一眼レフ並みの高性能デジカメAndroid
世界を代表する情報通信業の中国メーカ Huawei(ファーウェイ/华为)。同社の主たるビジネスは、基地局向けの機材。そんな同社は、コンシューマ向けにも端末を出している。2018年3月リリースしたHuawei P20 Proを3ヶ月使った感想を述べる。
iPhoneを意識したフラグシップモデル
HuaweiのP20シリーズは去年(2018年)リリースしたモデルで、P20 Proはその中で最も高性能なフラグシップモデル。詳細なスペックは同社のサイトに掲載されている(HUAWEI P20 Pro Smartphone, Leica Triple Camera, FullView Display HUAWEI Global)。
中国では各キャリアからリリースされており、日本でもNTTドコモが取扱している。Simフリー端末(白ロム)がほしい人は、Amazon Japanで(自称)代理店が取扱している(Huawei P20 Pro)。
国内版のP20 Proは、他のAndroid同様にGoogle PlayなどGoogleサービスが入っていないので、今回Amazonで入手した。届いたときの化粧箱がこちら。フラグシップモデルらしい(そして中国人が大好きな)ゴールドカラーで型番が書かれている。
化粧箱を開けると豪華な…と思ったら、とてもシンプル。
本体の画面には、出荷時の保護フィルムが貼られている。この保護フィルム、しっかり画面に張り付いてて操作上問題なければ、そのまま使うのも手である(我が家では子供に強制破棄されたが…)。
90分あればフル充電
Amazon Japanで扱われている同モデルは、香港向けだったようで、以下のようにゴッツイ3股コンセントがついていた。中国国内のタップであればそのまま差し込みできる。
日本で使う場合は、3股→2股への変換アダプタが必要になる。
この充電器とケーブルを使うと、P20 Proを30分で70%ほど、フル充電でも90分ほどでできてしまう。すばらしい!ただ、両パーツともにP20 Pro向けに作られているのか、P20 Lite用のパーツを使うと超急速充電ができなかった。
今までiPhoneをメインに使って”いた”(過去形)。
理由は、Androidによく見られる漏電である。電気学的な漏電ではなく、寄せ集めのパーツやアプリが好き勝手に電池を浪費し、フル充電しても半日持たずに電池切れになることだ。
この点、P20 Proはすばらしい。VPNフル起動で追加アプリ30個入れて、写真撮りまくりで使い倒しても1日持つ。
Softwareに子供向けのアプリが入っているのがわかるだろうか。昼間、子供に渡して遊ばせても(当然、その間画面は点きっぱなし)電池切れ起こさないのだ。
こういった使い倒した状態でないと、本当の性能はわからない。レビューをここまで引き伸ばしていたのはこういった事情がある。
アプリが高性能CPU/GPUでサクサク
さて、そんな電池持ちのいいP20 Proのエンジンは、グループ企業のHisilicon Technologies Co., Ltd.(海思半導體)が作ったKirin 970。スマホ情報を見て驚いたのだが、コアパーツは既に国産化されているのだ。
Wintel時代(WindowsとIntelの組み合わせ)に、それ以外のパーツを使ってコスパはいいものの、性能がよくなかったり発熱に悩まされたことがある。
しかし、このKirin 970は、そんなことはない。重めのアプリ(子供向けのグラフィック多様したもの)や高解像度の動画(4K)を再生してもサクサク動く。画面効果(エフェクト)が入った状態でももたつかない。体感ではiPhone 8とどっこいどっこい。
プラットフォームが異なるので公平なベンチマークにはならないのだが、同一アプリを動かして比較したデータもある。気になる方はチェックされるといいだろう。
3レンズカメラの威力
実は、上述した内容はかなりどうでもいい。いや、大切なことなのだが、このモデルのすごいところは、なによりもこのカメラなのだ。
背面には有効画素数 約4,000万+約2,000万+約800万画素で合計約6,800万画素、フロント(自撮り)にも約2,400万画素という強力なカメラを搭載している。この技術には、ドイツ老舗カメラメーカであるライカが参画している力の入れ具合なのだ。
たとえば色彩の豊かな構図-背景に空、被写体が建物-を撮影したときの写真を2枚並べる。1枚はHuawei P20 Proで撮影したもの。もう1枚は、ニコンの一眼レフカメラD5500で撮影したもの。
どちらがスマホ撮影かわかるだろうか?
私はカメラや撮影は、ド素人である。どちらの機材もその場に立って(当然、日光の方向なども考えず)パチリと撮っただけ。
1枚目が一眼レフカメラで、2枚目がP20 Proで撮影したものだ。私から言わせたら、パッと見は十二分過ぎる。あれ?一眼レフカメラ持ち歩かなくてもいいんじゃね?と正直思った。
AIがバリバリ動くよ!
このHuawei P20 Pro、実は被写体によって挙動を変えてくれる。
たとえば、屋内で料理を撮影すると、なぜか美味しく見えないなんてことないだろうか。P20 Proは自動でこれを判定して絞りを調整してくれるのだ。
タイの田舎町にあったレストラン(屋内がやや暗め)で適当にとってもこんなに鮮やかに撮ってくれる。
また、逆光や夜のライトアップなど光の加減が難しいところで撮影すると、全体が真っ暗な写真ができてしまう。そんな状況でも、AIが勝手に加工をしてきれいに撮ってくれるのだ。夜のマーライオンもこのとおり。
もっとも、夜間撮影の場合、ISO感度を調整しながら何枚か撮ったあと合成しているようだ。そのため、被写体が動かないのが前提となる。
お前、誰だよ?
個人的には余計だと思うが、中国人女性は御用達になりそうな美白機能が搭載されている。特にフロントカメラで撮影したとき、デフォルトでシワ消し、お肌つるつる化されるのだ。
子供は私に似て色白なのにさらにデフォルメされて白くなり、おっさんの私もこのとおりお肌がツルツルに。こりゃ、パネマジ(パネルマジック)扱いされてもしょうがないね。
AI機能は、ややデフォルメし過ぎの場合もある。強く働くのが、青空と緑地。どちらもかなり強く出るので、実物よりもややチラシっぽい感じになる。
たとえば、シンガポールのチャイナタウンの外れにあるこのビル(Zhen's Kitchen Singapore 珍味坊)。実物はうす汚い古い建物なのだが、青空が強調された結果、まるで凱旋門のような風格になってしまう。
同じく緑はこちら。全体がやや緑っぽい加工が入っているのがわかる。また、背景から少し浮かび上がった(不自然な)感じになる。
ただ、このAIにある程度任せっぱなしで撮影しても、下手な一眼レフカメラよりもぱっと見きれいに撮れる。普段から持ち歩いているスマホでこれだけきれいに撮れれば十分だろう。
Huawei P20 Proはズバリ買い
ほかにもこの機種、いろいろ機能がある。詳細は公式サイトに譲るが、ざっと列挙するとこんなのがある。
- 有機ELディスプレイ搭載
- 指紋認証センサー
- 5倍ハイブリッドズーム
- 3Dポートレートライティング
P20 Proで画面を見たあと、iPhone 8見るとなんか色あせた感じが否めない。もちろん、液晶ディスプレイと有機ELを比べるのはフェアではないのはわかっているのだが。
このP20 Proを手に入れてから、メイン機種がiPhoneから変わったのがこの3ヶ月で実感している。何かあった場合にまず取り出すのが、P20 Proなのだ。
価格が約10万円(今、見た価格では9万円を切っている)とAndroidとしてもHuaweiとしてもお高い。しかし、それに見合った性能と満足感が得られるスマホである。
しかし、本サイトで中国スマホをおすすめする日が来るとはいやはや…(笑)
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