中国版LINE(ライン)ことWeChat(微信)。そのWeChatのPC版は長らく放置されていたのだが、最近リニューアルされてリリースされている。スマホを一日中触りたくない人にとっては朗報になりそうだ。
Tencentのお家芸『放置プレイ』
中国にいるとWeChatを毎日使う。友達や同僚との連絡、グループでのやり取りは基本機能で、レストランへ行って割引を受けたり口コミを探すのにも便利である。
外卖のときにもWeChatに付属する決済システムが役に立つ。2017年のマーケット調査では、モバイル決済の世界でアリババグループに次ぐ規模である。
China's mobile payment market grew 28% from a year ago to $4.7 trillion, with Alibaba having a 53% share. Ten Pay followed closely with its 40% market share, according to Beijing-based consultancy Analysys International.
Is Alibaba Losing To Tencent In China's Trillion-Dollar Payment War?
私がよく使うものに、ニュースリーダ機能がある。
中国はRSS(ニュースやブログなど各種ウェブサイトの更新情報を配信するためのしくみ)が発展しなかったため、配信元ごとにアプリが乱立している。まとめサイトや百度を使えばサイト横断でチェックもできるが、配信元を選ぶことができない。WeChatのニュース機能は、自分で取捨選択できるので重宝しているのだ。
そんなWeChatの唯一の嫌いな点が、スマホというところ。
私のようなズボラ人間は、ポチポチ文字を打つのがイライラするのである。できれば業務やプライベートで使っているPCですべてをすませたい。Tencent(テンセント)もそういうユーザ向けに、PC版をリリースしていたのだがその後放置されていた。
そう言えば、QQの国際版であるQQ Internationalもバージョン2.11(リリース日が2015年3月)からほったらかしである。Tencentの主要マーケットは中国(または中国人)なので、なおざりになるのは仕方ないのかもしれないが。
WeChat PC版は使ってほしくないのか?
たまたま先日、WeChatで知人とやり取りしてて、やはりポチポチに疲れてPC版を検索。放置されているPC版に代わるアプリを探していたら、公式サイトのリニューアルに気づいた。
少し前の某アップル公式サイトをそのままパクったようなテイストだ。おまけにシンプルでおしゃれである。10億人の人とつながるすてきなアプリが目に浮かぶようだ。
…もっとも、そのほとんどは中国人だが。
そんなサイトにPC版のリンクが用意されていた。シンプル過ぎて見過ごしていたのである。スマホメインのアプリだから、PC版を使ってほしくないのだろうか…。
リンクをクリックすると、PC版のアプリがダウンロードできる。
インストーラを起動すると、これまたシンプル。なにも選択する必要がない。唯一、オプションがあるものの、インストール先の変更くらいだ。
インストールが終わっても、これまたシンプル。インストールが終わったことを知らせるのと、起動するのボタン1つのみ。
十徳なんとかが大好きな中国らしくない。
使えるのは、基本機能のみ
インストールしたPC版WeChatを起動すると、QRコードがででーんと出てくるだけ。ログインにはQRコードをスキャンしてくださいとだけ。
手持ちのスマホにあるWeChatでQRコードをスキャンすると、PC版WeChatでログインをしてもいいか?と聞かれる。
Enterをクリックするとスマホ版の内容と同期されて使えるようになる。
パッと見は以前から提供されていたブラウザ版WeChatやブラウザ版のQQと同じである。デフォルトではスマホ-PCでファイル転送、購読(メルマガ機能)のみ。
ブラウザ版と異なるのは、次の3点。
- ログイン情報を保持(QRコードのスキャンは初回だけ。スマホの確認は必要)
- 個人データのバックアップ・リストア
- PC起動時に自動起動
PC版WeChatが動いているときに、Windowsのプロセスをチェックすると、WeChat本体とは別にブラウジングサービスが動いていた。WeChatアプリ自体はガワ(見た目)だけを提供していて、実体はブラウザベースとほぼ変わらなそうだ。
基本機能は使える。たとえば、ニュースリーダ機能はこんな感じだ。
スマホで見たまんまである。横幅も縦幅もほぼ固定なのは、モバイル向けとPC向けで再設計する手間を省くためであろう。合理的と言えば合理的である。
ただ、残念なのはスマホ版のように過去にさかのぼってニュースを読めないことだ。これはチャット機能も同じで過去の発言が見られない。TIMにはメッセージの同期機能があるので、もう少し作り込みして欲しいところだ。
と、記事にしたところ下記のような書き込みをいただいた。
過去のニュースやチャット履歴については、设置→通用设置→保留聊天记录を設定した時点から、PCを立ち上げていない時の分も含めて残っていきますので、オススメです。(やーさん)
言語が英語(OSが英語の場合のデフォルト)であれば、以下の箇所が設定となる。ここにチェックを入れておくと、PC起動していない間を含む履歴が同期されるとのこと。
設定項目名である”Save chat history”からは、PCローカルに一時履歴を保存しているだけかと誤解しそうである。
スマホ操作を一日中していると肩がこる。そんな苦労から開放されたいユーザは、ぜひPC版をお試しあれ。
コメント
こんにちは
tn513さんが仰るように、バックアップファイルをPC版微信で引き続き使えたら
非常に便利なのですが。。
tn513さん
コメントありがとうございます。
そうですね。TIMやQQの場合は,過去履歴含めてサーバに保存されているので見られるのに,なぜかWeChatではできないんですよね。
1ヶ月に1度ほど更新されているのでいつ実装されるのか待っている状態です。
PCでのWechat活用に興味があり拝見していました。
内容を見るに、PCでアプリ設定する以前の、スマホでのログを、PCにバックアップしておくことはできるが、それをPCアプリで表示することはできない。しかし設定後の履歴は表示される、ということなんでしょうか。バックアップ出来るなら参照できるようにしてほしいなぁ。
やーさん
コメントありがとうございます。
また,補足情報ありがとうございます。
早速,記事を更新させていただきました。
フラクタルさん
コメントいつもありがとうございます。
既知でもなんでもコメントいただけると嬉しいです。
私は,WeChatに限らず複数アカウント取ると混乱するので統一してしまう派です。
そのため,QQもWeChatもWeiboもシングルアカウントで横並びにしています。
仕事用や愛人用などでうまく使える器用な方が羨ましいです…。
いつも拝見しております。
私はWechatアカウントを2つもっていますので、
WechatのPC版とWEB版を立ち上げて、両方をPCで使えるようにしています。
画面が似ているので、どっちがどのアカウントかが混乱してしまう時があるのが玉にキズですが。。。
既知でしたら、出過ぎたマネで失礼しました。
添付ファイルも簡単に送れるので、PC内やネットワークドライブのデータも簡単に外部流出できるので、諸刃の剣ですね。
離職者と連絡が取りやすいのは、とても便利なんですけどね。
使い方次第、人次第ってところでしょうか。。。
理解はしていても、「距離感」を体得している我々には違和感がありますね。
おじゃまします。一年以上前から使っていますが、少しずつ改善されていますね。過去のニュースやチャット履歴については、设置→通用设置→保留聊天记录を設定した時点から、PCを立ち上げていない時の分も含めて残っていきますので、オススメです。