中国インターネットとネット規制-金盾の威力

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高度に体系化、システム化されたネット検閲

中国インターネットとネット規制-金盾と戦う

中国のインターネットに対する規制は、見せない規制と検閲両方が一対となっている。それぞれが高度に体系化、システム化されている。国家レベルのプロジェクトで、10年近く運用されている世界トップクラスである。金盾の威力を紹介しよう。

規制と検閲の違い

規制と検閲のそれぞれの意味を国語辞典で引くと…

き‐せい【規制】
[名](スル)
1 従うべききまり。規定。
2 規則に従って物事を制限すること。

けん‐えつ【検閲】
[名](スル)
1 調べあらためること。
2 公権力が書籍・新聞・雑誌・映画・放送や信書などの表現内容を強制的に調べること。日本国憲法では禁止されている。

コトバンクより

規制は単に行動に制約を縛ることで、検閲はその内容に踏み込んで制約を課すことになる。

私生活にも入り込んでくる検閲システム

マスメディアや媒体に検閲が入るのは仕方ないんじゃないか?と思うかもしれない。しかし、中国のインターネットでは、個人の生活にまで入り込んでくるから厄介である。

たとえば、中国最大手のブログサイトである”新浪博客”やQQについてくる”QQ空間”などで日記を書こうとする。この書いた日記に当局が不適切と認めた単語がふくまれていると、すぐに削除or公開そのものができなくなる。

実際、私がノーベル平和賞ネタをQQ上で書こうとしたときに、こんなメッセージがでて来て公開ができなかった。

您有部分日志因不符合互联网相关安全规范或被多名用户举报,现暂不支持他人查看, 建议您及时对审核未通过的日志进行清理,以便享受更好的QQ空间服务。

簡単に翻訳すると”お前の書いた内容には安全規定に反するものがあるから、申請をしないと公開はできないうんぬん”。

個人が意図なしに書くようなブログにも、検閲システムが入り込んでいる証拠。この検閲は、ブログなどに限らずQQなどのインスタントメッセンジャー、さらには普段KTVの小姐などとやりとりしているショートメッセージなども含まれている。つまり、おおやけになりうるすべての情報で個人と個人が行うやりとりにたいして検閲システムが入り込んでいると言える。そこにプライバシーなど存在しない。

2018年に入ってからは中国共産党員はもちろん、高等教育機関や経済の心臓にあたる金融機関の職員に対して、ネット利用について報告を義務化するなど当局がネット利用に対して過度な干渉を始めている。

一部メディアが中国の大学の教職員および銀行員に対して、個人のネット利用状況について報告すること、さらにそれらを上層の批准が義務化されたと報じている。中国ネットの北朝鮮化が止まらないようだ。

日本では検閲などしようものなら大騒ぎになるはず。しかし、この中国では、当の中国人自身ですら知らない。とある中国人からは「(検閲の事実など)そんなわけない。なんの利益があるんだ?」とまで言っていた始末。

インターネット規制は単語単位

中国の国民性はどちらかと言えば大雑把なのだが、このインターネット規制は国家の根幹を揺るがしかねないと中国共産党は見ている。そのため、とても徹底した規制がされている。

たとえば、規制されていないサイト(Yahoo! Japanなど)であれば、普通に使える。それでも検索エンジンで政治的に敏感なものやアダルト系を検索すると、検索結果が出れば御の字である。そもそも、検索結果が表示されずに警告が出てくることがある。

中国共産党がもっとも触れたくない「天安門事件(中国語では六四事件)」などは、警告すら出ないで、他の天安門事件(中国語では四五天安門事件)を表示するほど徹底されている。これでは国民が天安門事件を知らなくても不思議ではない。

中国ネットを悪化させる諸悪・金盾

中国のネット規制がどれだけ細かいのか?は今まで述べたとおりだ。問題は、こういった規制が何を引き起こすかである。

発言を単語単位でデータをチェックするということは、膨大なデータを処理するということだ。3分で読める短い文章でも900~1,000語前後と言われている。このくらいのデータを海外含めた双方向でチェックするだから、天文学的なボリュームだ。

しかし、いくら高性能のスパコンを投入しても限界がある。結果として、中国のネットはつながらない、不安定、遅いという問題が起きる。

産経新聞が中国のネットワークについてよくまとめた記事を投稿している。こういう記事は本社の方によく読んでいただきたい。

個別の技術問題では解決できないだけにタチが悪いのだ。

規制の対象は中国本土のみ

ところで、この中国のインターネット規制はどこまでの範囲を規制下においているのか?

まず、中国に赴任や駐在、出張で一番多い上海、北京、大連、広州はこの中国のインターネット規制の範囲内である。一方で、同じ中国としている香港と澳門(マカオ)については、外れている。

深センや珠海などは、香港と澳門にそれぞれ陸路で隣接している。大陸に入る前なら使えるグーグル(Gmail、Google マップなど)、YoutubeやFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)やInstagramなどSNSサービスが入った途端にアクセスすらできなくなる。アジアでポピュラーなLINEも同じだ。

金の切れ目が縁の切れ目ではないが、電波の切れ目が世界との切れ目になっているわけだ。

中国はインターネットの敵

こんな中国の検閲システムは、当然だが各種団体からパッシングされている。

国境なき記者団(中国当局は規制済み)から毎年非難されていて、「インターネットの敵」(Enemies of the Internet)に常時ランキングされているほど。

Enemies of the Internet 2014: entities at the heart of censorship and surveillance

毎年このランキングは発表されているのだが、ほぼ毎年北朝鮮とブービーを狙っている強豪である。習近平が台頭してきたここ数年は、状況が悪化することはあっても、改善される見通しはない。

抑圧と規制の国内、攻撃と扇動の国外中国当局のインターネット政策が複数マスメディアで取り上げられている。もともと中国には言論の自由がないが(法...

直近では2017年に発表されたインターネットの自由度で、中国は中東や発展途上国(主にアフリカ)を押しのけて、堂々の1位となっている。もちろん、この1位はとても自由だ!という意味ではなく、ドンケツから数えての順番だ。

例年どおり『インターネットの自由』の2017年版(原名:Freedom on the Net 2017)が発表された。今年も中国が、内乱続く中東やアフリカ諸国など競合を抑えて1位をキープ。来年は習近平主席の指導で、さらに力強い邁進が期待できそうだ。

さらにリアルとオンラインを中国当局は一致させようと日々努力している。個人がオフラインで行うどこへ・だれと・なにをした?とオンラインでの言動を一律に管理して、一挙一動を監視しようとしているのだ。身分証の電子化は先進的に聞こえるが、それは完全統制をする北朝鮮化でもある。

中国政府は、年末から身分証の電子化(オンライン化)に踏み切った。実施地域はまだ限定的だが、今後全国へ展開される。中国当局がおしすすめるオンライン化がもたらすものはなんだろうか?

この国に、”自由”の2文字がやって来る日はあるのだろうか?