Grabが便利な件-日本のタクシーは時代遅れ

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既得権益が足かせ?

海外で仕事したり、住むと現地のタクシーをちょくちょく使うだろう。少し前まで日本のタクシーは、東南アジアよりレベルが高いと思っていた。しかし、行ってみたら異なる印象受けたのでメモ書きしておく。

海外でタクシーが不便”だった”のはなにか?

少し前に東南アジアを仕事でぐるっと一周する機会を得た。

前回、同地域を訪れた(と言っても前回はタイとインドネシアだけ)のは、かれこれ10年前。その間にタイは1.5倍、インドネシアはGDPが2倍になっている。所得が変化すると社会やそれを支えるサービスは大きく様変わりしているのは想像がつく。

ただ、両国ともにあまりいい印象がない。理由は、公共交通機関がないと移動にタクシーを使うわけだが、どちらでもボッタクリ気味だったからだ。今でも中国の内陸に行くと、メータを倒さない(交渉が必要)なタクシーがいるが、これである。

それでも中国であれば、交渉の余地がある。残念なことに、タイもインドネシアもあまり英語が通じない。その地方に土地勘がない、ローカル言語がしゃべれないと、カモネギそのもの。

もちろん、ほかに安全面とかいろいろあるとは思う。しかし、交渉できるレベルの”言葉”が海外でタクシーでもっとも大きな障害なのは疑いようがない。

東南アジア発祥の配車アプリ:Grab

これを根本から破壊するのが白タクアプリである。

中国であればDiDi(滴滴打车)で、米国などであればUber(ウーバー)。そして、東南アジアではGrab(グラブ)なのだ。

Grab(グラブ:GrabTaxi Holdings Pte Ltd)は、シンガポールに拠点を置く配車アプリ運営企業で、拠点地のシンガポールを中心に周辺国でもサービスを展開している。マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジアなど。

今回シンガポール、マレーシア、タイとインドネシアでそれぞれ使った。現地の土地勘がなくても、言語ができなくてもスムーズに移動できたのは、Grabさまさまである。

Grabの使い方

Grabをご存知のない方に使い方を一通り書いておく。

アプリを起動すると地図が現れて、現在地がマッピングされる。埋めるのは、出発地と目的地だけ。どちらも、建物名や住所、地図にピンを立てて選択しても設定できる。サーバ側でよくある場所を提示してくれるので、よほど辺鄙な場所でなければ少し文字を打てば出てくる。

予約ボタンを押すとドライバーの検索がはじまり、マッチングがされる。ココらへんはDiDiと同じだ。

Grabが便利な件-日本のタクシーは時代遅れ

Grabの価格は、システム側で距離に基づいて、需要・供給を加味したものが弾かれる。ドライバーもユーザ側も設定できない。つまり、車(白タク)がやってきてさらに交渉する必要がないのだ。

そういえば、初期のDiDiでは上乗せ(プレミアム)などあったが、こういったオークション要素はGrabでは最初からない。

ユーザからのリクエストをドライバーが受けるとマッチングが完了。アプリ上でドライバーが顔写真付きで名前が表示される。

どのブランドの車で、外見が何色で、車ナンバーがいくつか?が書いてあるので、真夜中の郊外でもなければ迷うことはない。

あとは、ドライバーの到着を待つだけだ。このとき、DiDiと同じでどこらへんを走っているのか?がリアルタイム表示される。

すでに客を乗せており近辺で降ろしてから迎えに来るケースもある。その場合も、どこで先客を降ろしてやってくるのかが表示される。すばらしい。

車が来たら乗り込んであとは目的地まで待つだけだ。緊急時には右上にEmergencyボタンがあるのもDiDiと同じだ。配車アプリは、どこが運営してもシステム自体はあまり変わりようがないのかもしれない。

マレーシアやシンガポールだと、名前を見れば民族が推測できるのも意外とありがたい。華僑ならば中国語が通じるからね。

配車依頼時に指定した支払い方法(現金かカード)で支払っておしまい。その都度、ドライバーがどうだったか?を5段階評価でつけるのだが、これまたDiDiと同じ。

単に言語が中国語なのか英語なのか、そして地図が百度地図なのかGoogleマップなのかくらいの違いである。

紙くず(領収書)からの開放

前述のとおり、海外でタクシーを捕まえるときにメンドウなのは、言葉である。

仕事で使う場合、もう1つある。それは領収書である。個人タクシーの場合、領収書すら持っていないケースが多くて、あとでどうやって精算しようか悩むことが多かった。結局、文房具店で領収書を買って持参するハメになっていた。

Grabはこの部分でも便利だ。

降車するとメールで履歴情報が飛んでくるのだ。メールからサイトへ飛べばPDF形式の領収書も発行される。乗車回数が増えると紙媒体の領収書は、かさんでくる。おまけに、なくすと厄介である。

もちろん、公共交通機関よりは高いが経費だからいいよね。

システム化されない日本のタクシー業界

少し間をおいて、日本でタクシーを乗る機会があった。Grabの便利さを知ったあとだったので、不便でしょうがないのだ。

口頭でしかできない配車

まず、配車依頼。

そもそも自分がどこにいるのかわからない場合、これを伝えるのが至難の業。おまけに、1つの地域に複数の会社があって調べないと番号が出てこない。なんだこりゃ。

Google先生ですら、タクシー会社の名前の列挙までで、電話番号はさらにサイトを開かないと出てこない。サイトがなかったらどうしたらいいのだろう?

片っ端から電話するのだが、出払っていたり、そもそも通話中でつながらなかったりする。中国より一周りくらい遅れている。

日本でも一部の地域でDiDiが使えるようになっているので、DiDiに期待するしかない。

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これまた口頭で目的地設定

乗ったら乗ったで、どこへ行くのかを伝えないといけない。

現地のタクシーならば、現地はよく知っているよね!と思ったら、そうでもない。昨今の人手不足に加えて、同じ地域で乗務員の取り合いをしているので、外から来た人が多い。

そのため当地のことがわからず、住所を伝えてドライバーがナビに設定しているのだ。なんだこりゃ。

クレジットカードが使えないの?

着いたら着いたで、今度は支払いの問題が起きる。

それなりの規模であれば、各タクシーに端末があるのでまだマシだ。零細企業だっとクレジットカードが使えず、現金だけなんてザラである。なんだこりゃを通して、だめだこりゃである。

おまけに、乗った分だけ領収書。

プラットフォームが乱立する日本

最初に戻ろう。

海外でタクシーを使うとき、問題なのは言葉だ。そして、土地勘である。日本でタクシーを使うと、両方必要となる。

確かに、ボッタクリの確率や無謀運転の可能性は低い。でも、海外から日本に来たら、自分が不便だと思ったことをやらされるわけだ。首都圏や関西圏であれば、まだ公共交通機関があるので幾分マシかもしれないが。

日本にも”Japan Taxi”というアプリがあるにはある。が、地域縦割りのタクシー会社-そして、IT化から100年くらい遠いローカル中小企業-をつなぐには、課題満載。すべての企業が参加しているわけではないので捕まえられない上にアプリの出来が悪すぎる。

国内各地でタクシー配車アプリ「JapanTaxi」を使って見えた課題

海外から来た観光客にお金を気前よく落としてもらうためにも、この部分はもっと大きく改善する必要があるじゃないだろうか?

タクシーに限らず、地域や企業に最適化されたプラットフォームが乱立している日本はいろいろ不便だと感じる。

交通系ICカードだけで一体全国に何種類あるのだろうか?銀行はそれぞれシステムがバラバラで系列が異なるだけで手数料を取られる。24時間取引が可能になったのもつい最近だ。

いや~。日本って不便ですね…。

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