インフラは都市部より悪いはずなのに…
先週1周間ほど嫁の義実家に滞在。場所は山東省の内陸部で、上海や北京より通信インフラの整備は遅れている。しかし、都市部よりもVPNの接続がスムーズだった上に、速度も出た。ひょっとするとVPNが遅いのは、地域よりも人口密度の要因が大きいかもしれない。
外国人は月に10名も来ない”ど田舎”
嫁の義実家は、山東省の内陸部。同省の省都である济南市に限りなく近い了莱芜市。きれいな景観で有名な青島から内陸へ300kmほど入ったところにある。
内陸という場所柄、夏は40度近い酷暑、冬はマイナス10度を超える極寒である。おまけに、春は黄砂が吹き荒れる。子供を連れて酷暑も極寒の地に行くのは避けたいので、中秋节で混雑する直前の秋を狙った隙間滞在になった。
”济南市に限りなく近い了莱芜市”の意味するところは、どちらの都市部からも遠いということだ。実際、義実家の近くは、なにもない。
スタバ?なにそれ?状態である。莱芜市内まで行けばマクドナルドはあるのだが、そこが限界。少なくとも外国人が好んで行きそうなおしゃれなカフェは皆無である。興味本位でモデル地区を見に行く物好きは私くらいだろう。
莱芜市の名誉のために言うと、同市は人口120万強ほど規模で地級市。中国仰天ニュースで出てくるような超ど田舎ではない。
しかし、そんな莱芜は、中国的には田舎なのだ。市内に唯一ある四つ星ホテル”莱芜宾馆”に宿泊する機会があったのだが、ホテルのフロントに聞いたところ外国人の宿泊は月10名も来ないらしい。
このホテル、同市のフラッグシップ的なホテル。宿泊したときも全国規模の勉強会が開催されていた。それでも外国人が来るのはその程度なのだ。
同ホテルは同市の顔なので、標準ルームでも客室がこのクオリティ。上海だったら700-800RMBほど取られそうなレベルである。
浴室はTOTOでガッチリ内装がされていた。アメニティはさすがに中国メーカだったが、40平米弱のお部屋で400RMBに満たない。スタッフも(中国の中では)親切で丁寧。
巨大な公園が隣接している上に、同ホテルの敷地が広いので、夜は貧弱な窓にもかかわらず驚くほど静かだった。ガーデンホテルより居心地いいかもしれない。
話を戻そう。
そんな市内に行くにしても、車が見つからない。滴滴で探しても、見つかればラッキーな義実家。近所へ行っても莱芜话に遭遇するので、コミュニケーションも難儀する。さりとて、家事をするわけにもいかず、とにかくすることがないのだ。
そうなると、暇を持て余すので、どうしてもネットで遊んでしまう。
VPNがあっさりつながるぞ?
暇なお手手がスマホをいじると、問題になるのはインフラ。
上述のように、とにかく田舎である。4G契約の联通も、きっと3G、よくてもH+(3Gハイスピード)が御の字だろうと思ったのだ。が、期待はいい意味で裏切られる。
スマホを見ると、なんとガッツリ4Gが入っている!ブラボー。
しかし、4Gで接続されていることとネットが快適なのは別問題だ。いくら接続が高規格であっても、インフラが弱ければ遅いからだ。
きっとVPNもつながらないのだろうな…と思ってやってみると、一発で接続できる。あれ?
接続時間帯を朝、昼、夜でそれぞれ試したのだが、ほぼ一発で接続できた。近場の台湾とアメリカを試したが、どちらも問題なく接続できるのだ。
私の頭にある”田舎=インフラ脆弱=遅い”が、ガラガラと崩れていく。
VPNが速い、速いぞ!
VPNがつながるなら、速度がどのくらい出るのか試してみようとなる。
ここで、またびっくりする。VPN接続してSPEEDTESTアプリで計測すると、昼間の時間帯でも4~5Mbpsが安定して出るのだ。
昼でこの速度だから、夜の時間帯は遅いのかと思うが普通だ。
しかし、これもいい意味で期待を裏切られる。夜間帯は、むしろ速度がアップしたのだ。10Mbpsを軽く超えて、20Mbpsに届かないまで出る。
もしかして、SPEEDTEST向けになんか細工しているのではなかろうか?と猜疑心が湧いてくる。そこで、日と時間帯を改めて、別アプリでも計測してみた。
昼間の計測では、やはり5Mbps程度。このとき接続先は、日本サーバ。
グラフを見てほしいのだが、右肩上がりでかつ一直線を描いている。接続と速度が安定しているのがわかるだろう。
時間帯を変えて、夕方にも測ってみた。それでも、8Mbpsを超えている。悪くない数字である。ネット環境が悪化している昨今では、良好なレベルだろう。
ひょっとして、夜はみんな早く寝てしまうから快適なのだろうか?
LINEも日本テレビも快適
VPNで問題になるのは、おおむね次の3つである。
- 接続できない
- 速度がでない
- 接続できてもすぐ切れる(安定性)
接続と速度についてはすでに述べた。残るは安定性だ。
上海でVPN接続すると、接続できても5分後に切断されていて、検索ができない!…なんて経験はないだろうか。
この田舎に来て、感じたのは”とにかく切れない”である。朝にVPN接続して、忘れたまま夜までずっと接続しっぱなしで電池が激しく消費するのに気づくレベルなのだ。
VPNがこれだけ接続ができて、安定しているとストリーミングも快適である。以前に紹介したスマホ向け日本テレビも高解像度状態で、気持ちよく見ることができた。
普段はテレビはほとんど見ないレベルのテレビ嫌いなのだが、このときばかりは、持て余した時間を潰してくれたのでとても便利であった。
都市部は田舎より劣悪なネット環境?
もっとも、快適だったのは田舎や莱芜市内のように地方都市にいた間だけであった。
ここでふとこう思うのだ。
ひょっとして、VPNを遅くしている原因は”通信インフラの良し悪し”ではなく、ネットを使う”人口密度”なのではないか?である。いくら良好な通信インフラであっても、許容量をオーバすればパンクして品質が悪くなるからだ。
日本で以前にメディアが取り上げていたニュースを思い出す。某キャリアが、カバー率に執着するあまり、ユーザの多い都市部のインフラ増強を怠り、結果的にユーザの急増にインフラが耐えきれず、品質問題が起きた。いわゆるアンテナが立っているのに通話ができない、通話ができても品質が悪いというやつだ。
都市部でVPNの接続がしづらいのは、インフラがパンク気味だからかもしれない。
コメント
信雅さん
コメントありがとうございます。
中国は本当のど田舎(山の奥系)でもなければH+(ハイスピード3G)が通るのだから,普通にすごいと思います。
日本は国土の割に山が多いのでどうしても田舎に行くと圏外の恐怖があるので単純比較は難しいですが。
田舎は人口密度(ネット人口)が比較的低いのでネット快適なのではないでしょうか。
体験談とかありましたらぜひお願いいたします。
お初お目にかかります、TERNSの信雅と申します。
友人の実家が山東省ですが、高密市というところでまだ海に近いほうで、本人曰く「何もない」ところで、「来ても退屈なだけ」だろうと言ってましたね。
けど見た目悪くないみたいですね、TOTOさんのトイレ使っているところが意外でした。
自分も田舎出身ですが、それこそ仰る聯通の電波がH+がやっとといったところで、ウェイボーさえ出来れば万々歳ですね。ちょっと今度の帰省で試したいと思います。
貴重な情報ありがとうございました。