独自のAndroid圏を築く中国
Android上のアプリケーションは、Googleが提供する”Google Play”上でダウンロードするのが一般的。しかし、Googleを完全に締め出している中国では、ちょっとしたテクニックが必要なのでご紹介。
Google Playにアクセスできない
Googleが提供するAndroidは、中国でも大きな市場シェアを占めている。2015年末の統計では、実に約75%がAndroidという調査がある。つまり、市場に出回る端末4台に3台はAndroidということになる。
話が脱線するが、中国語でAndroidは安卓(an zhuo)と呼ばれるのに対して、iPhone(やそのOSであるiOS)に中国語がなく、周りは揃って苹果(ping guo)と呼んでいる。Androidの場合、各メーカがリリースしているのに対して、iPhoneはAppleしか出していないためだろうか?
さて、これだけ大きな市場シェアを占めているGoogleであるが、アプリケーションやコンテンツのプラットフォームである”Google Play”は中国から規制されており、アクセスができない。これは、中国の香港・澳門(マカオ)を除く全土共通である。日本人が多い上海・北京、広州などでも規制されている。
ドメインはサブドメイン含めて規制されているため、言語を変えて逃げる…ということもできないのが現状である。
中国でGoogleサービスを使う面倒さが理解できただろうか?
独自の進化を遂げる中国Android
そんな中国の環境で、中国人はどうやってAndroidアプリケーションを手に入れているのか?
実は、中国で出荷されるスマホを見ると、”安卓市场”という”Google Play”もどきが標準インストールされていて、そこから入手しているのだ。
この中国版”Google Play”だが、アプリケーションのインストールをしようとすると、APKファイル(インストーラ)が直接ダウンロードされる。つまり、Androidが推奨する方法を取らずに、ユーザが自己責任でアプリをインストールするしかない。この方法はセキュリティ上問題が多い。
Google Play Storeにアクセスできないがために独自に発展したAndroidアプリストアについては、別の記事で取り上げているので、こちらも合わせて見てほしい。
野良APKの危険性
”Google Play”からインストールするのを公式と呼ぶのに対して、非公式サイトからダウンロードしたインストーラのことを野良APKと呼ぶ。自己開発したアプリケーションを自前でインストールするマニアックなケースをのぞけば、一般ユーザがこの方法を使うべきではない。
大きな理由として次の3つをあげる。
- アプリのセキュリティチェックをGoogleから受けていない
- 開発元の信用度/知名度がわからない
- アプリケーションの更新が自動で行われない
Google Playで公開されているアプリは、Googleがかんたんにセキュリティチェックをしている。ところが、上記の方法ではノーチェックなのだ。
業界内部の話になるが、中国のアプリケーション開発ベンダーは、セキュリティや個人情報にとても疎い。そのため、ユーザが知らないところでひっそりと情報を抜き取られる危険性が常につきまとうのだ。
人気の高い複数の「Android」スマートフォンにおいて、ユーザーの知らない間に同意を得ることもなく、テキストメッセージや通話履歴などの個人データが収集されていたという。セキュリティ企業Kryptowireが明らかにした。
また、最近ではアプリのバグを突いた攻撃がとても多い。”Google Play”経由のアプリケーションは、ソフトウェアの自動更新が行われるので最新の状態が保てる。しかし、野良APKでは独自の仕組みを持っている場合を除いて行われない。
良質野良APKサイトを使う
ただ、中国では”Google Play”が使えない以上、代替案の検討をしなくてはいけない。そこでおすすめしたいのが、Amazonが運営する”Android アプリストア”である。
導入の仕方はこちらにも書いてあるとおりだが、Amazonが公式に配布しているアプリケーションを通じて使う。中国の野良APKのサイトの中には、中国系企業が運営しているものも多い。著作権法上、グレー(と言うか、クロ)のサイトも多い。
そう,Brothersoft も,恐らくは 1Mobile も,「無料ソフトの無断転載」で広告収入を集めているサービスであるようなのです。(中略)Brothersoft や 1Mobile のウェブサイトに連絡先らしい連絡先,会社情報らしい会社情報が無いのはたぶんそういう訳でしょう。本当にトンでもない。
情報を抜かれて泣き寝入り…などを避けるためにも、大手を利用するのを強くオススメする。
アマゾンも中国当局に協力か?
Amazonが運営する”Android アプリストア”だが、先日のアップルに続いて中国当局の要請を受けて、VPN規制に同調する動きを見せている。
中国で米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」を利用している顧客が、同国のインターネット規制を回避できるソフトウエアの使用をやめるよう命じられた。
今回は本体ではなく利用企業に対してだが、そのうち本体に影響が出て来る可能性がある。
それでも、やっぱりGoogle!
代替案をここまでご紹介したが、それでも公式サイトで安全に!と言う方もいるだろう。その場合は、「VPNを使う」方法のみになる。
ただ、2015年頃から断続的にGoogleは、中国市場への再参入を画策しているようで、たびたびニュースでも取り上げられている。
米Googleが中国市場への再参入を計画しており、現在同国の政府関係者や端末メーカーと協議していると、米メディア(The InformationやWall Street Journal)が現地時間2015年9月4日までに報じた。
気になるのは、中国へ参入すると言うことは、アプリケーションにバックドアが仕掛けられる可能性があるのではないか?ということだ。
Google Playを中国で使う方法のまとめ
現状では、3通りの回避策がある。
- Amazon ”Android アプリストア”
- VPNを使う
- Googleの中国復帰を待つ
中国におけるVPNは許認可制度で当局が認可したものではない。海外のベンダなどが提供する”違法”VPNになる。これは海外へのアクセス自体が中国の金盾に対する挑戦とみなされているためだ。実際、VPNを違法に販売したとして逮捕・実刑が下った例がある。
しかし、中国でGoogle Play Storeを使うには海外VPNを使わざるをえない。幸いにもVPN”利用”で逮捕という事例はまだないので、しばらくは安心できそうだ。VPNについては別記事を用意しているので、こちらをご覧いただきたい。
中国で”Google Play”が使えずに悩んでいる諸兄のお役に立てば幸いだ。
コメント
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