昨日(2月7日)、シンガポールの保健省(MOH:日本の厚生労働省相当)が警戒レベルを上から2番めのオレンジに引き上げを行った。このレベルはSARSと同じレベルで感染症に対してシンガポール政府がとても警戒していることを示している。
DORSCONが警戒レベルに引き上げ
この処置は2月6日にグランド・ハイアット・シンガポールで開催されたイベントに参加した中国渡航歴のない人から武漢肺炎が検出されたことを受けての発表となる。もともと公共交通機関(MRTやバス)では毎日数回の消毒作業が行われていたが、繁華街自体の消毒作業が行われるなど事態の深刻さが伺える。
MOHの発表内容は公式サイトでも公開されており、詳細を確認できる。
ここで引き上げが示されているDORSCONとは、Disease Outbreak Response System Conditionの頭文字を取ったシンガポール政府謹製の造語で、拡散型疾患に対する対応レベルを意味している。詳細は同政府の公式サイトで見ることができる。
対応レベルの引き上げを受けてMOHは、以下の提案をしている。
- 不要不急の出張を控えるまたは延期を検討
- 大人数が集まるイベント等の中止または延期の検討
デマに対して政府が注意呼びかけ
発症例は累計で33名と中国大陸ほどではないものの、毎日増加している。昨日確認された3名のうち1名は集中治療室で治療を受けているものの、容態は安定しているとのこと。
こういった感染例が増えていくのにつれていろいろとデマも飛び交っている。個人が憶測で書いたデマに加えて、有名サイトや報道機関のスクリーンショットを改ざんした悪質なデマが流れている。
シンガポールで指折りの報道機関であるCNAのTwitter記事を改ざんした例がこちら。
CNAはこのニセスクリーンショットについて、公式サイトで取り上げており注意を呼びかけている。
この手のフェイクについて、MOHも特別に注意喚起をしており、類似のデマが多数出回っていることを示唆している。
7 Feb 2020: A fake screengrab of a CNA tweet was circulated widely on social media saying that all schools including polytechnics and universities are to close next Monday (10 Feb) due to the ongoing novel coronavirus outbreak. This is untrue. The image, which is being circulated on messaging app WhatsApp, appears to have been a doctored screengrab of another tweet sent out by CNA. Click here for clarification from CNA.
日用品を買うならいまのうち!
と、ここまでは一般的な話。
こういったデマに踊らされたと思われる一般人が日用品や保存の効くカップラーメンなどをまとめ買いする事象がシンガポール各地で散見される。在シンガポール華僑系グループでも多数の報告がされている。
郊外のベッドタウンでは棚からすべて商品が消えてご覧のとおり。トイレットペーパーやティッシュペーパー、カップラーメンなどがすっからかんとなっている。
市の中心地にあるスーパーなどはこんな状態にはなっていない-持ち運びがしづらいのでと思われる-が、カップラーメンなどはきれいに在庫が捌けていた。石油ショックのときにトイレットペーパーが街から消えるパニック買いがまさに現在進行系のようである。
もちろん、シンガポールの場合、国土が小さく国際物流の影響を受けやすいので、一理あるかもしれない。とはいえ買い占めする必要性はないわけで、Minister for Trade and Industry(経済産業省相当)の貿易担当部長が以下のような発言をしている。
There have been many reports this evening of people buying up food and household items at our supermarkets. This has…
と、言うわけで武漢肺炎狂想曲は、まだまだ続きそうである。
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