している。直近では、中国政府の規制サイトを確認できるGreatfire.orgに対して大規模なDDoSを行っている。
研究チームによって「巨砲」と名付けられたこの新兵器は、閲覧が禁じられたサイト(GoogleやTwitterなど)へのアクセスを一律に遮断する金盾と異なり、特定のIPアドレスに宛てた暗号化されていないトラフィックを傍受し、中間者(MITM)攻撃の手法で宛先の変更、コンテンツの改ざん、マルウェアの挿入を行う「選択的攻撃ツール」だ。
中間者攻撃ができるということは、末端のユーザレベルではなく、かなり上位層で行われていることを示唆している。中国のネットワークを管理するCNNICが発行する証明書をすべて失効させるなど事態は相当深刻である。
同社は3月20日、複数のGoogleドメインに対して不正なデジタル証明書が発行されていることを確認。証明書は「MCS Holdings」というエジプト企業の中間認証局(CA)から発行された。中間CA証明書はCNNICが発行したもので、CNNICはすべての主要ルートストアに含まれているため、ほとんどのブラウザーとOSがその不正デジタル証明書を信用してしまう危険性がある。GoogleはただちにCNNICと他の主要ブラウザーに連絡し、MCS Holdingsのデジタル証明書を遮断する措置をとった。
天安門事件から中国共産党が学んだこと
これら中国政府の国内、国外の行為は天安門事件から学んでいる。
国内の知識階級に無用な知識と情報を与えることは、一党独裁を揺るがすもので許容できない。知識と情報を与える代わりに、愛国心とプロパガンダを与えることで統制をする。
国外の政府は、中国の大きさやマーケットにひかれるので多少のことをやっても許容される。
こんなところではないだろうか。ドイツ陸軍中興の祖ハンス・フォン・ゼークトの言葉を彷彿とさせる。
有能な怠け者は司令官に、有能な働き者は参謀にせよ。
無能な怠け者は、連絡将校か下級兵士にすべし。
無能な働き者は、すぐに銃殺刑に処せ。
ならず者国家中国から自分を護る
中国在住の邦人を含んだ外国人はこのならず者国家から自分自身を守らなくてはいけない。民主主義国家であれば頼れるはずの警察も政府も信用ができないのだから仕方がない。アメリカ大手メディアCNBCで、似たようなシチュエーションに置かれた場合の逃れる方法を取り上げている。
In (the Turkish) case, the government is not blocking the actual connection, just the name server resolution,” he said, “so a regular person with very simple instructions could do it on their computer with existing software.
中国の場合、トルコとは異なりあらゆる方法を駆使してアクセスを規制している。単純にプロクシなど簡易な方法では逃れられない。ただ、何よりも中国電信であれ、中国ユニコムであれ、中国国内外のサイトへアクセスする時の中継局で全ユーザの通信を当局が監視していることを忘れてはいけない。
自分自身の身を護る方法として、VPNの導入を強くおすすめする。当サイトでも、中国で使えるVPNサービスをこちら(記事:中国おすすめVPN)で紹介しているので参考になれば幸いだ。
コメント
Inucchiさん
コメントありがとうございます。
楽しみにしていただけるだけで嬉しいです。
皆さんのコメントが何よりの励みだったりします。
上海在住三年目の日本人です。
いつも新しい記事楽しみに拝見しております。
特に当局のネット閲覧規制情報は重宝しております。
これからもがんばってくださいね!