ニセバドワイザーからニセ資生堂まで-山寨货

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青島ビール(中央)と青島ビールもどき

中国出張で一番の楽しいお土産と言えば、ニセモノである。ネタとしてはNo.1だが、現地で生活している邦人にはたまらない。そのニセモノが海外にまで輸出されていたという。

ビールから車までニセモノ大国

中国は商標権をはじめ権利についての意識が希薄である。そのため、ニセブランドがとても多い。または、ブランドを堂々と名乗らない場合でも、どこかで見た何か?にそっくりな製品やキャラクタなど枚挙にいとまがない。

たとえば、2010年前半にサントリーのウーロン茶が流行ったことがある。その時は、偽サントリー製品が大量に出回った。困った消費者が、百度の知恵袋に『サントリー無糖ウーロン茶の本物とニセモノをどう見分けるのか?』が掲載する始末だった。

真的瓶口上面的字样没有三得利三个中文,是英文的,打开后瓶口内都是白色不透明的,假的瓶盖上有中文,打开瓶口内是透明的。外包装纸真的质量能好些,假的包装线上参差不齐的。

三得利无糖乌龙茶真假如何区别_百度知道

これはいわば海賊版であるが、商標権を侵害では?と思うのが三菱自動車ならぬ”五菱自動車”である。

そのままパクったわけではないが、ロゴも雰囲気もよく似ている。さすがに上海市内のようなハイソなところでは減ったが、郊外へ行けば相変わらずパクリ自動車のオンパレードである。

ちなみに、こういうよく似たブランド名については、中国人自身もよくわからないようだ。

同じく百度の知恵袋には『三菱と五菱には関係があるのか?』というスレッドを立てられている始末。ちなみに、三菱はゼロ戦と戦艦を作った会社として有名で(実際には三菱重工業であるが)、侵略戦争のメーカーと言われつつも人気が高い。

三菱五菱有什么关系_百度知道

ここ数年で中国政府も海外からのパッシングに加えて、国内メーカの保護という観点から著作権をはじめとする権利の保護に力を入れ始めている。ネット上に氾濫していた著作権無視コンテンツもかなり駆逐されるなど、中国当局が真剣に取り組んでいるのが読み取れる。

表向きは歓迎するべき内容だが…?中国国家版権局は、4月23日に著作権法の關連規定である「ネット転載版権秩序規範に関する通知」を発布し...

缶モノも危ない!

その中国でホットになったニュースがこの画像。数名の中国人女性が手作りで缶に何かを詰めているのだ。何かわかるだろうか?

実はこれ、手でビールを詰めているのだ。

この業者は東莞に拠点を構えていて(摘発済みだが)、ネットなどでバドワイザー社のプリントがされている缶を1つ当たり数円で購入、ビールを詰めた後に格安で販売していたというのだ。出荷量もかなりの規模で、毎月60万箱。この様子がひどすぎて海外の大手メディアも取り上げた始末だ。

Chinese factory busted for making fake Budweiser beer | Fox News

今まで缶モノであれば、工場から消費地まで密封されてるから安全と言う神話があった。しかし、今回のようにニセ工場が専用の密封機械を使っているので、この安全神話も当てにならない。

では、買った人は騙されたのか?と言うと、これも怪しい。

これらニセバドワイザーを仕入れていた側(夜総会など中式カラオケ)もニセモノとわかって買っていたようなのだ。理由は、本物のバドワイザーよりも安価だったからである。酔っ払った客なら多少わからないというのもあり、店側が得た利ざやはかなり大きかったのではないか。まさにWin-Winである。

ニセモノ VS 税関

こういったニセモノは、ほとんどが中国国内でとどまっていた。もちろん、例外があってニセブランド商品などは古くから海外輸出されていた。ちなみに、行政ではコピー商品と呼ぶようで、模造品と海賊品という種類があるそうだ。

このコピー商品には、「模倣品」と「海賊版」と呼ばれる2種類があります。

「模倣品」とは、広義には、商標権や意匠権、特許権、実用新案権などを侵害する製品のことをいい、偽ブランドバッグや電化製品、バイク、医薬品などが該当します。

また「海賊版」とは、主に著作権や著作隣接権を侵害する製品のことで、音楽CDやDVD、ゲームソフトなどを違法コピーした商品などが該当します。

外務省: わかる!国際情勢 Vol.16 模倣品・海賊版を取り締まれ!~現状と模造品・海賊版拡散防止条約(ACTA)構想

コピー商品の取り締まりには税関はじめ総力を上げており、去年は輸入差止件数が2万6,000件という膨大な数。これらのコピー商品の発送元(そしてほぼ生産地)は、想像つくと思うが中国が全体の90%以上(2万3,000件)を占めている。

意外にも、これらの差し止め商品には、プリンタ用インクカートリッジなどが含まれる。ネットで安価に販売されている大容量インクなどは、こういったニセモノがあるのかもしれない。

平成28年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(資料) : 財務省

香港経由の差し止めも、生産元は中国大陸の可能性が高い。そうなると、ニセモノの95%は中国で作られていると言ってもよさそうだ。加えて、医薬品があるのが末恐ろしい。

ニセモノは化粧品にまで

今回、新たに大々的に摘発されたのがニセ化粧品工場。ロレアル(中国語名:欧莱雅 英語名:L'Oréal)と資生堂を中心に生産していたようだ。

この工場、夫婦二人三脚でやってきた会社で摘発時の生産ラインが6本、生産設備が18台。仕掛品や完成品を備蓄する倉庫を備えており、生産スタッフが合計70名強。押収されたニセ化粧品は180万品にも上り、人民元換算で1億元相当。すごい堂々とやっていたわけだ。

この工場、商品開発の部門を備えており押収した当局も普通の素人であれば見分けがつかないレベルだとしている。

これらの商品のほとんどが海外に輸出されていたというのが驚愕である。幸いにも輸出先は日本ではなく、イランやイラク、パキスタンにアフガニスタン。ただ、生産コストが8元/本を正規品の価格(80-150元)で売っていたのだから暴利としか言いようがない。

二人三脚

この会社のすごいところは、別のところにある。

夫婦はしっかり役割分担をしていて、これが会社がここまで順調(?)に売上を伸ばしていたということ。

  • 旦那は工場全体を管理
  • 女房は海外で販売を統括

以前に勤めていた中華系企業もこんな感じであった。旦那が工学博士を持っていてソフトウェアの製品開発を担当、奥さんは商学博士を持っていてセールス全般を担当していた。

リーマンショック時に全従業員を集めて、こんな談話を発表して驚愕した。

『当社はキャッシュが潤沢にあり、受注が止まっても向こう2年間全従業員を雇用できる。したがって安心するように』

そんなにキャッシュがあるのか!と。

夫婦なのでお互いに裏切られる心配もなく、それぞれの得意分野が異なるのでまさに戦略的パートナーである。日本人の感覚だと夫婦離れ離れで、それぞれ駆け巡るというのは違和感を覚える。しかし、中国ではごく普通だ。

と、言うわけで、そんな心強いパートナーはいかがだろう?

私事で恐縮だが、来月うちの家内(中国嫁)が30の大台に乗る。その中国嫁との会話とデジャヴしたコラムを目にした。