異業種がP2P金融に参入
金融業に参入する企業が増えている。世界中でP2P金融(ソーシャルファイナンス)が雨後の竹の子のようにニョキニョキと立ち上がる。中国では花火業者がこの業界に参入するなど異種格闘技戦の様相を呈している。
花火メーカが金融会社に鞍替え
中国でも有名な花火メーカであるパンダ花火は、4月15日に企業名を「熊猫烟花集团股份有限公司」から「熊猫金控股份有限公司」に変更し、業態をソーシャルファイナンスに変更すると発表した。
A股唯一以制造烟花为主业的上市公司熊猫烟花4月13日晚间公告称,经上海证券交易所核准,4月20日起,该公司名称将正式由“熊猫烟花集团股份有限公司”变更为“熊猫金控股份有限公司”,证券简称也改为“熊猫金控”。
この会社自体はよくわからない会社ではなく、花火業界唯一のA株式市場に上場しており、広州アジア大会の開会式花火を取り仕切ったこともある企業である。そんな会社が花火メーカから金融企業に業態替えするというのだから、驚きである。
P2P金融とは?
このP2P金融とはなにか?平たく言えば、個人と個人(または事業者)を結びつける新たな融資の形だ。やり方はさまざまあるようだが、事業主が借り手を募集し、各個人から可能な額の融資をかき集めて、実際の融資を行う。不特定多数からお金を集めて融資をする点では銀行と同じだが、P2P金融企業自体は情報の流れを交通整理するだけで、実際の投資案件の精査は個人が責任を負う。その代わり、一般の金融商品と比べてかなり割高な利回りになっている。
日本でもmaneo(マネオ)という企業が類似の事業をしている。銀行の利息が1%にも満たない中、この企業の融資に対する利息は5%~8%と市中の10倍以上だ。銀行の融資は担保などを取って、貸し倒れリスクを最小化するが、このP2P金融にはそれをほとんど行わない。その分、借り手側からは楽であるし、貸し手側はそのリスクを金利として受け取る。
P2P金融という爆弾
間に入るP2P金融業者が適切な精査をしていれば、それなりに機能しそうなファイナンスではある。ただ、このP2P金融こそシャドーバンキングよりも真の爆弾だと指摘する専門家もいる。
P2Pのリスクについては、投資者が多数の一般個人であり、リスクを識別し許容する能力が十分でないこと、それにもかかわらず、通常無担保で、また仲介業者への適切な監督がなく、したがって多くの場合、融資先の信用リスクのチェックが十分行われておらず、その審査の過程も不透明であること等、英米でのP2Pと同様のリスクが中国でも指摘され始めている。
以前にお伝えしたシャオミの金融業への参入(小米科技、金融サービスに参戦)も同様のケースだ。いずれも高利回りをうたってかなりの金額を集めている。しかし、パンダ同様精査がしっかり行われているとは考えづらい(パンダは花火の専門家であっても、ファイナンスの専門家ではない)。中国人はパニック行動やクチコミデマを信用しやすいので、一度どこかで貸し倒れなどが発生すると一斉に炎上し、この業界全体が不良債権化する可能性がある。
P2P金融業界に大花火を打ち上がる日がそのうち来るのかもしれない。
コメント