日本より一歩先を行く中国企業のSNS対策

日本より一歩先を行く中国企業のSNS対策 ビジネス
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中国企業がもっとも恐れるもの、それは口コミ

日本企業より一歩先を行く中国企業のSNS対策

SNS対策というのはご存知だろうか。日本ではTwitterやFacebook上に公式アカウントを作成してイメージ広告などをするのがメインだが、中国では少し状況が異なる。日本企業より進んだ中国企業の取り組みをご紹介する。

日本でのSNS対策とはなにか?

まずは、法人のSNS対策とはどういうものなのか。大きく分けると3つある。

  1. 従業員や関係者が私的なSNSで、企業情報などを漏らすリスク対策(セキュリティ対策)
  2. 法人アカウトを作成し、企業情報をアナウンスするもの(マーケティング・広報)
  3. ユーザに起業のサービスや製品を利用してもらい感想をSNSに流してもらうもの(同上)

セキュリティ対策としてのSNS

1については、吉野家アルバイト店員超盛り豚丼事件などに代表される不適切なSNS利用への対策。日本ではこれが一番重視されているようだ。総務省などもこの点について注意喚起する情報を発信している。

吉野家アルバイト店員超盛り豚丼事件

SNS利用上の注意点|社員・職員全般の情報セキュリティ対策|企業・組織の対策|国民のための情報セキュリティサイト

この手の事件は、以前はニコニコ動画などだったのが、最近ではFacebookやTwitterに置き換わっただけで、相変わらず定期的にネットで話題になる。社員教育の一環として行われることが多い。

広報としてのSNS

2については、Facebookなどでよく見かける「なんとか公式アカウント」みたいなものを作成し、定期的に情報発信をするもの。

日本企業より一歩先を行く中国企業のSNS対策

マーケティングとして、広告などにも一緒に併記されることが多くなったのでご存じの方もかなり多いだろう。

ユーザマーケティングとしてのSNS

いわゆる口コミ。もともとAmazonなどではレビューなどが投稿されていたが、こちらはユーザ発信の受動的なもの。これを企業から呼びかけを行いユーザ側にやってもらうものが主流。

ただ、最近では一般ユーザを装ったプロの集団が投稿するケース(いわゆるステルスマーケティング、略称ステマ)が見られており、以前ほど活発ではないようだ。

誰でも分かるステマ騒動まとめ

ステルスマーケティング(ステマ)とは何か―過去の事件と手法について – NAVER まとめ

中国人と口コミ

中国においてSNS対策はきわめて重要なものになりつつある。それは、既存の広告があまりにも虚偽宣伝や誇大広告が多すぎて信頼度がほとんど無になっているからである。広告は多かれ少なかれある種の誇大するところはある。したがって、世界的に見てもまわりにいる人からの口コミというのは信頼度が高い。

日本企業より一歩先を行く中国企業のSNS対策

ただ、中国の場合、他国と比べてもかなり低い。百度などは、検索結果がリスティング広告の嵐になっており、何が正しいのか判断つかないのもある。まさに、中国人が中国人の足を引っ張っている状況だ。

日本企業より一歩先を行く中国企業のSNS対策

2015年の春節は日本のニュースで中国人観光客による大量購入(いわゆる爆買い)が話題になっていたが、この裏には口コミがある。中国のブログサイトやWeChat(微信)上にはこうした口コミ投稿が多数見られる。

 日本企業より一歩先を行く中国企業のSNS対策

中国企業のSNS対策

インターネットを2人に1人はなんらかの形で利用し、そのほとんどがSNSを利用する中国において、SNSの威力は非常に大きい。ネットを利用しない残り半分は貧困の農村などなので、中国企業にとってのマーケット人口とインターネット利用者はほぼ重なるだろう。それだけに、各種口コミサイトなどで上る投稿記事に中国企業も敏感にならざるを得ない。

たとえばだが、私の知っている某企業では、製品系のSNSを定期的に巡回し単語レベルでのデータ蓄積を行い、テキストマイニングによる分析を行っている。地区別、店舗別、ポジティブ・ネガティブによる分類を行って、ポジティブ部分についてはユーザへの還元、ネガティブについてはユーザ対策(ヒアリング、補償などなど)と店舗や製品の改善活動につなげている。

日本企業より一歩先を行く中国企業のSNS対策

この図はKeyword Eyeという製品のものだが、これに似たようなものを自社開発していた。もちろん、現場責任者がこのようなマイニングに精通していることは稀なので、データをより具体的な行動に結び付けられるように、指示内容や可視化を行っている。たとえば、「使いづらい」というキーワードがでたら、書込元の特定とその顧客へのフォロー電話をするなどのようなタスクが自動で組まれるのだ。

この会社では、このように企業活動の一部として取り入れており、PDCAサイクルに乗せている。会社自体は中国国内の同業種の中で比較しても、決して大きい会社ではない。中堅の会社でも率先して取り組んでいるのだから、大手については言うまでもない。そう考えると、中国の企業は、少なくともこのSNS分野については日本企業よりも一歩進んで取り組んでいるように思える。

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