「日本」を名乗る偽装の裏に中国あり

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商標や著作権という概念がない中国

中国や台湾で日本産を名乗る農水産品が増えているという。このニュースでは、調査した主体が農林水産省なので、農水産品に限られている。しかし、工業製品や著作権、法人、日本人までもが偽装されている。そして、その裏にいるのは中国だ。中国で生活しているとこの問題よく遭遇する。そんな事情を解説する。

ニュースではなぜか台湾も引き合いに

冒頭で取り上げたニュースでは、台湾25件、中国15件、香港3件で偽装した日本産が確認されたらしい。

日本産と偽装したり、日本側の商標権を侵害したりした疑いのある農水産品が台湾や中国などアジア各地で出回っていることが、2009~13年度の農林水産省の調査で確認された。

中国や台湾、「日本産」と偽装の農水産品が横行 (読売新聞)(2015-04-06 リンク先消滅)

このニュースではなぜか台湾が引き合いに出されている。台湾で発見されたからだろう。ただ、台湾に数年いた経験から言うと、この手の製品はほとんどが中国製。大陸で生産した「日本製」を台湾に輸入し、それを同等の本物の日本製よりも2~3割ほど安い価格で売っている。製品のタグを見ると、おかしなフォント、不自然な日本語、雑な作り方なので素人が見てもわかる。こういうものが、中国発で東南アジアに大量に出回っている。

著作権侵害や商標侵害だらけの中国大陸

中国では、著作権侵害や商標侵害だと思えるものを毎日見かける。見かけないほうが難しい。一番標的になりやすいのが有名ブランドだが、商標自体もターゲットになる。例えば「MINISO JAPAN」だ。

「MINISO名創優品」は4月22日付で商標登録を申請したことがわかり、日本への逆上陸が噂されていた。9月、創業者で代表取締役社長の三宅順也氏は、資本金1億円で株式会社名創優品産業を設立。

ユニクロ×無印×ダイソーと話題の「MINISO(メイソウ)」日本上陸 国内出店を開始 | Fashionsnap.com

こう見ると、まるで日本人が創立したような印象を受けるが、この三宅氏は名義貸ししているだけなのが別の記事からわかる。

三宅氏に電話口で、「名創優品は中国の企業ですか? 日本発という触れ込みですが?」と問い合わせたところ、「資本、運営とも中国企業がやっている」とのことだった。

メイソウ創始者の三宅順也氏が「メイソウは中国企業」であることなどを明らかに – NAVER まとめ

日本でメイソウの店舗はほとんどないが、中国には各地にある。上海の店舗で買ってみたマウスだが、10元(200円)なら納得できるレベルではある。

商標パクリのメイソウジャパン

包装は日本っぽい感じだが、なぜか前面には「日本公司監製」と中国語。裏を見るとさらにひどい。

商標パクリのメイソウジャパン

上のロゴは無印良品にそっくり。しかし、右下にある「MINISO JAPAN」は「DAISO JAPAN」そのもの。また、いくつかのフォントに違和感を覚えるだろう。中国語環境でそのまま日本語フォントを無理やり印刷したときに起きる崩れである。

メイソウジャパンだけではないパクリブランド

パクリブランドはメイソウジャパンだけではない。同じく上海で見かける「百居良品」も同じ穴のムジナだ。

商標パクリの百居良品

堂々と「TOKYO JAPAN」を名乗っている。店舗の入り口では日本の音楽が流れ、店舗の雰囲気はかなり無印良品に似ている。しかし、製品のレベルはかなり低い。

商標パクリの百居良品

「ネット」「ゴム口」など明らかに不自然なフォント(ネは”しめすへん”か?)。日本語自体もでたらめである。こんな製品が中国全土に蔓延している。

中国製品もパクられる中国マーケット

欧米のブランドはほぼほぼパクられている。ナイキなどの靴からディズニー、会社名もパクられる。そして、おおっぴらに名乗るのでとてもたちが悪い。ただ、外資だからパクられるのかというと、そうではない。外資はたまたまブランド力があるのでパクられているのであって、中国企業であってもブランドがあるとパクられる。ダノンと紛争を起こした娃哈哈集団の製品も他の中国企業にパクられている。しかも、1社や2社ではない。なぜここまでパクリが流行るのか?理由は2つある。

1.低価格が招いた委託生産が引き起こす弊害

1つ目は生産のグローバル化やファブレス企業が増えて、委託生産する企業が増えたことだろう。

もちろん、委託生産先が直接パクリ生産をするわけではない。委託生産を受けている企業は委託元が選別をしているし、契約が存在するからだ。問題は、委託先企業で働いていた従業員たちである。パクリ生産をしたい企業はまず委託生産先の従業員に目をつける。たとえば、元の会社の2倍~3倍と金額を出すと言うわけだ。そして、さらにデータやノウハウを持ってきたらさらにボーナスを増やすというやり方だ。韓国企業がDRAM生産で日本企業にやっていたことをそのまま中国企業がやっているのである。

破格の厚遇?使い捨て?中国・韓国企業による日本人技術者引き抜きの実態 – NAVER まとめ

さすがにここ10年やりたい放題やられたおかげで、委託元も手法を変えてきている。例えば、委託先の細分化だ。1つの製品をまるごと委託しないで、部品単位で委託する。その部品からは何を生産しているのかが分からないという手法だ。また、核となる部分は海外で生産し持ち込み、現地で組み立てだけを行う方法もある。技術のブラックボックス化だ。

2.経営理念のない中国企業

もう1つは、中国企業に経営理念がないことがあげられる。

中国の企業は、欧米のように社会実現をしようという高い理念はない。たとえば、Googleは会社の使命として「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」をかかげている。しかし、こういう会社の社会性というのを中国人は持っていない。中国人にとっての企業はおおむね次のとおりだ。

  • 企業オーナであれば、自分と家族を養うための手段
  • 従業員であれば、ただの踏み台。会社を食い物にすることしか考えていない
  • 長期計画や中期計画が存在しない。日々の売上しか目に見えていない
  • 上記理由からブランディングを知っていてもやらない
  • 視点が極めて短期的で、早期の資本回収しかない
  • 上記理由から人材育成や業務効率化など知っていてもやらない

ブランディングをやるよりも、高品質なモノを作るよりも、さくっとパクって、さくっと回収。製造業でも、技術と設備をまるっと買って、さくっと作って回収する。それが中国であり、そういう文化なのである。

コメント

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