VPNアプリ削除問題が国政レベルに発展

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VPNアプリが中国向けアプリストアから削除された問題。米アップルは中国国内法への対応と説明・鎮火に必死だが、国政レベルに発展する様相をみせている。

VPNアプリ削除騒動の経緯

ことの発端は、7月末に米アップルがVPNアプリをアプリストアからすべて非表示にしたことだ。中国では、サイトに限らずサービス含めて、当局の認可がなければ国内へのサービス提供はできない。この点で海外にサーバを置いている海外系VPNはグレーゾーンだった。これを今年から当局の認可を受けたVPN以外を違法とする運用を開始した。

中国当局が今年の春から1年弱かけて、ネット規制回避で使われるVPNの全面排除に乗り出す。中国人はもちろん、在中外国人のネットワーク制限は厳しさを増しそうだ。

米アップルはしばらくこの状況を注視していたが、今夏当局の要請にこたえて海外(ほとんどはアメリカ)のVPNベンダが提供するVPNアプリを非表示とした。国内で認可を受けたVPNは合法となるので、現在アプリストアで検索をすると中国系VPNのみが表示される。

本件の経緯については、別記事で取り上げているのでこちらをごらんいただきたい。

中国政府からの要望で、米アップルが中国ユーザ向けのアプリストアからVPNアプリを削除した。中国にいるユーザはどうしたらこの規制を回避してダウンロードできるのか?

この対応に不満をあげたのがVyprVPNをはじめとするVPNベンダである。同社は中国におけるブロックされているサイトやキーワードについて取り上げている”Greatfire.org”と共同質問を米アップルに9月5日に提出している。

Golden Frog and Greatfire.org Write Letter to Apple Denouncing Censorship, Urging Transparency

実際に両者が提出した共同質問の内容は以下のサイトで見ることができる。ポイントはアップルの中国配慮に同情しつつもインターネットの自由とプライバシーへの配慮を求めているところである。

Therefore, we are appealing to Apple to provide greater transparency into the issues you face with Chinese regulators, and offer explanations on company decisions. We also encourage you to publicly partner with like-minded groups globally, to help leverage your unique position as a technology leader in China. We encourage you to use this position as an opportunity to champion the Internet freedom and privacy you stand for in other nations around the world.

Ask Apple to Stop Censorship in China – Action Network

この共同質問について、その後同社のブログには掲載されていないので、米アップルからは回答がされていないのであろう。

削除問題が国政レベルで炎上

この状況にアメリカ上院議員2名が、同社に共同質問状を提出し回答を求める騒ぎに発展。

In the letter, the senators said China had an “abysmal” human rights record with respect to freedom of expression and free access to information online and offline.

Apple declined to comment specifically on the letter.

Apple removed several privacy apps in China — now two senators are demanding answers

本件について、米アップルはメディアへのコメントを拒否しているが、回答の次第ではトランプ米大統領がすすめる市場開放政策に追加される可能性がある。中国はITに限らず市場開放が進んでおらず、その一方で中国資本による海外進出は一時期ほどではないが盛んである。状況としてはジャパンパッシングがはじまった70年台~80年台と状況は似ていると言えそうだ。

米アップルのCEOであるクック氏は「言論の自由賞(Free Speech Award)」を受賞している。

CELEBRATING THE WORLD’S CHAMPIONS FOR FREE EXPRESSION

同記事でも皮肉たっぷりに言及しているが、言論の自由を掲げる一方で、利益のために言論規制の片棒をかつぐ同社が内外から叩かれることが予想できる。