通信レスポンスが急激悪化
ここ1ヶ月ほど、海外との通信が非常に取りづらい状況が続いている。通信そのものが遮断されてしまうのだ。調査してみると、中国電信(チャイナテレコム)で発生しているようだが、これが同社の問題なのか、それとも拡大するのか、注意が必要だ。
最大速度が1Mbps!?
7月の上旬くらいから全国的に海外との通信が取りづらくなっている。クライアント環境はまちまちではあるが、障害報告が出ているのは中国電信系である。ただし、国内への通信は、ほぼ帯域通りに出る。たとえば、私が利用している上海中国電信も30Mbps前後と国内向けは快適だ。問題は、海外との通信で、最大速度が1Mbps以下だったりと、もはや使いものにならないレベルである。
例えば、百度に対してPINGを行うとスムーズに返ってくるのに、同じ行為をYahoo! Japanにするとパケットロスが多発する。
テストを実施した2時前後は比較的まだマシなほうで、平日の夜間などは諦めるレベルだ。どこでボトルネックが発生しているのか、通信経路を見てみると、中国電信のバックボーン系で極度に速度が落ちている。
同一セグメントにあるサーバ間なのに、いったいどういう設定・設置すればこれだけ反応が悪くなるのがむしろ見てみたいレベルである。
中国国内から中国電信までテスト
このテストで出てきた202.97.33.xxと202.97.6.xxを引いてみると、中国電信のバックボーン系のサーバのようである。
おそらくこちらのサーバが入口となって、もう片方のサーバが出口となっているので、この間に金盾(?)が存在しているのではないかと推測。
それぞれのサーバに通信テストをしてみる。これらの通信がうまく行くのであれば、中国国内での通信障害になるのだが…。
まず、入口となるサーバに対してテスト。パケットロス0。正常に動作しているようだ。次に、出口となるサーバに対してテスト。
202.97.6.xxにもアクセスはしてみたが、国内からの応答にはまったく反応しなかった。そこで1つ手前のサーバでみてみると、すでにココでパケットロスが発生している。30%以上ロスするというのは、かなりむごい状況である。
海外から中国電信までテスト
ただ、これだけだと国内ネットワークが完全にシロと言い切れないので、東京のサーバからアクセスをしてみた。GMOのVPS上とぷらら(NTTコミュニケーション系)の双方から確認をしてみた。
まずは、日本側の出口であるIIJまでを確認。当然だが、パケットロスなど発生していない。そこで、中国側の最後の出口サーバ202.97.6.xxに対してアクセスをしてみる。
結果は、このサーバにアクセスをした時点でパケットロスが出てしまう。ここで2つほど仮説を立ててみた。
- 中国電信の海外ゲートウエイまたは海外とのネットワークに障害発生
- 中国当局の金盾システムに障害発生(または故意に通信カット)
そこで、個人で契約している中国聯通(チャイナユニコム)ネットからもテストしてみる。
中国聯通からテスト
中国聯通の固定回線は持っていないので、モバイル端末から代替する。中国国内の通信については問題ないと見ているので、直接Yahoo! Japanに通信テスト。
あれ?パケットロスが発生しない…。念のためどういう通信経路で海外に出ているかチェックする。
通信経路を見てみると、219.158.23.xxに入った直後に速度が劣化している。サーバの情報を見てみると、中国聯通のバックボーンネットワークに入ったところのようである。
逆に言えば、ここで金盾を通過している可能性が高そうである。それぞれのサーバに対して別途PINGテストをしてみたが、パケットロスは皆無または10%未満であった。中国電信の時と比較すると体感でまったく差が出ているのはわかっているが、念のため速度テスト。
携帯端末が4G対応ではない(3G+)ので、最大速度は7Mbps。HMA沖縄サーバ経由で東京にアクセスしてみたら3.5Mbpsとまずまずの速度。速度が若干ふらついているのは、わが家の電波があまりよくないためだと思われる。他のVPNでも試してみたが、中国電信よりも大幅に速度改善ができた。
現状は中国電信網
結論は以下のとおりだ。
現状では、中国電信の人は、中国聯通に切り替えると速度改善できる。ただし、中国聯通も金盾があるので、海外へアクセスするならばVPNが必要。
かんたんではあるが、中国国内→中国ゲートウエイ→金盾→海外ネットワークでそれぞれ切り分けをしてテストした結果、中国ゲートウエイにあたる中国電信網に問題がありそうだ。以前にも速度劣化の問題(参考記事:中国当局が海外との通信20%近くカット中)が起きていたが、ひょっとするとこれも同じ中国電信網の問題だった可能性がある。
ただ、懸念点として、今回の障害が実は金盾のバージョンアップに伴うもので、後日中国聯通にも波及することである。1ヶ月以上も差が開いているので、可能性は低いとは思うが、よくよく注意してウオッチしていきたい。
コメント
蘇州からです。
最近、会社の回線ではHMAの沖縄サーバーにつながるのに、自宅回線(中国電信)からはつながらず謎でした(香港サーバーは可)。本記事読んでなんとなくですが納得しました。
ありがとうございます。
なおさん
コメントありがとうございます。
一口に企業アカウントと言ってもタイプがいくつかあるようで、大企業が優先されるらしいです。
特に国営企業は国策企業なので人民軍ほどではないにせよ、帯域が先に割り当てされるので、そこと絡むところも快適なのかもしれません。
いずれにしても、この国の料金表と性能説明は信用できませんね。
↑も今回の件と関係があるのでは?
はじめまして。
住んでいるサービスアパートメントの中国電信ネットワークは皆さんと同じ状態です。
ただ会社の企業版中国電信光ネットワークへの影響はない様子です。
現地スタッフに中国電信の担当者に確認してもらったところ、やはり一般家庭向け回線で海外への帯域が以前より細くなっていると行ってました。上記でも書かれているようにオプションみたいなのを適用すれば以前と同等のスピードが出るとか。
よろずさん&上海上海さん
コメント毎々ありがとうございます。
7月に国内の速度を無償で上げましたが、その損失分をチャイナテレコムが国际精品网を販売することで巻き上げているという陰謀をふと思ってしまいました。
国际精品网は、中国の帯域制限から言うと上から3番目のアカウントですね。
帯域割り当てを上から言うと「人民軍 > 政府またはキャリア > 企業プレミアムアカウント > 企業一般アカウント > 人民アカウント」らしいので。
記事、勉強になりました。
友人はユニコムに乗り換えてます。快適だそうです。
電信のやった工事というのは、国际精品网、というものではないでしょうか?一ヶ月200元で早い回線は割り当ててくれるというサービスです。
ご返信ありがとうございます。
そうですね・・・悪夢にならないようにしたいところですが・・・。
実は会社でも同じことがおこっており、全然メールも送れず仕事にならなかったのですが、IT部門が海外向け回線の工事をすると言って電信の業者の方を呼んで2時間ほど工事したところ、圧倒的に海外接続が早くなりました。
社内で何をしたのか聞けばいいんでしょうが、少なくとも金盾の手前で何か手を打てば改善する類の現象だということが分かりました。
ですので、ユニコムまで同じ障害が発生する可能性は低いのでは、と”期待”しています。
家のも同じように改善してほしいものですが…。
うっち~さん
毎々コメントありがとうございます。
現象は同じでユニコムだとVPNがさっくり接続されるのに、テレコムだとそもそもリンク出来ないという感じでした。
まぁ、中国だからしょうがないですけれどね…。
リンクは大歓迎です。ガシガシ貼って下さい。
よろずさん
コメントありがとうございます。
本件の障害は事象としては知っていたのですが、キャリア別の切り分けはしていませんでした。
#勝手に出口の金盾で起きていると思い込んでいました。
中国でも念のため原因分析はちゃんとやろうよ!といういい例になりました。
1時間に1度の瞬斷は、モバイルの規制だと思います。私のところでも発生していますし、家内のギャザリングでも同様です。
個人的にはチャイナテレコムの障害が早く直って欲しいです(ただし、テレコムが正式版の金盾でユニコムにも波及したら悪夢ですねぇ…)
やまちゃんさん
毎々コメントありがとうございます。
別の方からの指摘がなかったら金盾と決めつけてしまいそうな事案でした。
いくら中国とは言え、障害は発生時の切り分けは念のためやった方がいいという例となりました(苦笑)
好久不見です。
さすがですね、技術的にきちっと分析されてる。
私も、自宅は電信でインターネット接続、モバイルは聯通のデータ通信SIMをSIM2枚ざしのスマホに入れて使ってます。
こちらのブログで紹介されてるのと全く同じ現象で、VPN接続が必要な時は、モバイルになってしまっています。
私のブログでもいろいろ書こうかと思っていましたが、簡単に書いて、この記事にリンク貼ろうと考えています。 よろしいでしょうか?
ユニコムのデータ通信プラン加入してきました。
12GB、3ヶ月の契約で本体599元、通信カード300元でした。
一時間に一回切断されるようですが、最大21MBの仕様で夜21時のHMA利用の日本接続実効が10MBなので電信の自宅回線より相当マシですね。
しばらく規制されませんように…。
先の記事へのご返信ありがとうございました。
金盾のバージョンアップが完了しるなど、何とかおさまってほしいものです。
暫定措置としてユニコムのデータ通信プランに加入し、テザリングによるwifi接続をしようかと思います。
案内をうけたところ3Gのみで4Gが無いということですが、
こちらで見ている3Gの安定速度であれば、固定の電信よりも圧倒的に早いですね。
今夜契約してみる予定ですので、また状況など共有致します。
このところ、メイルに大きなFILEを添付して送ると、1時間経っても発信しなことがよくあった。
道理で、SPEEDに差があるんですね。
OOKLAのWINDOWS PHONE用free softのSPEED.TESTで調べてみました。
上海のChina TelcomとChina Unicomに横浜からaccessしてSPEEDを調べてみると、China TelcomがDownloadが0.59Mbps Uploadが0.00Mbpst断然遅い。China UnicomはDownloadが13.43Mbps Uploadが9.88Mbpsでした。
南京のChina Unicomの場合は、Downloadが13.87Mbps Uploadが10.39Mbpsと上海と似たような数値です。
こんにちは。1年前から中国に住んでいるものです。
最近、引越しをして10Mbpsの回線を契約したのですが
ここ最近、日本のサイトへのアクセスがほとんど不可能なくらい遅くなって困ってしまいました。
先日、セカイVPNを契約したのですが、VPNにすら繋がらない状況で困りものです。