中国在住の外国人やその周りでVPN規制の話題が2-3日前から取りざたされてる。が、以前から取り上げていたP2P理財で、巨額な詐欺事件があがっているのでこちらもあわせて紹介。
規制逃れの国内VPNにサービス停止命令
中国政府が今春に発表した政策が、動き始めた。その政策とは、VPNの運営を許認可制にすることで、規制逃れのVPNを禁止するもの。春頃に多数のメディアが取り上げたのを覚えている人も多いはず。
このVPN騒動でメディアが一斉に取り上げているのが、Green VPNのサービス停止命令である。去年のポケモンGo祭りでは複数の記事が、このGreen VPNを利用した遊び方を紹介しており、中国人の間では人気があったようだ。
同社の過去のサイトを見てみると、VPNサーバをアメリカにおいてGmailやGoogle Drive、YoutubeやFacebookへの接続をうたっていた。しかし、国策として金盾プロジェクトを進めている以上、中国国内の法人が堂々と翻墙(金盾回避)を明記しているのでは遅かれ早かれサービス停止命令が下ったであったろう。
公式サイトにはサービス停止の告知だけが残っており、この中で当局から命令を受けてサービス停止に追い込まれた旨が記載されている。
接上级监管部门通知,我们必须很遗憾地告诉大家:Green将于2017年7月1日起停止服务。由此给各位造成的不便,我们深表歉意!
このGreen VPNもシェアサイクルの倒産事件と同じく、支払い金額の残金を日割りで払い戻すと告知している。中国企業や中国社会の文明化はすすんでいるようだ。
一般向けのVPN規制は以前から予兆があった。以前は淘宝網で個人向けのVPNアカウントが売り買いされていた。しかし、2年ほど前からVPNアカウントの売買が突然取り下げられている。この前後に習近平政権が成立しているので、政策の一環であることがうかがえる。
P2PでFX理財
今回大きく取り上げたいのが、このFX理財。以前からP2P金融は中国にとって火薬庫であると指摘していた。
今回の爆弾ネタは、IGOFXという名の会社が発端。FXと書いてある通り外貨金融を使った投資をうたう法人で、2016年6月に本社のマレーシア(一部ニュースソースではニュージーランド)から中国に市場参入してきたという。巧みな広告や宣伝活動で、半年の間に40万人の会員を集め、被害金額が最高300億人民元(約5兆円)に上る可能性があるという。この金額だが、アメリカで大騒ぎになった金融詐欺”バーナード・マドフ事件”が推定で5兆円だから、相当の規模であるのがお分かりになるだろうか?
最近の投資はかんたんであることをアピールするものが多いが、この投資も同じだ。ネットまたはアプリから投資するだけで、一切操作が不要(无需自己手动操作)だというのだ。
IGOFX打着「躺着赚美金」的口号,以及「人拉人,获奖励」的金字塔系统,迅速吸引中国各地的民众投资
一部の広告では”寝ながら米ドルを儲けられる”としていたそうな。
首謀者(創業者)が90后で若いことから、各メディアも面白おかしく取り上げている。ただ、これだけ大規模な仕組みを彼女一人で用意できるわけがなく、彼女の夫とされる50代の男性が黒幕ではないだろうか。2人ともマレーシアに逃亡しており、行方不明である。
投資リターンが60倍以上
そんなFX理財だが、投資とリターンの資料も胡散臭さ満載である。同社が配布していた理財商品の資料の一部が以下である。
この資料の中では1,000米ドルを投資すると、1年間で7,000米ドルになるとうたっている。つまり、投資効果7倍である。さらに、途中解約を防ぐためであろうか、2年間投資すれば66倍弱になるとしている。年間投資以外にも日または月単位での投資も可能としており、1万米ドルを預けたケースでは、1日あたりの収益が100米ドルというすごい理財である。
確かに中国の理財の中には数十%をうたうものがあるが、さすがに何十倍というものはお目にかからない。
マルチとの合わせ技で被害拡大
このP2P理財、単純に資金集めしているだけであれば、これほど金額は大きくならなかったであろう。しかし、これを悪化させたのが階級制である。投資の同志メンバーを集めると、有利な条件が得られるというものだ。
当用户邀请人数超过10人的时候,该用户将成为“介绍人”,返点数为万分之五;超过25人将成为“初级的经纪人”,返点数为万分之七,50人将成为“高级外汇经纪人”,返点数为万分之九。当邀请人数超过一百人时,该名用户将成为最高等级,返点数为万分之十二。王丽华拉了13个人,她成了“介绍人”。
たとえば、投資家が10人の同じ投資人を誘うことができれば”紹介人”クラスと呼ばれ、これが25人で初級、50人で高級、100人を超えると最高級という称号が与えられる。この階級にそって、キックバック率が上がっていくという仕組みである。要はP2P理財にマルチ商法を掛け合わせたような仕組みだ。
中国では広告やパンフレットはほとんど信用されない。ニセ広告やいい加減な内容が多いからである。そのため、SNS上の口コミや口コミサイトが海外以上に跋扈(ばっこ)する。
投資はリスキーなものだ。それだけに、口コミを重視する中国では一度身内に入り込むと、あっという間に拡大する。まるでコンピュータウイルスである。
被害人数が桁外れに多いだけに、この問題はP2P理財と合わせて大騒動になるのではないだろうか。目が離せない。
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