中国で規制されたVPNアプリをアプリストアからダウンロードする方法

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VPNアプリを中国で一斉規制

中国政府からの要望で、米アップルが中国ユーザ向けのApp Store(アプリストア)からVPNアプリを削除した。中国にいるユーザはどうしたらこの規制を回避してダウンロードできるのか?

App Store(アプリストア)から海外VPNが消滅

今回削除されたのは、VPNアプリである。全世界でVPNアプリが一律削除されたわけではない。中国ユーザ向けのアプリストアだけで、ほかの地域のアプリストアには影響がない。

米アップルは、削除対象となったアプリ開発元に一報を入れているようで、理由は中国の法律に違反したコンテンツを含むというものである。

VPN provider ExpressVPN said on Saturday that it had received a notice from Apple that its software would be removed from the China App Store “because it includes content that is illegal in China”.

The ‘Great Firewall of China': Apple ‘Bows to Pressure' From China's Censors and Removes VPN Apps

この通知は、ほかの有名なVPNプロバイダにもされており、当サイトがおすすめしているVyprVPNHide My Ass! Pro VPNも含まれる。手元にiPhoneがある人は、中国のアプリストアを開いてみてほしい。

検索候補に例えば”vyprvpn”と入力する。途中から候補が正しく出てくるので、アプリストアの一覧として登録されているのがわかる。しかし、検索を実行するとヒットすらしない。

聞いたこともない怪しげな中国系VPNアプリが引っかかるだけである。と、言うか、お前は誰だよ…!ちなみに、2017年単独だけでAppleは700近いVPNアプリを削除または非表示にしている。

The bad news is that Apple got rid of 674 VPN apps from the China App Store this year alone. We had no idea that there were so many circumvention apps.

About those 674 apps that Apple censored in China

このようなアップルの仕打ちに、各VPNプロバイダは失望感を表明している。

“We view access to Internet in China as a human rights issue and I would expect Apple to value human rights over profit,” Sunday Yokubaitis, president of Golden Frog, which oversees VyprVPN told Reuters on Sunday.

2017年11月21日付でアップルCEOが、VPNアプリ一斉削除についての公開質問に回答をしている。原文(英語)をここで読むことができる。回答としてはアップルは善処するが、中国で商売をする以上、中国の法・規則に従うというものだ。

では、アップルはなぜそこまで中国に従うのか?

世界最大の得意先

興味のある人は、同社の決算などを見てほしい。

iPhoneなどモノの販売は中国市場で10%ほどとシェアは小さい。しかし、それは巨大な中国市場の中での話で、アップル社から見ると全世界の売上のうち20%とアメリカ・ヨーロッパに次ぐ大きな市場なのである。さらに、ソフトウェアの売上(サービス)で見ると、中国はすでにアメリカを抜いて世界一なのだ。

かたやApp Storeの中国における売り上げを見ると、2014年の10億ドルから2016年には60億ドルへと膨れ上がり、米国を超え世界最大の市場となった。中国はアプリに金を落とすようになったわけだ。

中国市場でのiPhoneへの逆風–Appleはジレンマの中で難しい舵取り – ZDNet Japan

これだけ大きな市場を同社としては失うわけにはいかないのだろう。

アップルが同社のアプリストアから特定のアプリを、中国当局の意向を受けて削除したのは初めてではない。当局と相性の悪い海外ニュースアプリをつい先日も削除している。

米有力紙、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は4日(日本時間5日)、米アップルが中国で提供しているスマートフォン(スマホ)など向けのアプリ配信サイトからNYTのニュースアプリが入手できなくなったことを明らかにした。中国当局の要請を受け、アップルが昨年12月23日にサイトから削除したという。

NYタイムズのアプリ、中国でアップルが削除 当局要請受け :日本経済新聞

今回の処置も同時期に、中国政府が決定した個人向けVPNの規制に関連したものと考えて間違いがない。

中国当局が今年の春から1年弱かけて、ネット規制回避で使われるVPNの全面排除に乗り出す。中国人はもちろん、在中外国人のネットワーク制限は厳しさを増しそうだ。

ただ、こうとも言える。

中国政府は突発イベントを除けば、規制に先立ってある程度方針を打ち出し、試行錯誤したあとに実施しているということだ。中国市場に合わせて、各社も”なんらかの予兆行動”をしている。ニューヨーク・タイムズの件でいえば、アップルがiOS 9リリース後に同社のニュースアプリを止めているのもいい例であろう。

中国でVPNアプリをダウンロードする方法

では、中国でVPNアプリをダウンロードできないのか?

どうもそうではないようだ。まず、アップルのアプリストアもアップルIDもすべてapple.comのサブドメインとなっている。サブドメインは別サーバで運用が可能なのだが、これはサービス単位になっている。言語の部分は、各ドメイン(apple.com)の1ディレクトリとして構成している。そのため、どのサービスもapple.comのサブドメインがあるサーバに集約されていると考えてよさそうだ。また、先の検索で候補キーワードが出てきたことから、サーバ自体にはあると思われる。

このような状態で、アクセス元が中国であるかどうか?の判定は大まかに分けて次の3方法ではないだろうか。

  1. SIMカードのプロバイダ情報
  2. アクセス元のIP情報
  3. ID作成のときの地域情報(ユーザ設定)

それぞれ対策があって、1であれば別のSIMカードを刺せばいいし、2であればVPNが使える。今回のサーバの動作を見ると3の可能性が高い。ちなみに、中国に来た日本人がよく話題にする「LINE(ライン)」が中国で使えないのは、1のパターンである。

2014年夏から続く中国のLINE規制問題。2018年も引き続き規制されており、使えない場合がある。そこでAndroidとiPhone、それぞれでLINEが使えるパターンと使えないパターンを調べたので紹介する。

手元にあるApple IDが中国になっている人は、まず新しいApple IDを作成してみてほしい。

苹果中国から公式サイトへ移動する。移動すると、ページの最も下に実は地域設定ができる。ここが中国となっているはずなので、これを適当な国に変更する。

変更後にApple IDを作成する。地域はどこでもいいが、日本(Japan)で今回は設定する。SIMカードを刺したままでも関係ないと思われるが、気になる人は外して”No SIM(No Service)”にしてみてもいい。

新規でApple IDを作成したら、このApple IDを”iTunes StoreとApp Store”に設定する。この状態でアプリストアを起動すると、日本地域へアプリストア変更が出てくる。変更後にもう一度アプリストアを起動すると、日本語表示(日本語App Store)がされる。

ここで、先ほどと同じように”vyprvpn”を打って検索してみると…

ちゃんと正しく検索がヒットしたはずだ。中国語というカテゴリで、まったく関係のない中国語アプリが一緒に検索結果に出て来るが気にしない。

App Store最後の日はいつか?

今回はアップルの手抜きとも言える良心的(?)な対応のおかげで、回避できそうである。ただ、中国は国の政策として、長期計画で中国を巨大な世界から独立したイントラネットを作ろうとしている。

中国政府がついに強硬手段に打って出た。国内の大手キャリア3社に対して個人利用のVPNアプリが行う通信を、すべて遮断するように要請(命令)してきたのだ。だが、技術的に可能なのだろうか?

もしも、アップルが中国当局の意向に応じて、中国専用のアプリストアを国内に構築した上、iOSの挙動を変更したら、iOS上でのVPNは絶望的である。VPN最後の日と言ってもいい。これは、iOSがGoogleのAndroidのように野良アプリを許可していないためだ。

Android上のアプリケーションは、Googleが提供する”Google Play”上でダウンロードするのが一般的。しかし、Googleを完全に締め出している中国では、ちょっとしたテクニックが必要なのでご紹介。

今回の検証では、iOS10.3.2でチャイナユニコム(中国联通)で試しているが、『成功した』or 『失敗した』どちらでも、コメント欄に残してもらえれば幸いだ。

コメント

  1. もぐら より:

    VPNの規制、ますます心配が募るばかりですが、最悪の場合の手段として、香港SIMはどうなんでしょうか?来年2月以降も中国本土で使えそうなんでしょうか?
    なにしろ仕事でもgoogleが使えないとお手上げです。完璧に遮断すると外国人だけではなく、想像以上の影響が出ると思うのですが・・・。

    • もぐらさん

      コメントありがとうございます。
      香港SIMですが,海外SIMと同じ扱いになります。たとえチャイナユニコムでもチャイナモバイルでも,香港法人が運営するSIMについては香港扱いなので規制の対象外になります。
      ただ,日本のローミングサービスよりはいくらかマシですが,かなりのコスト増になります(当然ですが…)。
      経費で落とせるならガンガンやれるんですが,限度があるのでそことの兼ね合いですね。

      最悪検索についてはYahoo使って,Gmailは他のメールアドレス(ただし,中国ドメイン以外)に転送すればなんとか耐えられるかなぁと思ってます。
      #ただ,見られないサイトが多すぎて頭痛ですが…。
      VPNの遮断について言えば,企業向けについては当面ないと予測しています。しばらくはこれで時期を待つしかないのかもしれません。