Twitterは中国で使えないのか?
世界的に有名なソーシャルメディアと言えば、Facebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)である。中国では、この手の海外ソーシャルメディアが統制されているのだが、抜け道がないか探してみたのでご紹介。
Twitterと中国の規制
まずは現状についてだ。日本人の多い上海を含む中国ではTwitterができない。
中国が同サービスを規制したのは、ウイグル弾圧の前後で2009年7月。同じ時期にソーシャルメディアの巨塔Facebookや検索エンジン大手のGoogle、メディア共有サイトのYoutubeなど情報をシェアできるサービスを相次いで規制した。その当時の記事でも、この規制をメディアが取り上げている。
先週末、中国の新疆地区で死傷者が出た暴動が起きて以来、中国政府は、例によって、外国のウェブサービスから市民に情報が伝わらないようあらゆる努力をしている。中国政府は、インターネットを全面的に停止することはできないものの、検索エンジンを検閲して暴動に関する情報を削除し、Twitterをブロックした。
現在、Yahooも内部ではGoogleエンジンを利用しているので、Googleの検索キーワード分析することで、当時のネット利用者がなにをしていたのかが追跡できる。「Twitter 中国」で調べてみると、以下のように規制直後の7月をピークに一定数保ちながら続いている。
ただし、数カ月おきに山(検索回数の上昇)があったのは、2012年まで。ここ数年は、月に数回検索されている程度と落ち着いている。Twitterが中国で規制されて、使えないことが周知されたためであろう。とは言え、英語(“China, Twitter”)にしぼると、日本語とは逆に検索回数は増えている。最近増えている欧米からの中国投資でやって来た外国人ビジネスマンが、Twitterが使えず困って検索しているのかもしれない。
トランプ大統領の訪中とTwitter
ちなみに、今年(2017年)の11月にトランプ米大統領が訪中したときに、同氏が北京からTwitterにコメントを多数投稿して話題になった。
マスメディアの中には中国当局が訪中にあわせて、一時的な緩和処置が取られたと報じているのもある。
中国を訪問中のトランプ米大統領は8日、北京での習近平国家主席の歓待に感謝するコメントをツイッターに投稿した。同大統領がお気に入りのコミュニケーションプラットフォームを中国で使うのは初めて。中国当局は自国民が欧米のソーシャルメディアを利用することを総じて禁じている。
ただ、同時期に中国のネットワーク規制(金盾)が緩和されたという痕跡は見ることができない。また、米大統領やその関係者が盗聴・スキャニングが公然の事実である中国ネットワークを使うとは考えがたい。アメリカは自前で衛星通信持っているので、これを使ったのではないかと推測する。
中国在住の一般人が衛星通信使うのはコスト的に割が合わない。では、Twitterにどうアクセスしたらいいのか?まずは正攻法からやってみた。
1.Web版Twitter
Web版のTwitter公式サイト(https://twitter.com/)は規制されており、アクセスが一切できず使えない。
メインとなる「twitter.com」はもちろん、モバイル版やほかのアプリで使われるサブドメイン(api.twitter.comやapps.twitter.com)と呼ばれるものもすべて規制されいる。このままでは、手も足も出ない。
2.モバイル版Twitter
次に、AndroidやiPhone、iPad上のTwitter公式アプリを試してみる。これらのアプリも実は「twitter.com」とそのサブドメインに接続しようとするので、いずれも使えない。Twitterのサービス特性上、一度「twitter.com」で身元確認をしているのが原因だと推測する。
当然であるが、VPNを接続すればきちんと使える。ネットワークそのものが規制されているわけではなく、サービス単位で規制されているためだ。
ただし、このVPNの常時接続は電池消費を悪化させるので、バッテリーの小さなスマホを使っているととてもつらい。iPhoneについても同様である。
3.互換版Twitter
1と2については、既知の事実である。
今回、このトピックを取り上げたのは、この互換版のTwitterが目的。第三者が代行して取得するサービスならば、規制されないのでは?と思ったのだ。
仕組みかをかんたんに言えば、第三者のサイトやアプリケーションが、TwitterやFacebookなどをユーザに代わって取得、閲覧、投稿するというもの。代表的なサービスとして、次の3つがあげられる。
この手の互換サービスは、第三者を通したり別サーバアドレスを経由することが多いので、使えるケースがあるのだ。たとえば、以前に取り上げたブラウザベースの「Puffin Browser」がこれに該当する。
たとえばPuffinのサーバ経由であれば、PuffinがWebページを代行して取得するためTwitterやFacebook、Googleが使えた。「使えた」と表現しているのは、既に規制されていて現在は使えない。これの類似パターンとしては、「Facebook Messenger」があげられる。
試してみて…思わぬワナ
さっそく、互換版Twitterで人気の高いCrowyにつなげてみた。なんと、あっさりと表示される。これは期待できるかも!と思った…が、ここであることに気づいた。
最近のSNSは、以前のmixiと異なり、認証をすべて自前サーバ(Twitterであれば、twitter.com)でおこなう。
つまり、これらの代行サービスは、すでにアカウントを持っていることが前提になっているため、ユーザ登録やログインもTwitterやFacebook、Googleの公式サーバを使うのだ。
したがって、ユーザ登録をしようとすると、それぞれの公式サーバに飛ばされてしまう。つまり、VPNを使わないとログインすらできないのだ。お手上げ!
Twitterを中国で使う方法のまとめ
冒頭でも結論は述べているがVPN以外に抜け道がない。つまり、中国のネットを使っていると、Twitterは使えないということだ。
SNS側(ここでは米Twitter社)が、代理認証や外部サーバを認めてくれれば、まだまだ活路がありそうではあるが…無念残念。VPNについては、別記事で取り上げているので、そちらをご覧いただければ幸いだ。
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