リアルタイム地獄の沙汰も金次第
中国は共産主義の国である。中国全土は、人民の共通財産。そして、全人民が尊きも貧しきもなく、皆平等。そんな地上の楽園…のはずなのだが、先日届いた医療費の明細票を見て驚いたのでご紹介。
中国の病院のランク
中国には日本と同様、公立病院と私立病院の2つがある。
一般市民が診てもらうのは前者で、いわゆる「人民病院」と呼ばれる機関。病院の医者のレベルや備え付けの設備内容から等級付けがされている。医者で言うと北京大学出身が多いところがもてはやされるし、設備で言うとMRIのような大型設備を備えているところが上位になる。
中国の医療機関のランク付けは1~3級に分かれていて、それぞれが甲乙丙のランク付けがされている。日本では1級が一番上だが、中国では級が大きいほどよい。したがって、3級甲という病院が最高ランクになる。この3級と言うのは、500以上の病床を持ち、研究機関を併設する施設。日本でいうところの大学病院のようなものか。
三甲医院是三级甲等医院的简称,是中国内地医院等级划分中最高的一级。按《医院分级管理办法》分等获得900分以上, 并且病床数达到501张以上,并能向几个地区提供高水平专科性医疗卫生服务和执行高等教育、科研任务的区域性以上的医院可被评为三级甲等医院。
3級甲病院の一覧はこちら:全国三甲医院名单
外国人専用医療機関
しかし、これらの医療機関では外国語が通じない。公立病院なので当然で、中国語が標準だ。ただ、これでは外国人にとっては不便なので、医療免許を持った外国人医師が常駐する医療機関が多数ある。いわゆる、外国人専用医療機関だ。
上海市内には、大小15か所ほどある。広告を出しているところがこの数なので、実際にはもっと多いのだろう。その中でも特筆して設備と医師数が充実しているのが「上海ユナイテッドファミリー病院」というところ。国際医療水準を満たしていると自負している通り、各国から集まった医師が勢揃いしており、24時間緊急・入院が可能。
日本語が通じる上海唯一の産科
ほかの日本語可能な医療機関と異なる最大の特徴は、この病院は産科がありお産が可能なこと。ホームページにも記載があり、病院の1階廊下には出産おめでとうボードが貼りだされているほど。
このチームは、婦人科医療、定期健診、また妊娠から、出産、産後までのケアを含めたあらゆる婦人科系問題に対応します。さらに、定期的な婦人科、産婦人科検診、内科もしくは外科的な処置を提供します。
そんな高度な医療機関なので、お値段もとても高い。
一応、ほかの病院同様、メニューが置いてある。日本だと政府が一律に決めた価格に基づいて診察されるが、中国ではアドオンができるため病院ごとにメニューが置いてあるのが普通だ。
先日、明細書が届いたので見たのだが、金額を見て驚いた。3回診察して23,000RMB超(約46万円)だ。1回の診察で約16万円かかったことになる。確かにMRIで検査してもらったが、それにしても異常な値段じゃないだろうか…(海外保険で支払いなので、自分の財布は痛くないが…)
お産にかかる費用が300万円
この病院は、上記の通り外国人専用医療機関で唯一のお産が可能な機関で、お世話になる可能性があるので値段を聞いてみた。
すると、メニューは以下のとおり。
- 妊婦健康診査15回+妊婦超音波検査1回+お産:12万RMB
- 上記に加えて帝王切開発生時:15万RMB
15万RMBということは、約300万円!
日本では妊婦健康診査14回と妊婦超音波検査2回が公費負担で、出産時に一時金が付与されるのでお産そのものにかかる費用が数十万円しか掛からないのとまったく正反対(参考:渋谷区/妊婦健康診査)。まるで重税である。人民病院などで出産するとかなり安くなるがそれでも数万RMBするらしい。
中国では出産済みの女性が避妊リングなどを装着すると、治療費無料+100RMBの報奨金が以前はもらえた。一人っ子政策の延長線上で、そもそも産まないための施策にお金を出していたのだ。
一人っ子政策自体は2015年になって、どの先進国よりも急速に進む社会全体の高齢化や労働人口の減少が深刻化したため廃止された。しかし、まだ積極的に産めよ増えよには転じていないのだ。
コメント
12万元ですか…恐ろしい。
ここはスタッフの人がいろいろ細かいところまで気づくので居心地いいですが、自腹じゃ来られないですね(苦笑)
私も此処の病院で盲腸の手術をしたら12万元支払いました。個室は一泊1万元で至れり尽くせりです。まるでアメリカの医療ドラマにでてくるような病院でした。