Apple Musicが中国でブロックされる3つの理由

Apple Musicが中国でブロックされる3つの理由 中国インターネット
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アップルVS中国当局

Apple Musicが中国で規制される3つの理由

米アップルが先日オンライン・ストリーム配信サービス「Apple Music」を発表した。このサービス、最近流行りの何曲聞いても定額!というもの。とても魅力的だが、サービス開始間もなく規制されると当サイトでは予測。見解を展開したい。

Apple Musicとは?

「Apple Music」は月額9.99ドルの定額制音楽ストリーミングサービスで、6月30日から世界100カ国以上で配信を開始する予定である。いろいろなチャンネル、豊富なラインナップをいくら聞いても定額というもの。類似のサービスはすでに複数ある。たとえば、米大手流通のAmazonも「Amazon mp3」をすでに2年ほど前から始めている。比較表が掲載されたサイトがあるので、詳細を見たい方はこちらを見て欲しい。

Apple Musicはヒットとなるか?競合サービスとの比較で見る、強みと弱点

当サイトでは、Apple Musicは1年も経たないうちに中国市場からロックアウトされると見ている。根拠は3つあり、いずれも過去に類似の理由から締め出しを受けている。これら理由を紹介しよう。

1. SNS機能があること

Apple Musicが中国で規制される3つの理由

新しいサービスは複数の機能から構成されている。その中に、Music Connectという機能がある。Appleの見解では、アーティストとユーザをつなげる新しいサービス・空間を提供するのだという。

Connectでは、アーティストの投稿にコメントしたり、お気に入りの印をつけたり、それをメッセージ、Facebook、Twitter、Eメールで共有することができます。あなたが書いたコメントにアーティストが直接返事をすることもできます。Connectは、あなたと音楽との関係をまったく新しいステージへ連れて行きます。

中国当局が嫌がるのは、当局が監視できない場所で大衆と大衆がつながることである。このサービスの特性上、アーティストを意図的に絞ることはないはずである(絞ってしまうと、ロングテール戦略なサービスの根幹を破壊するため)。

たとえば、反中共アーティストなどが登場してデモをここで呼びかけたら、当局にとっては悪夢そのものである。過去に法輪功などは、VPNを提供するサービス業者として風穴を開けようとしていた時期がある。AppleのiPhoneやiPodは中国中にばらまかれている。

FacebookやTwitterですら規制されている。ユーザが数億人と言われる中国のAppleユーザ。ここに好きなように交流ができるようなサービスを当局が看過するだろうか?

2. Apple端末であること

Apple Musicが中国で規制される3つの理由

2番目の理由にぎょっとするかもしれない。そんなバカな!と。

AndroidはGoogle Play自体が中国政府から規制され、中国国内向けに当局が許可したマーケットがあるのでコントロールできる。しかし、Apple製品は異なる。デバイスのアクチベーション含めて全部海外にサーバがあるのだ。Appleのサーバを規制すると、iOS製品群が使えなくなるので、うかつに規制ができない。そこで、アプリ単位で絞り込みをかけてくることは十分ありうることだ。LINEが規制されたのと同じ理由で使えなくなる可能性は高い(参考:LINEを中国で利用できるパターン)。

3. 中国IT国産化と競合すること

そして、何よりも中国当局が発表したIT国産化と真っ向からぶつかることだ。中国の工業化は既に傾いており、次の雇用の受け皿を探すのに当局は血眼である。中国国内で販売から消費されるのであれば、国内循環となるので外貨の流出も最小限に留めることができる。

中国ではデジタル音楽の有料サービスが定着する土壌が整っていないと報じられたが、そうした逆境の中、同国のインターネットサービス大手、テンセント・ホールディングス(騰訊控股)は、この分野が有望な市場とにらみ、サービスの普及に力を入れているという。

中国で有料音楽サービスは根付くのか 中国ネット大手のテンセント、あの手この手で顧客にアピール | JBpress(日本ビジネスプレス)

テンセントのサービスに合わせるように、中国政府もコンテンツ権利の正常化に楔を打つような発表を複数している。

もちろん、WTOに中国も加盟している以上、あからさまな完全な規制はしないかもしれない。しかし、正常に動かないよう故意に妨害してくるのは容易に想像がつく。金盾の運用が不透明で、国内問題として一蹴している以上、Apple Musicの中国向け収入は期待できそうにない難産になるだろう。

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