メンツで買い物する中国人

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ものの良し悪しは二の次

メンツで買い物する中国人

中国ビジネスの記事で最近見かけるキーワードがある。ずばり「SNS」だ。今年の春節注目された「爆買い」の火付け役としてみているのだ。ただ、中国における口コミは、それほど影響力があるのだろうか?

爆買いで広がる商機

今年は「爆買い」というキーワードがマスメディアでたびたび報道された。中国人の購買力向上に加えて、2014年からはじまった円安が追い打ちを掛けているのだろう。このキーワード、実は2012年末にも注目されたようである。

メンツで買い物する中国人-爆買いのキーワードは急上昇中

今年に限って言うと、春節間際の1月から急速に注目を集め3月までかなりの検索ボリュームとなっている。おもしろいのは、「爆買い」に吊られて「中国人観光客」も上がっているということだ。青色のラインがキーワード「爆買い」で赤い線が「中国人観光客」の検索ボリュームの推移である。

メンツで買い物する中国人-買い物する旅行者として注目される中国人

中国人が海外旅行すること自体が注目された2000年前半から注目されたものの、2階に渡る反日デモで1/5まで落下。その後、反日イメージに中国人旅行客に対するネガティブイメージが重なって停滞していた。

変化が起きたのは2015年。お金を落としていくマーケットの対象として見られはじめ、再度注目されているようだ。それを証明するように、ビザの発給数は急上昇している。まさに、2015年は中国観光客元年と言える。

引き金は口コミ

では、中国人観光客が自分の目で見て発見し、買い物をしているのだろうか?興味深いコラムがあるので引用する。

中国では元来、血縁、地縁や出身校でのつながりを重視する向きがある。核家族化が進み、兄弟や姉妹がいない一人っ子の彼らは、オンライン上の友人とのつながりを大切にする。ネットで商品を購入する前には、チャット(QQ空間)、ツイッター(微博)等を通じて、信用できる友人・知人からの口コミや情報を参考にする。

一方、購入後は、自身も販売者の評価への書き込みや、自身のSNSを通じて商品に関する情報を積極的に発信し、オンライン上の友人とも情報の共有化をはかる。こういった情報発信や共有化は彼らの9割が実施しているという。

「つながり」を意識する中国の若者たち。-中国通販マーケット、攻略のカギは「口コミの喚起」にアリ?

実は爆買いが起きる春節直前あたりから私のWeChat上の知人の書き込みや共有記事を見ると、日本へ行った時買うべきものベスト10!のような記事が多数あるのだ。

メンツで買い物する中国人

この手の記事では、1度に10個くらいは買うべきだ!などと薦めている。200万人以上の中国人がやってきて1度に10個以上買っていけば、ペンペン草も生えない状態になるのも理解できる。(参考:反日政策が日本を救う)

他人が持っているものは私も欲しい!

購入前の動機にもっともらしい項目を挙げているが、これは日本でよくあるアンケートを利用したためだと感じる。口コミを信用して購入し、購入後にSNSで共有するのも、一言でいえば「他人が持っているものは私も欲しい!」という子供の理屈に近い。この根源を探っていくと、いわゆる「メンツ」に回帰するのだろう。

人間関係が大きな意味を持つ中国社会では、様々な人間関係トラブルもまた日常的に発生する。そこでわれわれの眼には解決困難に見える混沌とした複雑な状況を、一言で仕切る伝統的なキーワードが 「 留面子 」 ( liu mianzi ) という言葉である。 中国社会のトラブルの多くは 「 面子 」 に原因を発している。

中国商人との付き合い方|中国ビジネス講座

中国人社会ではどこの出身で、どこの大学で、どういう職位なのか、どこに住んでいるのかなどが非常に重要なのである。同じような人が集まる職場環境で1人だけ海外に旅行できなかったり、1人だけ流行のものを持っていないのはまさに「メンツ」がない。だから、何がいいかがわからないが、6,000RMB(約12万円)という月給相当(学生などからみたらアルバイト3ヶ月分)を爆買いしてしまうのだ。

政府がSNS統制に気をもむ理由

このように、周りの挙動を気にして(しかし、空気は全く読まない)、比較することだけで一生を過ごす中国人にとって口コミの影響力は絶大である。中国の歴史は、政府に対して人民が結集し打倒を繰り返してきた。日本のような攘夷や尊攘もない。それだけに、中国政府は人民が噂を流したり、結束したりすることをひどく恐れている。(参考:臭い物には蓋-旅客船転覆事故で再確認された隠蔽捏造体質)

ここ最近のSNS統制に対する中国当局の過剰とも言える反応は、口コミの怖さを熟知し、自身が中華民国政府を追い出したのを体験しているからこそかも知れない。