Googleが中国ニュースを遮断-中国VPNユーザを念頭か?

中国インターネット
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中国に復帰がささやかれているGoogleが、中国関連ニュースを遮断したようだ。システムの不具合も当初考えられていたが、未だに復帰していない。Appleと同じ道をたどるのだろうか?

VPN使った中国ユーザを狙い撃ち?

中国関連のニュースが遮断されているのは、Googleが提供する”Google ニュース”のサイトとアプリ。Google ニュースは、地域を設定することができる。たとえば、日本を設定しておくと日本のニュースを中心に表示してくれる。今回、表示ができないのは地域設定が”台湾”と”香港”にしている場合だ。

予備知識として、台湾と香港の両地域ともに中国との関係が深く、共通語が中国語である。両地域ともに繁体字なので中国大陸の簡体字と違いはあるが、教養ある人であれば障害とはならない。そのためか、この両地域を設定にすると”兩岸”と”中国大陸”というカテゴリがデフォルトで設定されている。

今回の問題は、4日頃からこのカテゴリにニュースが一切表示されなくなっていることだ。たとえば、台湾を地域設定にしている場合は、以下のようにエラーが表示される。

エラーメッセージには、『抱歉!我們無法顯示任何「”兩岸”」的報導,請稍後再試。』(申し訳ありませんが、両岸関連のニュースを表示することができません。後ほど再度試してください。)と出るだけである。

香港の場合も同じ症状が出ており、以下のようにエラーのみが表示される。

中国は5年間の習近平政権の総括となる党大会を今秋(予定では10月18日)開く。それにあわせて国内の引き締めを強化している。たとえば、今春のVPN禁止などはこの一環である。また、秋からは実名制の強化が予定されている。

中国ネット実名制強化-VPN経由も対象
国民を口封じ 中国当局のインターネットでの実名制がさらに強化される。今までのSNSを中心とする大手への規制から、中国国内隅々まで対象となる規制である。国民の口封じがさらに強まりそうだ。

今回のGoogleによる遮断も、中国当局からの要請を受けたものでは?と憶測が飛んでいる。

Googleと中国

Googleと中国は対立しているように思われるが、それは正しくない。たとえば、中国マーケットは、Googleにとって重要な顧客であり続けている。Googleの収入源は9割が広告収入であり、広告サービスであるGoogle Adsenseを使う中国企業や個人は少なくない。

2010年にGoogleは検索サービスを中国本土から撤退したが、その後も中国拠点を維持している。北京や上海の各拠点では、R&D(Research and development)分野で人材募集を積極的に行っている。

There are nearly 60 positions available in Beijing and Shanghai combined on the company's careers web page. A person familiar with the positions said Google is focused on hiring top talent and improving the quality of its algorithms.

Google Builds China Workforce to Develop Artificial Intelligence | Fox Business

中国でR&D?と思われたかもしれない。中国アプリは当サイトが再三指摘しているとおり、行儀があまりよくない。モバイルアプリでは、権限を取得したり個人情報を勝手に送信したりとニュースになりがちである。

中国スマホで個人情報筒抜け
アプリだけでなくOSも… 以前から当サイトでは、繰り返し中国製アプリのセキュリティ上の懸念(正確には害悪)を警告してきた。中国製スマホで個人情報を勝手に送信で大騒ぎになっているのでご紹介。

ただ、中国は人口が多いので優秀な人材も豊富である。アメリカにいる留学生3人に1人は中国人であり、世界最高峰とされるハーバード大学に限ると4人に1人は中国人だ。

Statistics | Harvard International Office

アプリではグダグダだが、AIのジャンルでは実力がある。たとえば、画像認識の分野では世界的なコンテストで上位独占し話題となった。

中国政府は2030年までにAI(人工知能)分野で世界トップになるため、企業や政府、軍に対して多額の投資を行うことを公表している。今年は世界的な画像認識コンテストである「ImageNet」で全27チーム中半分以上を中国勢が占め、上位を独占した。コンピュータによる画像認識精度を競うImageNetは、AI領域における世界王者決定戦とも呼べるコンテストだ。

AIの世界王者決定戦「ImageNet」で中国チームが上位を独占 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

Googleはすでにマーケットとしの中国も、人材源としての中国からすでに離れられないのかもしれない。中国マーケットを重視するAppleが、VPNアプリを大量削除しVPN界隈で強く批判されたのを覚えているだろうか?

中国で規制されたVPNアプリをアプリストアからダウンロードする方法
VPNアプリを中国で一斉規制 中国政府からの要望で、米アップルが中国ユーザ向けのApp Store(アプリストア)からVPNアプリを削除した。中国にいるユーザはどうしたらこの規制を回避してダウンロードできるのか?

ひょっとするとGoogleも同じ道をたどるのかもしれない。

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