4KとWindows10の最悪コンビ
手元にある15インチノートパソコンがいよいよ成仏しそうだったので、新しいパソコンを調達。”OMEN by HP 15-ax200”は15インチモニタに4Kという触れ込みなのだが、使ってみるとトラブルだらけだったのでレビューを紹介。4Kいいよね!という幻想を粉砕する。
結論-4Kノートパソコンは止めておけ
レビュー内容が長いので、まず結論から。
”OMEN by HP 15-ax200”は買うのを待ったほうが正解。ほかのブランドのノートパソコンでも、4K+Windows 10の組み合わせだったら買うのは控えるべきだ。
つまり、渡航中止勧告だと言うこと。自ら進んで人柱になりたい!という殊勝な人以外は、『触らぬ神に祟りなし』でそっとしておくのがいいだろう。もしくは、あと2ヶ月待てば天然のスイカが食べられるのに、あえてお高いハウス栽培のスイカを食べるようなものだ。まだ、時期が来ていないのだ。
以下、マニア向け詳細。
OMEN by HP 15-ax200について
日本で買ったパソコンのレビューを、このサイトに載せるのは本来趣旨が違う。ただ、Yahoo!で検索すると、買ってもいない&使ってもいないのにレビューと称して記事を書いている利益目的の守銭奴サイトがあまりにも多くてむごかったので、自身で作成&掲載することにした。
今回ノートパソコンを買った理由は、猫2匹に破壊され挙動が怪しくなったため。1匹目にテーブルから落とされて破損、その後2匹目に噛まれてボロボロ。外観はともかく、1匹目に落とされたあと、Wifiが突然切れたり、排熱ファンから異音で瀕死。これはまずい…ということでPCを模索。
新しいPCの条件は以下のとおり。
- CPU Core™ i7 物理4コア以上
- 解像度 フルHD(1920✕1080)以上
- HDD SSDとのハイブリット
- 画面 15~17インチ
ノートパソコンで物理4コア以上のCPUという時点で、ゲーミングPCしかない。手持ちのノートパソコンがCore™ i7-3630QMというなかなかいいCPUを持っている。最近はハイスペックでもCore™ i7-7500Uなので、買い換えるとスペックが落ちてしまう。
さらに、歴代のPCがすべてHP(日本HP、台湾HP、香港HPという差はあるが…)なので、今回もHPで買いたいのだ。その結果、OMEN by HP 15-ax200以外の選択肢がなかった。
低レベル生産オペレーション
このOMENというブランドは、もともと別の企業が使っていたものをHPが買収、その後再利用しているらしい。そのためOMEN” by HP”というネーミングなのだろう。
それはさておき、配達されたときの梱包状態が以下。
写真だとわかりづらいのだが、全身傷だらけ。
外箱を保護するビニールなどが一切ないのでそりゃそうだ。商品を保護する保護材があるのでまだマシだが、テンションが最初から落ちる。
中身を開けるとマニア向けゲーミングPCなのに、なぜか初心者のためのガイドブック。内容もWindowsを使ったことがないド素人仕様。個別に梱包するとオペレーション工数がかかるので、一律添付しているのだろう。即刻ゴミである。
テンションを下げる出来事はこれだけではない。
この書籍と保護材を取り除いてパソコン本体を見てみると、そこに白いものがで~んと鎮座しているのだ。その様子がこれ。
虫です。虫。
外箱にも梱包材にも、内部の保護材にも食い破られた跡がないので、梱包オペレーションしたときに一緒に入ったということだ。出荷チェックはおろか、2次チェックもしてないということか。
B2Cなのであまりコスト掛けられないのはわかる。コスト削減のために中国の拠点でビルドするのはいいが、品管(品質管理)くらいまともにやったほうがいいんじゃないかと。特にこういうハイスペックPC買うマニアは、インフルエンサーが多くうるさいからだ。
さらに、この虫以外にも、オペレーションに雑な部分が見受けられる。
内部の保護材には当然だが尖ったものはない。中に入っていた書籍は、保護材で隔離されているので詰め方が乱暴だったと思われる。ほかにも梱包材が曲がっていたり…など、枚挙にいとまがない。
さすがHPクオリティ、安かろうなんとかろうである。
意外にもスッキリした本体
気を取り直して、梱包材をすべて取り除くと現れるのがプラスチックの筐体。本体の蓋裏側には、ジオン軍のロゴを崩したようなどこかで見たようなロゴが。
こんなPCを持ったままオシャレなカフェには入れない。深センの華強広場なら誰も気に留めないだろうが、香港や台北のスタバなら難易度が高そうである。
以前のPCを買ったのが4年前なのだが、その間にノートパソコンも進化を遂げたようだ。ゲーミングPCなのにさらに薄くなっている。
見開きはこんな感じで、キーボードの色が赤い以外はとくに特徴がない。ヒンジ(本体と液晶をつなぐ箇所)が若干色違いで目立つが。この赤いキーボード、バックライトが付いているので本体の電源を入れると光り輝く。
ますますこんなPCを持って外に出ようという気にならなくなる。もっとも、ゲーミングPCを使うユーザが外出することはないのいいのかもしれない。
文字が汚い・にじむ・ぼけるWindows 10問題
起動をすると、OSがSSDに入っているのでとても速い。また、モニタが4Kの解像度なので高解像度の画像がとてもきれいに映る。今回のモニタは、4Kのうち”4K UHDTV”なので、3840×2160ドットである。
私が今まで使っていたPCはWindows 7をインストールしていた。ただし、この機種はもともとWindows 8がプリインストールされていた。それを自身でWindows 7に戻して使っていた。
この理由だが、Windows 8にはとても面倒な文字がにじむ・ぼける問題があったためである。いわゆるDPI問題だ。それから4年が経ったので、すでに解決済みだと思っていた。
これが間違いの出発点だった。
4Kのような高解像度モニタが出てきたことで、史上最悪のゴミOSであるWindows 10とあいまって事態がさらに悪化していたのだ。Windows 10の文字が汚い・にじむ・ぼける問題は次のサイトがとても詳しいのでご覧あれ。
【4K修行僧】Windowsの4Kスケーリング環境を検証する ~文字表示は美麗。ただし、非対応アプリも多数存在 – PC Watch
ちなみに、検索すると以下のように言及しているページが非常に多い。Windows 10という特定商品の特定キーワード、日本語のみでこれだけヒットするほど問題が多いということ。
Windows 10 文字 汚い → 検索結果 143,000
windows 10 文字 ぼやける → 検索結果 44,900
windows 10 文字 にじむ → 検索結果 11,200
これに加えて、Windows 10がシステムフォントに游ゴシックを採用していることでさらに状況が悪化。とても見づらいのだ。質の悪い描画エンジンに初物フォント使って出荷してしまうマイクロソフト。
解像度を4KからフルHDに直して、DPIを100%固定にすればいいのでは?と思った、あなた。それも間違いなのだ。描画方法が変更されたため、4KディスプレイでフルHDを映すとこれまた汚いのだ。
これはかなりまずい…。
OMEN by HP 15-ax200にWindows 7
そこで再度登場するのがWindows 7である。
さっそくプリインストールされているOSをWindows 7へ変更する。今までBIOSと呼ばれていたものが、UEFIに変更されているので、起動順序を変更する設定を呼び出す。
ファームウェアを変更したあと、起動時にBIOSもどきの画面が出てくるのでここで設定変更してWindows 7のインストーラを呼び出す。
最近のPCはベースがUSB3.0なので、USB2.0のみのWindows 7から呼び出すと途中で何もできなくなる。そこで、Windows 7にUSB3.0のドライバを組み込んで起動する必要がある。幸い、USB3.0対応のツールが多数出回っているので、それを使う。
USB3.0ドライバを組み込みしておくと、マザーボードのチップセットのドライバもDVDまたはUSBから呼び出せるようになるので便利である。
本機材は、SSDがNVMe M.2接続なので別途ドライバを組み込んで起動する。結果、以下のようにSSDにインストールが可能に。
このまま順調にインストールが終わると思ったのだが…。
マイクロソフトはHARAKIRIするべき
インストールは自動で淡々と進む。
Windows 7が起動して、ヤッター!である。
Nvidiaのドライバを入れて、画面問題も一気に解決…と思ったら、別の問題が発生する。まさに一難去ってまた一難。
Windows Updateで以下のようなエラーが出るのだ。
なんだこれ?である。
実は、マイクロソフトはゴミ仕様のためまったく広がらないWindows 10を強引に普及させるために、新しいアーキテクチャをWindows 7でサポートしない方針を採っているのだ。
インテルの第6世代Coreプロセッサー(Skylake)搭載のPCで動作するWindows 7と8.1のサポートは、2017年7月17日以降に限定的になることが明らかになりました。さらに次世代のCPU『Kaby Lake』以降では、Windows 10のみがサポートOSになります。
ASCII.jp:最新CPUでのWindows 7サポート打ち切りで、企業ユーザーは選択を迫られる|Windows情報局ななふぉ出張所
古いOSはメンテナンスコストが掛かる上に、そのコストを補う収入が入らない。またLinuxの普及やスマホユーザの拡大のため、OS自体が売上に結びつきづらくなっている。そのため、OneDriveやマイクロソフト アプリストアなどサブスクリプション型への移行を推し進めたい思惑があるのだろう。
IT製品は、iPhoneのようにハードウェアとソフトウェアがうまく協調してこそである。IT業界に関わって20年ほどだが、ここまでソフトウェアがハードウェアの足を引っ張るパターンはめずらしい。
つまり、マイクロソフトは獄門打ち首が妥当である。
OMEN by HP 15-ax200のまとめ
以上から、本製品をまとめると次のようになる。
- Windows 10の場合:DPI問題に悩まされる
- Windows 7の場合:Windows Updateの範囲外
DPI問題については、アプリ側が対応すれば解決する。使い慣れた古いアプリを破棄するのは忍びないが、新たにパートナーを探すのも悪くはない。ただ、QQ Internationalのように使いたいのに開発元(テンセント)がやる気がないため、代替手段がないアプリが頭の痛い問題だ。
特定アプリのために、どうしてもWindows 10を使わざるを得ない場合除けばLinuxを検討してもいいかもしれない。また、Windows 10を使う場合でも、4Kノートパソコンは除外するべきだろう。
Windows 7のWindows Update問題は手動対応も考えたが、面倒なので破棄。
梱包がむごいのはHPの過失であるが、この点を除けば運送費込みで13万円。とてもお安いのだ。むしろ、普通に使うのに支障をきたす問題や致命傷を与えているのは、誰でもないマイクロソフトである。
最後に
冒頭で述べた通り営利目的の自称レビューサイトだらけの中、ちゃんと自身で検証して、さらに質問に答えてくれた親切なサイトもあったのでお礼を述べておく。
【開封の儀】PC初心者の管理人に絶対的に無駄なハイスペックゲーミングノートPC「OMEN by HP 15-ax200」: アラサーって男子なの?おっさんなの?
特に次のサイトは、各ベンチマークの数値と合わせて細かく紹介しているので参考になった。
4KとDPI問題が過渡期にある中の残念なプロダクト、それが本製品である。
前回のUQ Mobileの件といい、最近地雷をよく踏む。厄払いに行ったほうがいいのだろうか?
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