4人に3人が使う中国標準チャットソフト
今でこそスマホがパソコンより使われているが、業務やプライベートではまだまだパソコンは現役だ。そんなパソコンでもっとも使われているチャットソフト、それがQQである。QQの機能、メリットとデメリットを紹介。
騰訊QQとは?
中国で切っても切り離せないのが騰訊QQ(テンセント QQ/Tencent QQ)。このソフトは、MSN Messanger(現在はSkypeに統合)やICQ、Yahoo!メッセンジャ、Facebook Messangerなどと同じチャットツールだ。
Tencentの公式発表(2014年中期)によるとアクティブユーザが約8.3億人。同時オンライン数2.1億人という膨大なユーザ数である。
同時オンライン数で、すでに日本の人口を抜き去るほどの巨大なメッセンジャーだ。中国の人口が公式では14億だから、5人に4人は利用している計算になる。中国ではLINE(ライン)やFacebookが禁止されているため、同社のチャットアプリの独壇場となっている。
一方、同社がスマホ向けに展開している微信(WeChat)は4.4億人。QQは前年比で1%の伸びに対して、微信は5割強という伸びを見せており、WeChatに迫られているもののそれぞれ用途が違うので、共存するのではないだろうか。
QQ=LINE+Skype+Facebook
Tencent QQにはどういう機能があるのか。
- メッセンジャ機能
- 伝言機能
- 画像などの直接貼り付け
- 音声チャット(SkypeやLINEの機能と同等)
- ビデオチャット(同上)
- グループチャット(同上)
- コミュニティ機能(Facebookの機能と同等)
- 音楽や動画ファイルの共有(Facebookの機能と同等)
- ドキュメントの共有(Google Driveに類似)
- 地図情報の共有(Google Mapよりも強力)
- ご近所さん発見機能
出会い系で求められる機能全部そろっている。
たとえばだが、スマホで友達を見つけて、コミュニティに参加し、オフ会(オンラインで知り合った人が実際に会う活動)の通知を発信し、お店の情報などを告知し、当日迷っても位置情報を送って見つけてもらい、オフ会の写真をみんなで共有…と一通りができてしまう強力ツールだ。
もっとも、グループチャットやコミュニティの中には、法律上非合法になっている風俗系のものも多い。
コンピュータ上で使う場合、上記の機能に加えて、さらに強力なサポート機能を持っている。
- ファイル転送機能(レジューム機能付き)
- ファイル同期機能(スマホとPCで同期をとれるDropBoxに類似)
- リモートコントロール機能(操作側/受け側共に)
- 画面キャプチャ転送機能(ビデオも可能)
ビジネスにも使われるQQ
QQはビジネスでもよく使われる。
たとえば、ネット上で買い物をするとしよう。ある商品を購入したい場合、QQによる問い合わせ窓口がだいたいある。カタログが欲しければ、QQ上でお願いすればその場でカタログPDFを転送してもらえる。中国のネット事情は良くないので、転送の中断は日常茶飯事。QQは中国のネット事情に沿って成長してきたので、これに対応してクラウド経由でファイル転送ができる。だから、転送元が先にクラウド領域にアップロード、顧客はそこから多重ダウンロード…などもできる。
ローカル企業に務めるビジネスパーソンの名刺には、会社の住所や電話番号と一緒にQQ番号がよく一緒に載せてある。小売であれば、まずあると思っていい。携帯電話番号と同じくらい重要な情報なのだ。
QQとセキュリティ
そんなQQだが、セキュリティを監督する立場からみると、かなり厄介。
QQは社内のセキュリティ対策がある程度できていても、HTTPポート(サイトを見る時に使う一般的なもの)を使って、リモートコントロールできる。セキュリティ上問題になりそうな機能を列挙すると、以下の通り。
- ファイル転送機能:大容量ファイルも効率的に転送。顧客名簿なども転送し放題
- リモートコントロール機能:PCつけっぱなしにしておけば、いつでも社内に入りたい放題
- 画面キャプチャ転送機能:コピー禁止の書類でもそのまま転送可能
- 音楽・動画ファイルの共有:著作権侵害
- 2G/3G携帯でのサポート:携帯さえ持ち込めば見た内容をそのまま文字化して送信可能
- コミュニティ機能:各人の給与額を共有して、スト実施など
輪をかけて面倒なのは、このソフトの完成度があまり高くない。また、この運営会社は、私怨から勝手にソフトを規制するなどの犯歴がある。その時は、ケンカの相手方の360と合わせて360QQバトルと称されている。
参考:奇虎360與騰訊QQ爭鬥事件 – 維基百科,自由的百科全書
QQとどう向き合うべきか?
中国と関わりがある仕事ならば、使ったほうがいいだろう。社内で利用を認めないと不便なこともあるはず。ただ、その場合は、International QQをオススメしたい。
中国大陸版は、非常に行儀の悪いソフトウェアだからだ。無許可で追加インストールやレジストリの改ざんを行う。また、広告をプッシュ配信するなど不要な機能が多く、新たなセキュリティホールを作るので要注意なのだ。可能であれば、運用にあたり重要な情報が入れてあるPCと同じセグメントには置かないなど自己防衛が必要。
ただ、このツールは14億人と知り合うキッカケをくれるツールであることには間違いない。うまく使えば、とても便利なソフトなのでコントロールしながら利用して欲しい。
オフィス・ビジネス版QQの登場
QQは個人ユーザがメインのアプリで、ホビー要素が強い。そのため、中国のオフィスでも使われるものの、就業中にゲームをするユーザが絶えなかった。そんな悩める経営者のためにテンセントが2017年にリリースしたのがTIMである。
このオフィス向けビジネス版QQの詳細については別途記事を記載しているので、こちらをご覧いただきたい。
QQ日本人会のご案内
当サイトでも、このQQを使った”QQ日本人会”を立ち上げているので、ぜひ参加を検討してみて欲しい。
QQの登録から使い方についても、別記事で紹介しているので、こちらも合わせて読んでもらえば幸いだ。
コメント
日本在住の日本人です。
こちらは初めて拝見しましたが大変参考になる記事で感謝しております。
私は中国出身の友人がいるのでQQを使ってますが、あのQQ空間の中にある
音楽視聴ページはもしやP2Pでしょうか?
ご存知の通り、日本では今月から違法ファイルDLも刑罰化されており、
P2Pなどもってのほか!という感じなのですがどうなのでしょう。
あと、ソフトのインストールが不要の、ブラウザ上だけの
http://web.qq.com/
というのがありますが、こちらならセキュリティ的に安心でしょうか?
それともやはり不安は残りますか?