コシヒカリだけでは越えられない壁
近所にすき家ができた。中国で同チェーン店に入ったことがなかったので、興味本位で食べてみた。すると、意外とご飯がおいしい。中国に来る日本人が口を揃えて言うのは、「ご飯がまずい!」ではないか?そこで、おいしいごはんを食べれず困っている方の参考になれば幸いだ。
オペレーションを自動化
近所に出来たすき家だが、店内の内装やオペレータの服装などが日本のものと同じ。中国では見かけないカウンター。キッチンをしっかりとフロアからセパレートし、床はフローリングと中国とは思えない清潔さ。ユニクロもそうだが、教育プログラムが相当作り込みされているのだろう。
中国のすき家独自のものとしては、鍋のコンロがあることだ。冬場には鍋でも提供するのだろうか?
しかし、小汚い上海の外界と日式の内装のコントラストが実にシュールである。箱舟から大波に飲み込まれる人間を見たノアの心境は、これと同じでさぞ痛快だっただろう。ムスカ大佐の「見ろ!人がゴミのようだ!」を思い出す。
さて、すき家で食べたご飯がそれなりのお味だったので、別の日にテイクアウトした。その時、カウンター越しからみたもの、それはこれである。
ご飯の配膳が機械で行われているのである。吉野家などでは、人間が盛り付けするのでブレがでる。おまけに、人の入れ替わりが激しいので、ブレが大きい。そんな中国に配慮して?なのか、配膳自体が自動化されているのである。少し感心。厨房内部もかなり自動化されており、日本に近い味を提供することができるのだろう。
美味しいご飯の3要素
ところで、中国で出てくるご飯は正直美味しくない。南は広州・深センから上海、北は北京・大連で食事をしたが、総じて味がないまたはまずい。全体的にパサパサしていて旨味がないのだ。理由は一体何なのだろうか?
よく聞く理由は、中国米が悪いというもの。確かに理由の1つとしてあげられるだろう。
しかし、私の同僚は日本から家族4人で分担して、日本米を持ち込んで炊いてみたが、やはり日本のような美味しさは得られなかったと言う。
私自身は美食家でもなければ研究科でもないが、私なりに分析すると原因は次にあげる3つではないかと思うのだ。
- お米
- 炊飯器
- 水
1.お米
お米は自称日本と同じものが各種百貨店やオンラインで購入できる。自称と記載しているのは、ちゃんとした籾種(もみたね)を経由しない日本米が大量に出回っているからである。
でも、これら自称日本米を中国の水と中国製の炊飯器を使って炊くと中国米と同じくらいまずい。炊きあがりにムラが出て、全体的にベチャッとした食感になるのである。最初は水の加減を間違えたのか?と不安になったのだが、何度やっても同じなのだ。
中国製品の技術力の低さと設計コンセプトのなさがこういうつまらないところにも現れるのだが、ノンポリの中国人にとっては特に問題とならないのだろう。
2.炊飯器
次に炊飯器である。炊飯器は中国で買うよりも、一時帰国のときにに海外対応の炊飯器を買うのをおすすめする。
これは、中国で販売している東芝やPanasonic製品は中国のメーカー同様の構造になっており、あまり美味しく炊けない。炊飯器に限らず電化製品の構造はどのメーカも似ているが、中国政府はこの規格も決めているのだろうか?謎である。
また、中国製の炊飯器は構造が簡易的なのでいわゆる蒸しながら炊くということができないので、ふっくらした炊きあがりにならないのだ。もちろん、高島屋など百貨店で日本製炊飯器を買うこともできるが、価格が日本の3~4倍なので一時帰国した方がおトクである。
3.水
そして、何よりも大切なのが水。中国の水は硬水で日本の軟水と大きく異る。特に、カルシウムが多いので全体的に白っぽい。まさか!と思う人は、お風呂に湯をためてみて欲しい。白っぽくならないだろうか?
上海の水道水は、実にカルシウムが多いです。
上海の水道水を殺菌しますと、カルシウムの沈殿が見られます。
それは、日本の水道とくらべて、大きく違います。
アクアなどの浄水器をつけると明白なのだが、フィルタにはびっしりと白いものがこびりつくのである。恐ろしい…。
「だし」を利用し、醤油などで比較的うす味に仕上げる日本料理は、まさに水のおいしさに大きく依存した料理法と言えるでしょう。ごはんがふっくらと炊けるのも、緑茶の味や香りが充分に引き出せるのも、この軟水のおかげです。硬水で炊飯をするとごはんがパサパサになったり、緑茶の味や香りが十分に引き出せなかったりします。そのために、硬水が一般的な中国では油を主とした調理方法が定着しているのでしょう。
上海の水道水ってどうなの?//上海AQUARS//
なお、浄水器やミネラルウオーターはどこがいいの?になるが、上海であれば別記事で紹介しているので、こちらを参考にしてほしい。
忘れてはいけない炊き方
その上で、正しいお米の炊き方をすると、中国では食べられないつやつやしたご飯が食べられる。炊き方は下記のサイトが参考になる。
美味しいご飯は、体の基礎。ストレスの多い中国生活を乗り切るためにも、参考になれば幸いである。
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