中国「外」でも暗躍
中国共産党は体制維持のために、執拗なまでに言論統制を行っているが、いよいよ出版側や所持する側にも及んできた。
関係者が失踪
中国で発行が禁止されている書籍、いわゆる禁書(発禁本)を扱う関係者が相次いで失踪しているとマスメディアが報じている。
中国本土では出版できない「発禁本」を扱う香港の書店関係者4人が10月中旬から相次いで失踪し、香港紙・明報は15日、このうち一部が中国本土で警察に拘束されたと報じた。英BBC(電子版)などによると、親会社の株主や幹部、店長らが訪問先のタイや中国広東省などで行方不明となった。
冷戦時代のスパイ大作戦かと思うレベルで、主権が及ぶ範囲外のタイなどでも拘束しているのだから恐ろしい。この場合は、タイの主権侵害にあたるのだが、お構いなしである。もっとも、この手の逮捕や投獄自体は以前からあって直近では販売目的の所持で実刑判決を受けている例もある。
検察側は、社会の秩序を脅かし、市場秩序を乱す違法出版物を取り扱った罪は重く、違法経営罪、著作権侵害など複数に該当するとして、5年5カ月~6年の懲役と罰金刑を求めている。
社会秩序を乱す罪は3年以上7年以下の刑を定めている。単純所持では罰せられないのだが、外国人が所持していると意外なところから捕まりそうである。それは、以前にもお伝えした反スパイ法である。
つぶやいたらアウト?
この反スパイ法で定めるスパイ行為は、規定がどうとでも読める玉虫色だ。官僚や権力者に金銭を送り意図する行為を引致するのは当然ながら、日本の刑法上、教唆になるか微妙な部分もスパイ行為として規定されている。
间谍组织及其代理人实施或者指使、资助他人实施,或者境内外机构、组织、个人与其相勾结实施的危害中华人民共和国国家安全的活动
「中国の安全に危害を及ぼす活動(危害中华人民共和国国家安全的活动)」と言う規定は曖昧である。この反スパイ法で最も強烈なのは、同法38条5項の規定で複数のジャーナリストから強烈な批判を浴びている。
この場合の「その他」はまったく無制限なもので、いかなる拡大解釈も許してしまう危険な条文だからである。
【石平のChina Watch】無限に拡大解釈できる中国の「反スパイ法」と「総体的国家安全観」…異質な国とどう付き合うか? – 産経ニュース
たとえばだが、中国国内で閲覧できないニュースサイトの内容をそのままWeChatでつぶやくと、危害を及ぼす情報を拡散させたとして逮捕されるかもしれない。
中国国内にいる邦人は、くれぐれも気をつけていただきたい。
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