報道規制と検閲強化
6月1日に起きた長江旅客船転覆事故。死者の数が数百名に上るのがほぼ確定的となった。その重大さに気づいた中国当局が報道の規制を始めている。習近平以降始まっている検閲の強化に報道の規制、この国の隠蔽捏造体質は相変わらずのようである。
真実の報道に蓋
複数のメディアが報道するところでは、6月1日の事故は当初単なる転覆事故として取り扱われていた。その後翌2日になって、大型旅客船でほとんどの人が船内に残されていることが報道された。この前後からどのメディアも報道する内容が同一のものに。
報道規制が引かれているのは明白だったが、3日になって海外メディアがこの報道規制について取り上げ始めた。
中国・長江で起きた旅客船の転覆事故で、中国の宣伝当局が国内の報道機関に対し、新華社などの国営メディアや政府が発表した情報のみを報道するよう通知したことが2日、分かった。独自の取材や報道を禁じる内容だという。宣伝当局に近い関係者らが明らかにした。
習近平指導部は、李克強首相を現場に派遣し、全力で救助に当たる姿勢をアピール。こうした中、国内の各メディアが独自に事故の原因や責任を追及し、政府批判に発展することを警戒したとみられる。
関係者によると、通知は1日夜に事故が起きてから間もなく出され、地元メディアに記者を現場に配置しないよう要求した。
いわゆる35人の壁にぶち当たったのでやむを得ないというのが当局の立場であろう。相変わらずの隠蔽体質である。
規制の強化に躍起
この事故発生前から中国当局は、ネット検閲の強化やアクセスの制限(参考:中国当局が海外との通信20%近くカット中)などに加えて、いわゆる真実を伝えるもう一つの媒体、口コミの規制に躍起である。
5月31日に公安部が明らかにしたところによると、北京や上海などの大都市や徐州など50の地域で、警察当局がSNSの微博(Weibo)などにアカウントを開設する。
今回の措置は、オンラインギャンブルやポルノなどへの市民らの懸念に対応するもので、ネット上での当局の存在感を増すことが目的だという。
公安部は年初以来、「違法かつ犯罪に当たる情報」75万8000件をネット上から削除し、7万件を超えるサイバー犯罪事件を捜査しているとしている。
ただ、当局が本当に規制したいのは政府規制であることは絶対に間違いない。そのため、不都合な情報へのアクセス規制(流入)、口コミなどの検閲・取り締まり(拡散防止)、外部への情報リーク(海外とのアクセス規制)を今後より一層強めていくのは間違いないだろう。
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