米中貿易戦争でクローズアップされているHuaweiこと华为技术。2019年3月に発表されたフラッグシップモデルであるP30 Proをゲットした。同機種はカメラの性能評価で最高得点を取ったので、その実力を確かめた。
Huawei P30 Proの基本情報
HuaweiがP30 Proを発表したのは今年3月末。パリで行われた最新機種の発表会やクイックレビュー記事はたくさんあるので、ここでは記事を紹介して詳細は割愛。
特徴をあげると次の3点。
- 50倍ズームカメラ
- 暗闇でも撮影できる高感度カメラ
- 曲面ディスプレイ
私は、普段P20 Proを使っているので、それと比較した場合をピックアップする。
到着した化粧箱はこんな感じ。P20 Proもそうだが、iPhoneをイメージした装い。化粧箱下部に”Leica Quad Camera”と刻印されている。同社がカメラ周りをセールスポイントにしていることがわかる。
中身もP20 Proとほぼ同じ。本体、充電器、充電ケーブル、Ctypeのイヤホンに保証書と説明書がついている。とてもシンプルだ。
本体フィルムの下部に丸いミスプリのような箇所がある。ここは指紋認証の場所。でも、フィルムにこれだけ印刷されていても一般ユーザわからないだろう。
次にセールスポイントを1つずつ確かめる。
50倍ズームなんて使いますか?
サブタイトルは煽りではなくて、実用性の話。
まず、50倍ズームの実力自体は別サイトの記事でも言及されているとおりすごい。肉眼ではわかりづらいレベルもしっかりと読み取れる。遠くにある広告の電話番号をちゃんと判別できるのだからすばらしい。
が、問題は、その機能必要なのか。
50倍もズームをかけると画質がかなり荒い。それでも撮影したいシチュエーションはなんだろう?たとえば立入禁止地区にある何かを撮影するとか物理的に厳しいため望遠撮影をしなくてはいけないケースくらいではないか。
必要な場合でも、もう1つ問題がある。
50倍ズーム掛けるということは、手元が少し動くと被写体エリアが激しく動く。別記事でカメラ用の3脚について言及している箇所は、このためだ。
同じズームでも、一眼レフであれば望遠カメラ越しに見るのでまだスムーズである。しかし、P30 Proの場合、それがディスプレイに表示される。実際に動いたタイミングと表示される時間がずれるので、船酔いや車酔いに近い感覚を起こす。
3回ほど試して気分が悪くなってしまった。
ホワイトアウトする高感度カメラ
気を取り直して、高感度カメラ。
P30 Proに搭載されているカメラは、P20 Proと比べて4倍近いISO感度を備えている。そのため、室内や夜景を撮影すると、綺麗に撮れる。
まずは前モデルのP20 Proで植物をフロントに、バックに白い紙袋を撮影するとこんな感じである。
P20 ProのAIは大げさに撮るので、緑がとても強調されている。P30 Proの場合、これが自然な感じで撮れるのできれいに見える。葉っぱや茎部分がきれいに撮れているのがおわかりいただけるだろうか?
三脚使ったわけではないので、状況が全く同じとは言えない。ただ、照明は変えておらず、距離や角度もほぼ同じで撮影してこの違いだ。
絞り値を見ると小さくなっているので、P30 Proの方が性能はいいのだろう。夜景を撮っても、細かいディールをしっかり捉えており、その性能差は見た目でわかる。
ところが…である。
被写体が動くものになると状況が変わる。私の場合、撮影対象は9割は子ども。で、チョロチョロする子どもを撮るとなぜかブレブレになるのだ。同じ状態でP20とP30をそれぞれ持って撮影しても、P30がやたらとブレる。
また、人を撮ったときにやたらと白くなるのだ。まず、P20 Proで撮ったときがこちら。横顔で顔判定がかからない角度で撮っているので、Portraitsではない。
ほぼ同じ状態でP30 Proで撮るとこうなる。Portraitsオフにしてもなぜかフォーカスがかかる。
ただ、肌の部分や枕周り見るとわかるが、やたらと白くなるのだ。この撮影のときは、常夜灯のみなので、これだけくっきり撮影できるのはすごいことだ。が、問題は実際に目で見た感触と比較すると違和感を覚えるのだ。
ちなみに、場所を変えて撮影してもやはり白っぽくなる。加えて、色があまりはっきりしないのも気になる。同様の現象についてTwitter上で言及している人もいるので、こういう特性のカメラのようだ。
The pursuit of zoom and extreme night shooting is an extreme direction. In fact, the P30Pro seems to have problems in the most commonly used daytime photos. Several media including DxO have indicated that the P30Pro has low camera saturation and poor dynamic range.
— Ice universe (@UniverseIce) March 28, 2019
The pursuit of zoom and extreme night shooting is an extreme direction. In fact, the P30Pro seems to have problems in the most commonly used daytime photos. Several media including DxO have indicated that the P30Pro has low camera saturation and poor dynamic range.
動く被写体がブレる原因は、私がカメラの専門家ではないのでわからない。ただ、P20 ProからP30 Proになったときにカメラの特性が変わったのだろうと推測している。ブレるということは、露出が長いのではないかと考えている。
操作難易度を高くする曲面ディスプレイ
上述通りカメラでがっかりしているところに追い打ちを掛けるのがコレ。むしろ、これが一番悪いと言っても過言ではない。
P30 Proでは曲面ディスプレイを採用しており平面にはなっていない。パット見シュッとした感じがしてかっこいい。
しかし、この曲面ディスプレイには2つ難点がある。
1つ目は、文字情報(テキスト)の場合、フチに近くなると屈曲して見えるので気持ちがよくないのだ。可視性が悪いと言ってもいい。そのため、メールのように文字だらけだったり、ページの端まで文字が並んでいる場合、読みづらいのだ。
2つ目が操作性。iPhoneと比べるとAndroidのアイコン移動は操作性がよくない。アイコンを移動したい場合、しっかり引っ張らないとできない。曲面ディスプレイと言ってもOSからみると曲面の端っこが境界線になるので、ツルッと滑りそうなのを抑えながら操作しないとだめなのだ。
これ使いづらいぞ…。
Huawei P30 Pro の所感
最新の技術を詰め込めるだけ詰め込んだフラッグシップモデルなので、基本機能はすばらしい。また、インスタ映えを意識した室内や夜景撮影に最適なスマホ機能付きカメラとしてもピカイチである。
ただ、勧められるかどうかは用途次第。
たとえば、動画を見たり、Instagramなど画像や動画の視聴がメインだったり、静止的な被写体を撮影するにはぴったりだ。
逆にテキストの閲読や被写体がやたらと動くものを撮影するのであれば、P20 Proの方をおすすめしたい。また、ビビットカラーを求めるならばエンハンスの効いた同機種の方がいいだろう。P30 Proが出たことで価格がガクッと下がっており(2019年7月現在で256GBモデルが500USD台)、お手頃価格に落ち着いている。
もっとも、P20 Proの満足度が高かっただけに、P30 Proに求めるレベルが高すぎたのかもしれない。私の場合、P30 Proはテキスト用途であまり使わない義母にプレゼントしてしまった。
当面は、P20 Pro運用が続きそうだ。
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