メルマガのすゝめ-VPNがなくてもコラムが読める

中国インターネット
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メルマガ(メールマガジン)をご存知だろうか?インターネット黎明期に流行し、SNSやリーダの普及とともに下火になったものだ。レガシーメディアだが、情報規制が厳しい中国では便利なのでご紹介。

情報規制は続くよ、どこまでも

十九大の開催を明日に控えて、中国ではプロパガンダが連日続いている。世界の中国を印象づけたいのか海外メディアを積極的に誘致(解放)しており、今年は1,900名の記者が参加するようだ。習近平は2009年に訪日したとき(当時は副主席)に今上天皇との謁見を求めるほど、内外の権威付けが大好きなので納得である。

そんな現地の様子を、朝日新聞が以下のように表現している。

中国共産党が「開かれた党」のアピールに躍起になっている。18日に始まる党大会には過去最多の外国メディアの記者が集まる見通し。党大会出席者への取材スペースも初めて設ける。ただ、インターネット上では統制を強めており自由な論評は認めない構えだ。

取材は歓迎、でもネット上の自由な論評は… 中国共産党:朝日新聞デジタル

親中・親韓メディアの朝日新聞ですら『アピールに躍起』と皮肉たっぷりに書き立てているほど、プロパガンダがはげしいのだ。家内(中国人)は見飽きてブックマークから百度新聞を削除するレベルである。

そんな海外への開かれた党(ひいては中国)のアピールとは反対に、国内の情報規制が強化されているのはお伝えしているとおり。9月中旬に実施されたYahoo! Japanは引き続き規制されている。

Yahoo!(ヤフー)が中国で使えない!の対処法
Yahoo!検索は注意が必要 もっともよく使われている検索エンジンはなんだろうか?世界的にはGoogle、中国は百度、そして日本はYahoo!である。Yahoo!は中国が規制していない海外検索サイトだ…ったが、2017年9月中旬より規制され...

当サイトへのアクセスも、9月第2週目(ヤフー規制前)と9月第4週(ヤフー規制後)を比較すると60%ほどユーザが減っている。同時期の日本からのアクセスユーザは増加しているのと対照的である。その後1ヶ月経過したが回復にはほど遠い。

中国大陸と言う名の『情報の孤島』で、情報を遮断された”さまようユーザ”が相当数いるのではないだろうか?

メールサーバにさえアクセスできれば…

VPNのアカウントが手元にあれば中国でも自由なアクセスができる。しかし、出先で通信環境が悪かったり、今回の十九大のような大きな政治イベントがあると中国のネット環境はたちまち悪化する。

そこで、データや情報を取りに行くのではなく、送ってもらうメールマガジンを使うのはいかがだろうか。中国ドメインのメールアドレス(たとえば163.com)でも、メルマガのようなニッチなサーバは、検閲されていても受信拒否の対象にならないことが多い。

この分野で一番有名なのが老舗の”まぐまぐ!”である。

メルマガは20近いジャンルに整理されており、政治・経済のようなお硬いトピックから日記などブログも含まれる。単に記事を読むのであればInoreaderなど便利なWebリーダはあるが、アクセスする必要があるので、記事ごと送付してくれるメルマガの方が楽なのだ。

このまぐまぐ!以外にもメルマガのサイトは複数あるので、探してみるといいだろう。ただ、海外の有名なメルマガサイトは金盾にブロックされているケースが多いので、日本のローカルサイトを狙うのがおすすめだ。

おすすめメルマガ

私は複数のメルマガを購読しているが、その中でもおすすめするのがソフトブレーン創業者である宋 文洲氏の『論長論短』。1ヶ月あたり1通~2通ほどで時期が気まぐれ配信されている。宋 文洲氏の書くエッセイは、芸能人や素人が書くエッセイのような”理論の飛躍”が少なく読みやすいので、私が記事を書くときも参考にさせてもらっている。

一昨日届いたエッセイでは次のような下りがある。

投資の経験を持つ方なら実感で分かると思いますが、同じ金額でも儲かった時の愉快な気持ちよりも、損した時の嫌な気持ちのほうがずっと大きいのです。心理学者の研究によればそのインパクトの大きさは後者が前者の3倍にも達するそうです。
(中略)
分かりやすく言えば、人間は100万円儲かった時はうれしいですが、100万円損した時の悔しさや落ち込みは3倍ほど大きいのです。
(中略)
これを男女関係で言えば、不快にさせられる洒落た美人は愛人に適するが、静かで快適にさせてくれる普通の女性を奥さんにしたいと考える男性は多いと思います。

奥さんにしたい人と愛人にしたい人を思い浮かべると、『ああ、確かに…』と思ったはずだ。アカデミックなお話からクスッとくる比喩まで、同氏の話題の引き出しの多さにはとても感心する。

もちろん、同じ人間なのである種の偏りやバイアスはある。政治のような敏感な話にも切り込みしてくるので、同氏の発言が炎上するのは1回や2回ではない。ただ、それだけ彼の動向を注視するファンが多いことの裏表である。

バックナンバーも公開されているので、秋の夜長に読んでみてはいかがだろうか?

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